〈年金400万円/年〉〈貯金2,500万円〉〈退職金3,800万円〉でも「全然楽じゃない!」と悲鳴…「勝ち組夫婦」ほど老後破産する理由
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月30日 7時15分
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老後の安心のための知っておきたい「退職金」「貯蓄額」「年金額」。それぞれの見通しを把握し、老後に突入する前にやるべきことは「たったひとつ」。それを怠ると、どんなに余裕ぶる勝ち組夫婦でも、あっという間に転落に危機に。みていきましょう。
「退職金」「貯蓄」「年金」…それぞれの平均値は?
――老後夫婦で2,000万円不足しますよ
5年ほど前に日本中を震撼させた「老後資金2,000万円不足問題」。これをきっかけに、誰もが当たり前のように「資産形成」という言葉を使っている今では、「なんでそんなに大騒ぎだったんだろう」と、少々疑問に感じる人もいるかもしれません。
そもそも、老後資金として、どれくらい当てにできるものなのか、「退職金」「貯蓄」「年金」の平均値をみていきましょう。
まず「退職金」。厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』によると、退職給付(一時金・年金)制度がある企業割合は 74.9%。定年退職金平均額は大卒で1,896万円、高卒で1,682万円です。
次に「貯蓄」。総務省『家計調査 貯蓄・負債編(2023年平均) 』によると、65歳以上無職の夫婦世帯の平均貯蓄額は2,656万円、負債は31万円。貯蓄額から負債額を引いた純貯蓄額は2,625万円。ただし一部の資産家が平均値を押し上げている可能性も。ちなみに二人以上世帯の平均貯蓄額は1,904万円、中央値は1,107万円。高齢夫婦の中央値についてはデータはありませんが、同じように差異があると考えられるでしょう。
最後に「年金」。厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金の老齢年金受給者の平均年金月額は5万6,428円。厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給者の平均年金月額は、併給の老齢基礎年金を含めて老齢年金が14万4,982円。65歳以上の受給権者の平均年金月額は、男性が16万7,388円、女性が10万9,165円でした。
そもそも、老齢厚生年金の受給額は、
①平成15年3月以前
平均標準報酬月額×7.125/1,000×平成15年3月までの加入期間の月数
②平成15年4月以降
平均標準報酬額×5.481/1,000×平成15年4月以降の加入期間の月数
の計算式で求めることができます。仮に大学卒業後、正社員として60歳定年まで働き、60歳から65歳までは再雇用制度で非正規社員として働くという、昨今のスタンダードな働き方で、ずっと大卒者の平均的な給与を手にしてきたとしたら、65歳から受け取れる老齢厚生年金は月11.5万円。老齢基礎年金と合わせて月18.3万円となります。同じ条件で妻も65歳まで働いたとすると、老齢厚生年金は月9.4万円、老齢厚生年金との合計は月16.2万円。ともに大卒の夫婦であれば、夫婦で月34.5万円、年414万円の年金収入があることになります。
50代「勝ち組」の大卒夫婦、後悔しないためにすべきこと
夫婦ともに大卒だった場合、年金は年400万円超え。退職金は2人で3,800万円。さらに貯蓄は高齢者夫婦の平均値の2,600万円……大卒者の平均値で単純計算していくと「悠々自適な老後が確実」という結果がみえてきました。それはもう、「勝ち組」といっても過言ではないでしょう。
そんな未来を見据える50代の勝ち組夫婦。「二馬力なら老後も心配無用」と余裕ぶる高収入夫婦ほど、老後に「思っていたほど余裕がない!」と悲鳴をあげることになると専門家。一方で、一見すると余裕のない夫婦ほど、堅実な老後を過ごすといいます。
その最大の要因が、50代で給与がピークに達すること。年功序列制は崩壊したといわれて久しいですが、いまだに多くの会社員の給与のピークは定年間近の50代。ちょうどそのころ、子供の教育もひと段落し、家計的にも落ち着くころ。そこで「老後に向けて資産形成のラストスパート!」というパターンと、「これまで我慢してきたけど……趣味や旅行を楽しむ余裕が生まれた!」と支出が増えるパターンに分かれるといいます。
消費のアクセルを踏むのは簡単ですが、ブレーキを踏むのは意外にも難しいことは誰もが知るところ。50代で収入のピークに達するということは、これから先、収入は先細りとなります。そんな将来に向けて、50代がやっておくべきことは「家計のダウンサイジング」です。生命保険の保障を見直す。光熱費や通信費などの固定費は安いプランを検討する。趣味などはいきなり支出を落とすのはストレスだから、徐々に徐々に抑えていく。住宅ローンの残債があるなら無理のない範囲で繰り上げ返済をして将来の負担を減らしておく……。
安定した老後を過ごすために「入ってくるお金で暮らせるよう準備をしておくこと」が重要。年金生活と同時に大きく収入ダウンになることをしっかりと見据えて、身の丈を合わせておくのです。大風呂敷を広げたままでは畳むのに時間がかかり、あっという間に老後破産……決して、珍しいことではありません。
[参考資料]
厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』
総務省『家計調査 貯蓄・負債編(2023年平均) 』
厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』
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