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年金月33万円の70代夫婦、ゆったり温泉巡りで48年間の会社勤めの疲れを癒やしていたが…穏やかな老後が一変。原因は「30歳・悪気ない悪魔の帰還」【FPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月1日 11時45分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

共働きで働いてきたから年金は十分。老後資金はばっちり。そう思っていても、家族関係の変化によって老後破産の危機に陥ることも……。本記事ではSさんの事例とともに、我が子が老後の家計におよぼす影響について、社会保険労務士法人エニシアFP代表を務めるFP三藤桂子氏が詳しく解説します。

共働きで年金は十分!老後を穏やかに過ごす70代夫婦

Sさん夫婦は70歳を迎えた同い年のおしどり夫婦。現役時代はお互いを支え合いながら、共働きし、2人の娘を育てあげました。勤続48年、65歳からは週2日に勤務を減らし、70歳を機に仕事は完全引退。その後は穏やかな年金生活を送っています。

娘は2人とも独立し、その後それぞれに結婚。かわいい孫も生まれました。時折、孫を連れて遊びに来てくれることも老後の大きな楽しみのひとつとなっています。いままで仕事中心の生活を送り、旅行する機会も少なかったため、ずっと行ってみたかった日本各地の温泉を巡ってみようと、1~2泊程度の小旅行もすることができていました。Sさん夫婦にとって、まさに理想の老後生活を叶えることができたのです。

ここで、Sさん夫婦の年金額はを確認していきます。  

※老齢基礎年金は2024年度満額。老齢厚生年金は差額加算を考慮せず。Sさんの平均標準報酬月額は47万円、504月、妻の平均標準報酬月額は41万円、480月で計算。

公的年金額については、毎年、厚生労働省から次年度の年金額改定についてお知らせがあります。2024年度の厚生年金保険は夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は23万483円です(※厚生労働省Press Release「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」より)。

また、公益財団法人生命保険文化センターによると、ゆとりある生活には月約39万円という調査結果があります。一方で、ゆとりある生活までいかなくとも、夫婦2人で老後生活を送るうえで必要と考えられている最低日常生活費は、平均額で月額23万2,000円となっています。

Sさん夫婦の年金額は月額33万円。2人の退職金を合わせた貯蓄額は5,000万円です。年金額は標準以上で、貯蓄額も考慮すると、日常の老後生活を送るに十分な額といえるでしょう。  

穏やかな日々の終わり

「いままで2人で力を合わせていろいろ頑張ってきた甲斐があったね」と現役時代の苦労話に花を咲かせていたある日、次女が突然訪れてきました。

なにやら深刻そうな面持ちです。次女は30歳。夫のとの意見の相違から、離婚すると言っています。もう、話し合いは終わっているから、来週、実家であるこの家に戻ってくると言い出しました。

どうやら金銭トラブルでの離婚のようで、手持ちのお金がないから当分のあいだ、この家に子ども(3歳)と住むとのことです。あまりの急な話に戸惑いながらも、路頭に迷う我が子とまだ幼い孫を放っておくことができるはずもなく、次女が出戻ってくることになりました。

親の年金で生活する娘

穏やかな年金生活はつかの間、出戻ってきた次女と孫との生活が始まりました。はじめは、離婚で精神的にまいっているのではと思い、すぐに働けなくても仕方ないと自分達の年金で4人の生活をしていました。

次女は楽しそうに友人とランチしたり、買い物に出かけたりと、そのたびに小遣いを渡し、自分たちは孫の面倒をみて、しばらくはなにも言わずに見守ります。半年過ぎたころ、毎月の支出が赤字で貯蓄から補わないといけない生活となり、このままでは老後破産になりかねません。そろそろ仕事探しでもしたらどうかと、次女に話を持ち掛けます。

すると次女は悪魔のような表情を浮かべて笑いながら言います「どうせ死ぬまで使い切れないほど年金や財産があるじゃん。私やこの子(孫)に使ったほうがいいよ~。墓場までお金は持っていけないしね」。

これを聞いたSさんの妻は激怒しました。Sさんは普段温厚な妻が声を荒げて怒ったことにびっくり。しばらく唖然としていました。

どうやら、金銭トラブルで離婚に至ったのは、次女のお金の使いすぎが原因だったようです。確かに長女とは年が離れている次女は多少なりとも甘やかしたかもしれませんが、こんなことを平気な顔でいう子に育てたつもりはなかったのです。Sさんの妻の怒りは収まりませんでした。  

老後破産を回避するために

長女を呼んで家族会議をすることにしました。Sさん夫婦は老後を2人で穏やかに過ごしたいだけなのだと伝えます。

2人で退職するまでに貯めた資産は、自分達の介護に使い、残った財産は、2人の姉妹で等分にわけるよう遺言書を作成していることを伝えます。娘たちには苦労を掛けたくないという親心ももちろんありますが、散財するような次女には遺産は渡したくないと言い渡します。

ただ、次女の話を聞いてみると、夫が育児に非協力で子育てのストレスから散財することで発散していたことがわかり、精神的に不安定だったようです。次女は謝り、心療内科を受診しながら、仕事を探すと言ってくれました。事情がわかった妻は、次女が立ち直る手助けをします。

老後破産は想定外に突如起こり得る可能性がありますが、早くにコミュニケーション(家族会議)をとることで、回避することも可能です。ときには第三者に介入してもらうことも必要かもしれません。早期の対応を心がけましょう。

三藤 桂子

社会保険労務士法人エニシアFP

代表

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