高配当株投資の最適解=「買ったら何もしない」だからこそ気をつけたい「早とちり」という落とし穴【マネックス証券チーフ・ストラテジストが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月29日 11時15分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
新NISAを利用して高配当株(高配当利回り銘柄)投資をする場合、最大の目的は安定した配当(インカムゲイン)を長期的に得ていくことです。それがわかっていても、やってしまいがちなのが「配当利回り」の見方が原因の早とちりです。また、せっかく投資をするなら「新NISA」の活用は欠かせませんが、高配当株投資をする場合は銘柄選びに注意が必要です。こういった新初心者が知っておきたい高配当株投資のコツを、広木隆氏による著書『利回り5%配当生活』(かんき出版)より抜粋してご紹介します。
基本的に「買ってそのまま何もしない」でよい
新NISAを活用した高配当利回り銘柄投資について考えていきたいと思います。が、実は何もしなくても良いというのが、その答えです。
高配当利回り銘柄投資の目的は、キャピタルゲインをねらうことではありません。もちろん、大きく値上がりしたら、その時点で利益確定させるという手もありますが、基本的には値上がり益狙いではなく、安定した配当を長期的に得ていくことに、この投資法の醍醐味があります。
高配当利回り銘柄投資の最大の魅力は、その銘柄を買い付けた瞬間、収益性が確定することです。毎年、1株あたり100円の配当を支払っている銘柄を2,000円の株価で買い付けることができたら、その時点で5%の配当利回りが確定します。
その後、株価が3,000円に値上がりしたとしても、逆に1,000円に値下がりしたとしても、その銘柄を売却しない限り、あるいは買い増さない限り、5%の配当利回りは不変です。したがって、年5%の配当利回りで良しとするならば、何もしなくて良いのです。
注意しなければならないのは、株価が大きく上昇したとき、その時点の株価で計算した配当利回りが大きく低下したのを見て、「配当利回りが悪くなったから売却しよう」などという勘違いをしがちなことです。
たとえば配当利回りが5%のときに買い付けた銘柄の株価が倍になり、かつ年間配当の額が変わらなかったら、配当利回りは2.5%に低下します。インターネットの株式投資サイトなどを見ると、リアルタイムで配当利回りが表示されていますから、それを目にして早とちりしないように注意してください。
とはいえ、配当利回りが5%から2.5%に低下したとしても、株価が倍に値上がりしているのだとしたら、少々悩みどころではありますが、売却も視野に入れて良いかもしれません。
1株につき100円に配当を出している企業の株価が、2,000円から4,000円に値上がりしたということは、単純計算でも「20年分の配当」を受け取ったのと同じ効果が得られたことになります。だとしたら、むしろ積極的に売却して、銘柄を入れ替えたほうが得策でしょう。
もうひとつの注意点は、投資先企業の経営状況が悪化して、配当が減らされるリスクです。経営者側は、できる限り減配を避けたいと考えています。したがって、よほど業績が悪化しない限り、配当を減らすことはないのですが、減配リスクがゼロとは言えません。
もし減配となったら、そのときは投資している銘柄を見直す必要も出てきます。ただ、これも複数銘柄に分散投資することによって、かなりの程度までリスクを軽減できます。
たとえば20銘柄で平均5%の配当利回りを実現できたとするならば、そのなかの1銘柄が減配になり、配当利回りが3%程度まで低下したとしても、ポートフォリオ全体に及ぼすリスクは最小限に抑えられます。
だからこそ、最低でも10銘柄くらいの分散投資からスタートさせて、ゆくゆくは30銘柄くらいのポートフォリオになるまで、徐々に銘柄を増やしていきたいのです。
新NISAの「つみたて投資枠」では何を買うか
新NISAで高配当利回り銘柄に投資する際には、最大1,200万円の非課税枠が認められている成長投資枠を使うことになりますが、これだけでは1,800万円の新NISAの非課税枠をフル活用できません。
そこで、残り600万円で「つみたて投資枠」の対象となっている投資信託、あるいはETFを積み立てておきましょう。つみたて投資枠の年間投資枠は120万円なので、これを12で割ると、1カ月あたり10万円。
本当なら、つみたて投資枠で購入できる投資信託やETFの中に、高配当利回り銘柄を組み入れて運用するタイプがあればベストなのですが、残念ながらつみたて投資枠で購入できる投資信託やETFに、この手の銘柄は現時点においてはラインナップされていません。
なぜなら、つみたて投資枠の対象ファンドは、金融庁が指定した指数連動のインデックスファンドか、一定条件を満たしたアクティブファンドしかつみたて投資枠ファンドにはなれないからです。
条件を満たせば高配当株に投資しているファンドでもつみたて投資枠対象として、金融庁の承認が得られるかもしれませんが、いまのところ、金融庁の認可を受けている中に、日本の高配当株に投資しているようなファンドはなさそうです。今後、対象に加わることが期待されます(最新の対象商品は、金融庁のサイトにてご確認ください)。
広木 隆
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
※本記事は『利回り5%配当生活』(かんき出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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