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介護のアルバイトで月収80万円!シャイな20代女性の人生を変えた「オーストラリアでワーホリ」のリアル

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月31日 8時15分

介護のアルバイトで月収80万円!シャイな20代女性の人生を変えた「オーストラリアでワーホリ」のリアル

日本では「介護職は大変なのに給料が安い」というイメージがあります。では、20代女性が介護のアルバイトで月収80万円を稼いだと聞いたらどうでしょうか。誰もが驚く待遇ですが、これは日本の話ではなく、ワーホリでオーストラリアに行った人の話です。「そんなに稼げるの?」「なんでオーストラリアで介護を?」そんな気になる内容を、『安いニッポンからワーホリ!最低時給2000円の国で夢を見つけた若者たち』(上阪徹著:東洋経済新報社)より再編集してご紹介します。

介護のアルバイトで月収80万円⁉嘘のような本当の話

ブルーベリー摘みや皿洗いのアルバイトで月収50万円? 外国人のカレとカップルでワーホリ? 現地で大学進学? エンジニアとして就職? 結婚して永住? 

令和の時代のワーキングホリデー(ワーホリ)は、驚くべきことになっていた。そのリアルを探るべく、オーストラリア・シドニーで多くの若者たちに取材を重ねたのが、『安いニッポンからワーホリ!最低時給2000円の国で夢を見つめた若者たち』(東洋経済新報社)だ。

中でも最も驚かされたのは、介護のアルバイトで月収が80万円にもなったという女性だった。藤田秀美さん(27)。ある週の週給は2488.36豪ドル。日本円で、約22万4000円。月収にならせば、80万円以上の収入になる。

日本の介護職の平均月収は25万円ほど。ところがオーストラリアでは、時給のアルバイトで3倍以上になることもあるというのである。それにしても20代の若い介護職のアルバイトで月収が80万円なのだ。

実は藤田さん、収入を求めてオーストラリアに来たわけではまったくなかった。

「勤務していた病院には、外国人の患者さんもいました。ところが、英語でうまく対応することができなかったんです。病院全体でも英語を話せるスタッフはいなくて。これから自分にできることはなんだろう、と考えたとき、英語ができる看護師が浮かびました」

そう思い立ったのは、看護師1年目。2年目に留学エージェントへの相談を始め、ワーホリという制度を知った。4年目を終えたところを区切りにしようと考え、それまでに費用を貯めたり、英語をオンラインや通信講座で学んだり、と準備を進めた。

看護師の仕事はハードだと言われるが、そこから逃れることが目的だったわけではなかった。

「たしかに残業も多かったですし、辛さがなかったといえば嘘になります。でも、それ以上に看護師という仕事にやりがいを感じていました。英語ができるようになれば、もっと理想に近づくことができる。大事にしたのは、自分がどうなりたいか、でしたね」

オーストラリアの職場環境は「びっくりするほど働きやすい」

藤田さんが参加したのは、留学エージェント、ワールドアベニューが企画した「海外看護有給インターンシッププログラム」。オーストラリアでは、誰でも介護の仕事ができるわけではない。「アシスタントナース」の資格が必要になるのだ。

日本の看護師向けにその資格取得も含めたワーホリを企画したのが、このプログラム。資格取得後は、現地の介護士の派遣会社を通じて仕事も獲得ができるようになっている。実はコロナ禍前から、看護師に人気のプログラムだった。そして、藤田さん自身、収入を知って驚いたのだという。

「最初に時給を提示されたとき、えっ? こんなにもらっていいの? と思いました。むしろ、こんなにもらえるなら、がんばって働かないと、と思いましたね(笑)」

なんとも日本人らしい反応だが、働き始めて驚いたのは、収入だけではなかった。びっくりするほど働きやすかったからだ。

「オーストラリアでは働く人が、とても大事にされていました。残業はまったくないし、休憩もしっかり取る。社員は休日も取りやすい。アクセクもしていない。私が日本の感覚で働いていたら、『あなたマジメすぎよ。もっと休みなさい。はい、ティーでも飲んで』みたいな感じでした(笑)」

藤田さんの目的は、あくまで英語ができるようになることだった。だが、その英語にいきなり苦戦を強いられた。

「学校では先生がゆっくりしゃべってくれますが、外に出て生の英語をバーッと話されるとわからない。リスニングがダメで、何回も聞き直したりしていました」

そこで、語学学校に通ってアシスタントナースの資格取得を進めていた最中もアルバイトをすることにした。もっと英語を使える環境に身を置きたかったからだ。

「最初は日本食のオムライス屋さん。このときも時給は日本の倍以上ですから、びっくりして。キッチンでしたが、いろんな国の人がいたので、英語でコミュニケーションを取るように心掛けました」

