“長期投資をしても必ず儲かる保証はない”…そんな言葉に惑わされて「短期売買」に走っては絶対にいけないワケ【経済誌元編集長が助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月28日 14時15分
![“長期投資をしても必ず儲かる保証はない”…そんな言葉に惑わされて「短期売買」に走っては絶対にいけないワケ【経済誌元編集長が助言】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_60684_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
巷では「投資をするなら短期売買を選ぶのがベスト」だとする意見も多いですが、『一生、月5万円以上の配当を手に入れる!シニアが無理なく儲ける株投資の本』(日本実業出版社)の著者である川島睦保氏は、同書の中で「長期投資こそ初心者向き」だと提言しています。さらに、株式投資においては「安全運用の鉄則」があり、これを守っていれば大きく失敗することはないとも言っています。それはなぜなのか、書籍から一部抜粋してご紹介します。
株式投資における安全運用の「3つの鉄則」
株式投資における安全運転(=運用)の鉄則は、
①長期投資
②分散投資
③自己資金(=しかも生活資金以外の資金)
の3つである。この原則を守り続けている限り大きな痛手を被る恐れはまずない。
裏をかえせば、これらの正反対、つまり短期売買、集中投資(銘柄や売買の時期など)、借金投資(信用取引)は、絶対にやってはいけない。
まず株式投資で成功を収める第一の秘訣は、長期投資に徹することだ。個人投資家にとって高いパフォーマンス(値上がり益と配当金の合計)を得る「最大の武器」は「時間」であり、自分の身を守る(損をしない)「最大の防具」もまた「時間」である。
証券会社のディーラー(自己売買部門の担当者)、投資信託や大手ヘッジファンドの運用担当者(ファンドマネジャー)は、大切な顧客のため、あるいは自分自身のために、四半期、半年、1年ごとに高い運用成績を上げなければならない。
だから彼らの投資手法は、短期間で値上がりしそうな銘柄を探し出して効率よく売買を繰り返す短期投資となる。
ディーラーやファンドマネジャーなど相場のプロは、運用に失敗すれば、自分が所属する組織や、その組織の顧客に多大な迷惑をかける。それだけでなく、自分自身のクビが飛ぶ。生活が危うくなる。彼らは、目先の値上がり益ばかりを追うことに必死になる。
こうした短期投資を、私たちは決して真似してはいけない。
個人投資家には彼らのような大量の企業情報を短期集中的に集め分析する人もカネも組織もない。私たちにあるのは時間だけだ。相場に勝つには、時間を味方につけるしかない。時間を味方につけるとは、何事もあせらず安全運転、長期の視点で投資に臨むことだ。
「長期投資だって必ず儲かるとは限らない」という反論もある
もちろん「株式を長期に保有すれば必ず儲かるという保証はない」という反論があることは百も承知している。
個人投資家は経済や相場の知識が浅いためにバイ・アンド・ホールド(買ってそのまま保有する投資手法)こそが正しい手法だという意見に魅かれる。右肩上がりの株式相場を見れば安心、安全だという都市伝説を鵜呑みにしてしまう、というのだ。
その根拠に挙げるのが、1987~2016年の日経平均株価の推移だ(図表1)。同期間は株価のバブル形成と破裂、その後20年間の株価低迷の過程を示している。
![](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/4/a/800m/img_4a3f79ba25567a4ee3f0f9226b9f03e558153.png)
1989年12月29日の史上最高値の前後で株を購入した人は、この原稿を書いている2024年1月初旬の時点でも株価が買値を上回っていない。金融のプロの世界においても時々語られる言説だ。
この理屈からすれば、たしかに株式は「長期に持っていても儲からなかった」といえるかもしれない。
「長期的な保有は儲からない」説が間違っている3つの理由
しかし、こうした見方は当を得ていない。まず、そもそも日経平均はハイテクの成長株が中心の株価指数であり、推奨する業況トップ企業の割安株は、こうした株価指数とは異なる変動をしたものもある。
個人投資家が生涯で買える株はせいぜい十数銘柄であり、そのパフォーマンスを株価指数全体の動きで議論するのはミスリードである。
第二に「儲かる、儲からない」の基準が間違っている。懐疑論者は値上がり益を判断基準にしているが、本書で推奨する投資手法は、老後の生活資金を補充するために、高配当利回りを獲得することを狙っている。値上がり益はあくまで“ボーナス”との位置づけだ。
配当の利回りが預貯金など他の競合商品を上回っていれば「儲かっている」と判断するのが妥当である。もし他の競合商品が配当利回りを上回っているのであれば、株式投資は見合わせる。老後の生活資金の補充は他の金融商品に任せるべきだ。
もちろん株式投資なのだから値上がり益という“ボーナス”があるに越したことはないが、それがないからと言って失敗と決めつけるのは間違っている。「儲かる、儲からない」はあくまで相対的な判断だ。
万一、値下がり損が生じた場合は、墓場まで持っていけばよい。家族に遺産相続すれば、喜ばれることはあっても恨まれることはない。
最後の理由は分散投資という考えを無視していることだ。「長期投資は儲からない」のは、バブルのピークに株をまとめ買いした“極端な”人の場合である。こういうことが起きないように、買いのタイミングを散らす分散投資を推奨している。
たとえ株価が下落していたとしても、一定の間隔で少しずつ買い増していけば、平均の買いコストが下がる。その間に、高利回りの配当金が入っているのであるから問題はない。
読者は「長期に持てば必ず儲かるという保証はない」という危うい考えに惑わされて、くれぐれも短期売買に走ることのないようにしていただきたい。
川島 睦保
フリージャーナリスト、翻訳家
※本記事は『一生、月5万円以上の配当を手に入れる! シニアが無理なく儲ける株投資の本』(日本実業出版社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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