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年金繰下げ、するんじゃなかった(涙)…70歳まで歯を食いしばり、必死の先送りで増額も「削り取られる金額」に絶望【FPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月1日 11時15分

年金繰下げ、するんじゃなかった(涙)…70歳まで歯を食いしばり、必死の先送りで増額も「削り取られる金額」に絶望【FPが解説】

(画像はイメージです/PIXTA)

老後資金を増やす方法として、年金の繰下げ受給があります。しかし、場合によっては、繰下げ受給でかえって不利になるケースもあるため、注意が必要です。ここでは、年金の繰下げ受給の失敗事例について、FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

年金繰下げ受給、そもそも長生きが前提なので…

公的年金を受給している高齢者の方からは、ときどき「繰下げて失敗した」「じっくり検討すべきだった」という後悔の言葉を聞くことがあります。なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

そもそも、年金の繰下げ受給とは、年金の受給開始時期を65歳よりも後にずらすことによって、受給額を増額する制度です。

受給開始時期は66歳から75歳まで遅らせることができます。繰下げ期間1ヵ月につき0.7%ずつ受給額が増額し、5年間繰下げるとすれば、「0.7%×12ヵ月×5年=42%」も増額されることになり、増加した額を生涯変わらず受け取ることができます。

ここまでの増加が見込めるにもかかわらず、繰下げ受給を行って後悔するケースとして考えられるのは「早くに亡くなってしまった」というケースです。

70歳まで受給を繰下げた場合、受取り総額で65歳受給開始した人を上回るには、82歳まで生きる必要があります。男性の場合、平均寿命である81歳で亡くなれば、繰下げ受給したことで受取り総額が少なくなってしまうのです。

厚生年金の繰下げで「加給年金」がもらえなくなる!?

繰り下げ受給によって後悔するケースの2つ目としては、厚生年金の受給開始を遅らたことで、加給年金が受け取れなくなる、ということです。

加給年金とは、65歳になったときに扶養する配偶者や子どもがいる場合、老齢厚生年金に上乗せされて支給される年金のことです。年下の配偶者がいれば、年額22万円から39万円ほど、未成年の子どもがいれば、1人目と2人目が年額22万円、3人目以降は年額7万5,000円を受け取ることができます。「年金における家族手当」のような制度だといえます。

しかし、加給年金をもらえるのは、配偶者が65歳になるまでの期間となっており、年金受給開始を繰下げると、必然的に加給年金をもらえる期間は短くなります。

そのため、厚生年金を受給できる場合は、厚生年金の繰下げは行わず、基礎年金だけ繰下げを行うことをお勧めします。

年金額の増額で「税金&社会保険料」が増額される!?

ほかに繰下げで不利になる可能性があることとして、繰下げ受給で年金額が増えると、税金や社会保険料の負担が重くなってしまう、ということが挙げられます。

所得税は、所得が高いほど税率が上がっていく累進課税方式が採用されています。そのため、年金額が増えると適用される税率が上がってしまう場合があるのです。同様に、年金額が上がり、所得が増えると、健康保険料や介護保険料も増えることになります。

そもそも、少子高齢化で年金財政は厳しいですから、5年後の社会保険料は、いまより上がっている可能性があります。将来的に年金は減らされることはあっても、社会保険料や所得税が減ることはないでしょう。

そのことを加味すると、早い段階で受給を開始する、というのも選択肢の一つでしょう。

年金額の増額で「医療費の自己負担割合」が上がる!?

年金額を増額させることによって不利になる点はまだあります。

所得が増えることによって、病院の窓口で支払う医療費の自己負担割合が高くなる可能性があるのです。75歳以上の後期高齢者医療制度では、所得145万円以上になると自己負担割合が3割になってしまいます。年金額が42%増えても、医療費の支払額が増えてしまうと、総合的にみると損をしてしまう可能性があるのです。そのため、定期的な通院が必要な方の場合は特に注意が必要です。

また、医療費が高くなってしまった場合にも、健康保険には、毎月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合にその超過分を払い戻してもらえる「高額療養費」という制度があります。

しかし、年金額が増えて課税所得が145万円以上になると、高額療養費の上限額が1.4倍に上げられてしまいます。

このように、年金額を増やそうと安易に繰り下げ受給をしてしまうと、かえって損をしてしまう可能性があります。どのように受給するのが一番得をするのか、総合的に判断をして、受給開始時期を決定することをお勧めします。  

岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

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