アルバイトが面白くなり、パン、焼肉、さらにはバーでも働くようになった。この頃には、すでにアルバイトだけで月収が約40万円。病院に勤務していた頃の手取り金額を超えるようになった。

毎月40万円、50万円の貯金が可能になり、新たな夢も生まれた

そしてアシスタントナースの資格を取得してからは、派遣会社を通じて介護の仕事をするようになる。多くは高級老人ホームへの派遣だ。

「老人ホームで直接、雇用されているスタッフが少なくて、どの施設も人手不足なんです。それで、どこどこの施設でスタッフが足りなくなった、となれば派遣会社に連絡が行き、私たちに打診が来る、という仕組みでした」

常勤している人たちは、休みが取りやすいと書いたが、それはつまりその代わりがすぐに見つかるシステムがある、ということを意味している。これがまさに、介護スタッフの派遣会社の存在だ。

「ちょうど9月は派遣スタッフの人数が少なかったこともあって、1週間先までシフトが埋まってしまう、なんてこともありました。また、その後は急に連絡が来ることもありました。当日の朝4時に連絡があって、朝6時から来られないか、とか。仕事を断ったら申し訳ない、という気持ちもあって、手当たり次第に引き受けるようになりました」

これは他の仕事もそうだが、オーストラリアでは休日や夜間に働くと、時給が割増しになる。だが、日本で看護師をしていた感覚でいえば、休日や夜間に働くことは、なんてことはなかった。

無理をしていたわけではない。そもそもの時給が日本円で4000円超だった。これに、夜勤や休日勤務は割増しがつく。しかも、仕事は日本の看護師ほどハードでもない。物価の高いシドニーでも毎月40万円、50万円と貯金ができるようになった。

そしてお金ができたことで、もっといろんなことができるのではないか、と思えるようになった。訪問看護ステーションを自分で作ってみたい、と思うようになっていったのも、その一つ。

「こんな夢は日本では持てなかったと思いました」

目指すは、残業がない、休みが取りやすい、といったオーストラリアの働きやすさを取り入れた訪問看護施設だ。

ワーホリを充実させるためには「目的」が何より大事

2023年3月末でワーホリの期間は過ぎたが、まだまだ国には必要な人手が足りないと判断したオーストラリア政府が「パンデミックビザ」を出した。ワーホリで来ていた若者たちも雇用先が決まっていれば、そのビザで最長1年の滞在延長が可能になったのだ。

そのビザを使い、藤田さんは、新しいチャレンジに挑んだ。

「ワーホリに来た目的は英語、もっといえば医療現場で使う英語だったんです。ただ、老人ホームだとどうしても身の回りの介助が中心になります。病名や薬に触れたりする機会や看護師さんとやりとりする機会も少ない。それで、やっぱり病院で働きたいと思うようになったんです」

持っているアシスタントナースの資格では、介護の仕事しかできない。しかし、それでも「病院で働きたい」という思いをあきらめなかった。

「日本で看護師をしていたという経験をアピールしながら、どうにか働かせてもらえないか、と就活をしたんです。50ほどの病院に履歴書を送ったら、会ってもらえる病院があって。まさに看護師の補助として働かせてもらえたんです」

実は総収入は下がった。それでも、目標だった医療現場で英語を使う日々が実現した。今は毎日、必死に医療英語を学びながら日々を過ごしている。

「私はもともとシャイで、人見知りで、外国人なんてとても話せない、というタイプだったんです」

日本にいるときにオンラインで英語を学んだりして、ずいぶん変わったというが、海外に出てさらに変わった。

「誰も知らない人ばかりの中でも、自分次第でどうにでもなれるんだ、とわかったんです。それならもう、本当に動いたもの勝ちだな、と」

ワーホリは自分でお金を貯めてやってきて、時間も終わりが区切られている。1分1秒も惜しい、と思ったという。

「大事なことは、目的です。自分の将来にどんなふうに活かしたいのか、という目的があれば、楽しいし、がんばれる。稼ぎながら、得られるものも大きくなる。目的を定めてきたときに、ワーホリはより充実すると思います」

そして藤田さんは、オーストラリアで見つけた自らの夢を、実現することが決まっている。ワーホリが、まさに人生を変えたのだ。  

上阪 徹

ブックライター  

※本記事は『安いニッポンからワーホリ!最低自給2000円の国で夢を見つけた若者たち』(東洋経済新報社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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