「転職しようかな」「会社員は自由がない」…“今の会社を辞める”という選択肢が浮かんだとき、後悔しないための判断基準【ワーママ歴31年/60代現役女性管理職がアドバイス】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月15日 11時0分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
上場企業に勤める傍ら、自らの経験が役に立てばとブログやX(旧Twitter)で情報発信をしている「いくみ@女性管理職&ブロガー」氏。現状の会社員生活に悩み、転職や起業を考えている人は多いでしょう。自分にとって転職や起業は本当に解決策となりうるのか? いくみ氏の著書『女性管理職が悩んだ時に読む本』(2023年、日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、重要な視点を紹介します。
【悩み①】今の会社でいいのか、迷ってきた…。転職すべき?
組織変更やら配置転換やらがいろいろと発生して、自分のやりたい方向とズレが生じると感じた時に、「この会社でこれからもずっとやっていけるのだろうか?」と壁にぶち当たることもありがち。続けるのか場を切り替えるのか? 頭の中に「転職」の二文字が去来します。果たして、転職すれば悩みが解決するのでしょうか?
■「制度」や「上司」ではなく、「信念」に拘る
どの会社で勤務するか? という点において重要だと私が考えているポイントが2つあります。
①会社が目指していることや事業ミッションに共感ができる
②個人の属性(例えば、性別やら年齢、家族のありなしやら、学歴やら)にかかわらず、どの社員に対しても等しくチャンスが与えられている
もちろん、働くということは報酬を得ることですから、より多くの報酬を得られるに越したことはありませんし、また、尊敬できる上司がいるかどうか? という点も気になることでしょう。
転換にさらされたとしても、この2つが揺るぎない限りは続ける。それが私が今の勤務先で20年やってきてこれからも続けていこうという大きな理由。
報酬規程はずっと同じとは限りませんし、会社の業績によって変化する側面も持ち合わせています。求人情報などを見て「他社の報酬が自社のより上回っているから」と、その点をメインに転職を決める場合もあるでしょうが「金額」にターゲットにしてしまうと、規程がもし変わってしまったらさらに次、またさらにその次、と職場をどんどんチェンジしていく羽目になりかねません。
尊敬できる上司の存在にしても然り。私がこれまで仕事をしてきて、最も尊敬できる上司がいて、その元で働いていた時は職場全体が活気にあふれ実り多き毎日。会社に行くのが楽しくて仕方ありませんでした。勤務先の創成期の頃から活躍していた人で、これからもずっと付いていきたいと思っていたところ、残念ながらその数年後に退職(転職)してしまったのです。その時の喪失感といったら半端ない。「いっそのこと自分も辞めてしまおうか?」そんな思いにも駆られそうになりましたが、ふと冷静になって気付いたのです。
「制度」や「上司」に拘るのではなく、「信念」に拘ろう。
自分でポイントだと考えることが、勤務している会社の特徴と合致している限り、いろいろあったとしても、なんとか乗り切っていける。
一方、事業ミッションと相違が出てきてしまったのなら、もちろん転職を選択することもやぶさかではありません。
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<ワンポイント>
「悩みは転職で解決できる?」と単純に考えないで、自分の信念と企業風土が合っているか? ということで進路を定めていくとよいでしょう。
隣の芝生は青く見えるもの。一時の衝動やら表面的なことだけで決めないことをお勧めします。
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【悩み②】もっと自由にやりたい。会社員を辞めて「起業」する?
仕事を頑張ってきたけれど、どこか行き詰まりを感じたり限界を感じたり。そんなこともあります。会社員ですから当然、自分の意のままに物事がすべて動いていくわけではりませんし、決められたこと、指示されたことに時として違和感を抱いたりすると「もっと自由に伸び伸びとやりたいなぁ」という思いがひしひしと押し寄せてきます。
こうした思いを解消するには起業の道を選んだらよいのでしょうか?
■「それでも起業したいか?」を考える
昨今、世の中にはたくさんの「起業ノウハウ本」やそのための学びコミュニティが存在していて「好きなことをして生きよう」的な号令がかかっている風潮もあります。
では、「自分は会社員が嫌いなのか?」と自問自答してみると、好きなのです。だからこそ37年やってきたのであって、嫌いなことをイヤイヤ続けているのではありません。
自身で牙城を築き上げて自由に采配をふるっていく、起業家の生き方に憧れは抱きますが、たぶん自分には向いていない。才能がないとも言えます(とはいえ、起業してみたい…と悩んでいた時期もありました)。私とは逆に「会社員には向いていない」という人だっているでしょうから、それぞれの道でやっていけばよく、仮に違う道に進んだからといって、今よりもっと自由になれるという保証もありません。むしろ、起業のほうがより厳しい状況が待っているということも、あるのではないでしょうか。
行きづまった時にそうしたことを反芻してみて、それでも会社員を辞めて起業家になりたいと思うのなら、そうすればよいし、違うなと思うのなら会社員を続ければよい。
改めて考え直してみると、管理職になったら結構自由度が増すという感覚が持てた…ということを思い出しました。自分で判断することや采配をふるうことが増えるから、というのがその理由。人の自由をうらやましいと思う前に、自分の自由はどこにあるのだろうか?と実感することも大事です。
ちなみに「会社員だと好きなことをして生きられない」と短絡的に述べるような論調には疑念を禁じ得ません。人によって「好きなこと」というのは千差万別ですから「会社員だから」「起業しているから」などと2択で決めるようなことではありませんし、面白おかしく「社畜」のような呼称でまとめちゃうのってどうなのよ? と、つい反論したくなってしまいます。
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<まとめ>
1つのことを長年続けるって、なかなか骨の折れるもの。もちろん、楽しいこともありますが、途中途中で様々な挫けや邪(よこしま)な思いや誘惑や、いろんなハードルが待ち受けています。
ありきたりな言い方になって申し訳ありませんが、継続は力なり、です。
ハードルをその都度1つひとつ飛び越えていきつつ進んでいけばよいし、コース変更するのもアリ。2、3個前のハードルに戻ってまた飛び直したってかまいません。自分が目指していることを貫いていく、それが、大きな財産になるものです。
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いくみ@女性管理職&ブロガー 女性管理職専門家・ビジネス書著者
1962年神奈川県生まれ。会社員歴39年、ワーキングマザー歴31年(2024年6月時点)。中小企業の事務員から始まり、女性管理職に憧れるも結婚を機に退職。出産、子育て、夫の転勤などによって非正規雇用の期間を経て40歳で正社員復帰。現在は上場企業で管理職歴19年。定年再雇用後も管理職を継続しており、部下の延べ人数は200名以上。
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