「あいつら、ほんと使えないんですよ」選考中の本音トークでうっかりバレる“パワハラ体質”…転職で失敗しないために自ら行うべき「ダークサイドチェック」【エグゼクティブ転職のプロが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月2日 7時0分
(写真はイメージです/PIXTA)
面接の場では、企業と応募者で「本音」の探り合いになることも多いでしょう。合格するために自らを取り繕う人もいますが、往々にして本性を見抜かれてしまうものです。そこで本記事では、株式会社経営者JPの代表取締役・CEOの井上和幸氏が、「マネジメント人材」として転職を成功させるために常日頃から心がけるべきポイントについて解説します。
面接を「化かし合い」と捉える危険性
面接ではどうしても企業と応募者がお互い、様子の探り合い、本音の探り合いとなる部分があります。「面接は化かし合いだ」とまで言う人もいますが、本来、どちらの立場であっても、極力普段通りの姿や本音を出すことが、結果としては望ましいです。
それは、ご縁があった際には、採用面接の合格や入社はゴールではなく、そのあとに日常が待っているからです。本音を隠して、いざ一緒になってみたら、実際の姿は違ったというのは不幸ですよね。
仮面を被って「結婚」(入社)したがゆえに、幸せな「生活」(就労)は続かず、早期の「離婚」(退職)となってしまう人も多くいらっしゃいます。
そこでエグゼクティブの皆さんが転職面接で図らずも問われることとなるのが、皆さんの平素のマネジメントスタイルや人間関係、コミュニケーションスタイルです。
実はここで落とし穴に落ちる人も少なくありません。
本音のコミュニケーションで、ついバレる「パワハラ体質」
選考過程で応募先企業の主要な各位と会話を繰り返し、コミュニケーションを深めるなかで、うっかりバレることが多いのが「パワハラ体質」です。
幹部であるからこその苦労話を、選考中にぶっちゃけトークで交わすことはとても大事なことです。
お互い、胸襟を開いて、事業や現場を預かるに当たって「本音はこうですよね」という会話を取りかわせるくらいのコミュニケーションができずに、幹部として次の会社に入社することのほうが危険です。このときに、応募先の社長や役員陣などは、その人の素の姿を見たいのですね。
で、どのようにマネジメントされているのかの質問に、「いや〜、ほんと、あいつら、使えないんですよ」「しょうもない奴らで」。言葉使いでいえば「指示してます」「指導してます」「管理してます」。
もちろん文脈によっては、これらの言葉が適切な場合はありますが、部下のマネジメントに関して、一貫してこの手のワードが普通に並ぶ人は、部下たちを物や道具としか見ていないことがバレバレです。
上から目線のオンパレード。聞いている面接者からすれば、(「ん? この人に、部下たちはついていくかな?」)と思うわけです。
一見、「部下のために」といっているものの、端々に彼らを見下しているような素行、言動が見え隠れする人がいます。
面接者は言葉や表情に出さなくとも、こういう部分をしっかり見ています。人に対する考えがまともな会社であれば、そんな姿勢のマネジメント人材は、部下たちのみならず、経営陣からしても「うちには勘弁」なのです。
マネジャーなら見逃せない、「人」に対する興味関心
コミュニケーションを深めたときに、会話を通じてわかるのは、発した内容そのもの以上に、その人の興味関心のありかたについてです。マネジメント人材については、人や組織への興味関心はベースの部分で欠かせません。
ちょっと興味深いお話をしましょうか。私はこれまで、多くの人材業界のマネジメントの方々とも面接をしてきましたが、一定の結構な割合で「実は、人に興味のない」方がいらっしゃるのです。
えっ、人材業界のマネジメントの方々に? 私も当初は、自分の評価眼がずれているのではないかと思いました。
しかしながら、人材業界で業績管理をしながらチームで扱う膨大な人材紹介や人材派遣の案件に一つひとつ向き合っていたら当人のメンタルが持たない部分もあるのですね。
そのため、上位管理職として勝ち上がってきた人であればあるほど、(もちろん、全員ではありませんが)「人と向き合うことを遮断して」預かる組織の管理に徹するようになった方々が、そのような志向になるのだということがわかりました。
自分のチームやメンバーを機能として見る側面が強く、そういった姿勢で管理してきた人は、KPI管理型の組織に向いています。一方、顧客としての「人」に積極的に関わり支援していくコンサルティング型の組織には不向きです。
人への興味関心は、会話のなかでの登場人物への目(心)の向き方でわかります。象徴的には、応募者の面接中、面接官に対しての興味関心の有無からもこの部分はかなりわかるのです。人に興味関心が高い人は、面接中でも面接官そのものに興味が向きます。
「この面接官は、どんな人なんだろう? 何が好きで、なぜこの会社に入ったのかな?」私自身、自社の面接では内心、応募者のこの部分での目の向き、心の向きに常にアンテナを張っています。
あなたの風評にも直結する「顧客や外注ベンダーの捉え方」
一つ目に応募者の方の「自分のメンバーたちの捉え方」について話しましたが、これは外部の「顧客や外注ベンダーの捉え方」も同様です。
お客様を「ネタ」「玉」などと呼ぶ体質の企業で育った人なのか、あるいは支援したい人と見るマインドセットを醸成してきた人か。
顧客は金づるだというようなマインドセットのマネジャーが、サブスク型サービスなど継続取引の重要性が更に増している時代に、売上成果を継続的に出すことはもはや難しいでしょう。
「顧客第一」「顧客の立場に立って」と誰もが言いますが、それがお題目の人と、心からそう思っている人とは、会話の端々での「顧客の呼び方」でどちらなのかはバレバレです。
外注先に対しても、パートナーとして付き合ってきた人と、「発注してやってるんだ」というマインドで付き合ってきた人とで、そのマネジャーが、転職した先で最適で良好なベンダーマネジメントができるか否かは天と地です。
これまで信頼関係を築いてきた人には、新しい場に移ってからも、頼りになる外注ベンダー各社は喜んで支援してくれるでしょうし、金を払ってやってるんだ的な付き合いをしてきたマネジャーには、新天地で声がけされてもけんもほろろになるばかりです。
採用する側からすれば、これらの観点からしても、どちらのタイプのマネジメント人材を採用するかで、パフォーマンスは天と地ですし、更には自社のブランドと信用問題としても天国と地獄になるのですから、応募者のあなたがどちらのタイプなのか、見極めに真剣勝負なのです。
日常から心を正して行動するべし
これらのことは面接対策として何かをすることではありません。日ごろの仕事の姿勢、生き方の姿勢に尽きます。
あなたが思うよりも、人は見ているし、リファレンスは出回るものです。マネジャーとして仲間達と協働して、世に貢献する仕事をしていかれたいなら、日常から心を正して行動するべし、ですね。
何かの人間関係的な理由で転職を考えることになったならば、よきリーダーとして新天地で活躍するために、本記事でご紹介したような「ダークサイド」チェックを、念のため、ぜひ行ってみてください。
井上 和幸
株式会社 経営者JP
代表取締役社長・CEO
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