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〈月収50万円〉大企業勤務の48歳サラリーマン夫が急逝したが…「遺族年金ゼロの妻」と「遺族年金月16万円の妻」の決定的な違い

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月25日 5時15分

〈月収50万円〉大企業勤務の48歳サラリーマン夫が急逝したが…「遺族年金ゼロの妻」と「遺族年金月16万円の妻」の決定的な違い

増加傾向にある共働き夫婦。「妻はエリートで高給取り」というケースも少なくありません。このような場合、夫に万が一のことがあった際に受け取れる「遺族年金」に差が生じることも。みていきましょう。

大卒・大企業勤務の48歳サラリーマンが亡くなった場合、「遺族年金」はどうなる?

遺族年金には、国民年金に由来する「遺族基礎年金」と、厚生年金に由来する「遺族厚生年金」の2種類があります。

まずどちらにも共通する要件が、亡くなった夫と「生計維持関係」にあったかどうか。これは「①生計を同一にしていること」「②自身(遺族年金を受け取る人)の年収が一定額以下であること」が条件になります。

①は配偶者や子の場合は、「住民票上同一世帯に属しているとき」「住民票上、世帯を別にしているが、住民票上は同じ住所であるとき」「住民票上、住所は異なっているがA、またはBいずれかに該当するとき」です。

A.現に日常生活をともにし、かつ、消費生活上の家計を1つにしていると認められるとき

B.やむを得ない事情により住所が住民票上異なっているが、「生活費、療養費等の経済的な援助が行われていること」「定期的に音信、訪問が行われていること」が認められ、その事情が消滅したときは日常生活を共にし、消費生活上の家計を1つにすると認められるとき

②の収入要件は「①前年の収入が年額850万円未満であること」「②前年の所得が年額655.5万円未満であること」であり、一時的な所得があるときは、これを除き、①または②に該当している必要があります。さらに定年退職などにより近い将来(5年以内)に、収入が①または②に該当する場合は、収入要件を満たしていると認められます。

さらに保険料の納付要件などを満たしていれば、「遺族基礎年金」であれば配偶者、または子に遺族基礎年金の受給権が発生します。

遺族厚生年金は、「①配偶者または子」「②父母」「③孫」「④祖父母」と、優先順位が高い人が受け取ることができます。 

すべての要件をクリアしたとして、どれほどの遺族年金を手にできるのか……仮に48歳のサラリーマン夫が亡くなった場合について考えてみましょう。要件に該当する子は2名、そして給与は亡くなった時点で月収50.8万円、年収882.2万円と、大学卒業後に大企企業に就職。以来、平均的な給与を手にしてきたとします。

遺族基礎年金は81万6,000円(令和6年度)に子の加算額、1人23万4,800円を足した額になります。遺族厚生年金は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4。この場合、69万0,606円になります。合計197万6,206円。1ヵ月あたり16.5万円ほどとなります。

遺族年金の分かれ道…夫が亡くなった前年の収入が「850万円未満」or「850万円以上」

月16万円強の遺族年金。ただ受給要件は色々と複雑なので、一度、年金事務所にいき、自分の場合は遺族年金はもらえるのかどうか、相談してみるのが正解です。

そこで「残念ですが、あなたの場合、遺族年金はゼロです」と、職員も申し訳なさそうに事実を伝えてくる……色々な理由が考えられますが、ひとつの可能性として有力なのが、妻の収入。前出の通り、「①前年の収入が年額850万円未満であること」「②前年の所得が年額655.5万円未満であること」が、妻が遺族年金を手にするための前提条件。妻は亡くなった夫と同年代/大卒/正社員/賞与は平均水準だと仮定しましょう。この場合、月収55万円以上になると「生計維持関係」が認められない水準になります。

そのような女性、どれほどの割合でいるのかといえば、大卒・正社員女性の上位10%ほど。エリート妻と呼んでも差支えのない上位層。「そんなに年収が高ければ、遺族年金なんてもらわなくても生活していけるでしょ」というわけです。

また遺族年金を受け取るためには、「夫が亡くなったときに収入要件を満たしていること」が必須。仮に夫が亡くなった前年の年収は850万円以上で一度支給対象外になったら、その後、いくら給与が減って年収850万円未満になったとしても支給対象外。一方、夫が亡くなった時点では年収850万円未満で遺族年金支給。その後、昇給し、年収850万円以上になったとしても、年金停止にはなりません。

――えっ、あとで給与減になっても遺族年金がもらえないなんて

――よかった、あのとき、給与がまだ低くて

「48歳の夫を亡くした妻」という境遇は一緒でも、夫を亡くした前年の年収によって、遺族年金のアリ/ナシが決まります。一度下された決定は、その後、給与の増減があったとしても関係なし。エリート妻には少々納得のいかない結果ですが、制度である以上、仕方がありません。

[参考資料]

日本年金機構『遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)』

日本年金機構『遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)』

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