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タワマン住まいの仲良し夫婦、年収1,500万円の51歳エリート夫が急逝…48歳妻〈まさかの遺族年金額〉に思わず「なにかの間違いでは」【CFPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月31日 11時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

夫を亡くした妻の生活を支える「遺族年金」。しかし、遺族年金だけを頼りに生きていくのは現実的ではないかもしれません。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役の井内義典CFPが、具体的な事例を交えて解説します。

タワマンで優雅な暮らしを営んでいたA夫妻だったが…

金銭的な問題や晩婚化、女性の社会進出などさまざまな背景から、「子どもを持たない夫婦」が増えています。

実際、国立社会保障・人口問題研究所が2021年に行った調査によると、結婚持続期間15年~19年の夫婦で子どもがいない割合は7.7%と、1977年の3.0%に比べるとその割合が増加していることがわかります。

※ <参照>「2021 年社会保障・人口問題基本調査 <結婚と出産に関する全国調査> 第16回出生動向基本調査 結果の概要」

年収1,500万円の会社員で、51歳の夫・Aさんと、Aさんの扶養に入っている48歳の妻・Bさんも、そんな「子どもを持たない夫婦」のうちの1組です。

2人が結婚したのは、Aさんが37歳、Bさんが34歳のころでした。子どもを望み不妊治療を続けていたものの、なかなか実を結ばず、やがて「これだけ頑張っても苦しむくらいなら、2人の生活を思い切り楽しもう」と決断したそうです。

Aさんは年収が高く、子育ての費用も不要になったことから、住む場所にもお金をかけようとBさんと話し合い、住まいを賃貸のタワーマンションに移したそうです。Bさんはパートとして働いていた時期もあったものの、ここ最近は専業主婦として家庭を支えていました。

しかし……。2人きりで優雅な暮らしを営んでいたある日、夫・Aさんがくも膜下出血で急逝。Bさんは48歳にして、突如ひとりきりでの生活を強いられることになったのです。

愛する夫を突然失った悲しみに加えて、専業主婦のBさんは毎月の収入が途絶えることに大きな焦りを感じていました。このままでは老後の生活も不安になりそうです。

なんとか葬儀を終えたBさんは、まず、遺族年金の受給手続きを行うため年金事務所に駆け込みました。

たったこれだけ!? 衝撃の「遺族年金額」

Aさんは新卒で入社して以降、亡くなるまで会社員を続けていました。またBさんは、結婚して以降ずっと夫の扶養に入っていたそうです。このことから、Bさんは「遺族厚生年金」の支給要件に当てはまります。

遺族厚生年金は、亡くなったAさんの厚生年金加入記録をもとに計算されます。Aさんの直近の年収は1,500万円と高収入であったことから、その分遺族厚生年金も高い額が見込めるだろうとBさんは考えていました。

しかし、遺族厚生年金は原則、亡くなった人が受給していた、あるいは受給予定だった老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3相当で、Bさんの遺族厚生年金額を年金事務所職員が試算したところ、年額110万円程度という結果に。

48歳のBさんは“40歳以上65歳未満”であることから、遺族厚生年金の110万円に「中高齢寡婦加算」として年額61万2,000円が加算されます。しかし、それでも合計で年額170万円ほどと、Bさんが受け取れると思っていた年金額には遠くおよびませんでした。

Bさんは思わず絶句。「……夫はあんなに稼いでいたのに。なにかの間違いでは? 本当にこれっぽっちしかもらえないんですか?」と職員に確認します。

「月14万円しかもらえないなら、いままでどおりの生活は到底無理ね……」と、Aさんの生前の収入とのギャップに動揺を隠せない様子です。

自身が就職活動をしていたころはちょうど就職氷河期であったことと、タイミングよくAさんと結婚する運びとなったBさんには、正社員として働いた経験がありません。次第に自分の将来が恐ろしくなってきたBさんは、「これからどうすれば……」と途方に暮れてしまいました。

夫の遺産を相続したBさんだったが…老後不安は拭えない

Aさんの遺産については、子どもがいないことから、配偶者であるBさんが3分の2、残り3分の1はAさんの両親(父母)と法定相続分が定められています。Aさんは遺言を残していなかったため、BさんはAさんの遺産の「3分の2」を相続することになりました

※ なお、子どもがいる場合の法定相続分は配偶者が2分の1、子が2分の1です。

ある程度の貯蓄はあったため、しばらくはAさんの遺産を今後の生活費に充てることができ、ほかに生命保険なども入りますが、当然限りがあります。老後のことまでを考えると、生活に不安が残るでしょう。

老後不安を払しょくするためにできる2つの収支改善策

そこで収支改善の対策としては、下記の2つが挙げられます。

1.住居変更

夫を失ったことで、Bさん1人で生活するにはタワーマンションは広すぎるかもしれません。また、高い賃料も大きな負担となります。そのため、賃料が低く、ひとり暮らしに適した住居を選び直すとよいでしょう。毎月かかる固定費の負担を減らすことは、収支改善において優先度の高い項目です。

2.パート勤務の再開

また、パート勤務などで再び仕事を始め、生活のために定期的な収入を得ることも大切です。遺族年金はパート収入があっても支給調整やカットは行われないため、収入を得ながら遺族年金を受け取ることもできます。

また、継続して勤務していれば、いずれ正社員への転換や収入アップも叶うかもしれません。

気持ちを切り替えリスタートを切ったBさん

「思い出はたくさんあるけれど、夫がいたころの生活はもう戻ってこない。これだけの遺族年金が受け取れるだけでも夫に感謝しないと……」Bさんは現実と向き合い、引っ越しに求職にと、新しい生活に向けてリスタートを切りました。

子どもがいない夫婦の場合、教育費はかからないものの、配偶者の収入に頼り切りだと今回のように思わぬ事態に見舞われることになります。

配偶者の突然の死はいつやってくるかわかりません。いざというときのために対策をとっておきたいところです。

井内 義典

株式会社よこはまライフプランニング代表取締役

特定社会保険労務士/CFPⓇ認定者  

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