年金16万円「老人ホーム入居」の80代父に異変、駆けつけた娘が思わず目をそらした惨憺たる光景
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月2日 5時15分
昨今、高齢者の住まいとして有効な選択肢になりつつある「老人ホーム」。入居の理由はさまざまですが、一度入居すれば安心……というわけではありません。ときに退去を意識するような出来事も……みていきましょう。
老人ホーム入居を考えるきっかけ「第1位」は認知症
株式会社LIFULL seniorが行った『介護施設入居に関する実態調査 2023年度』によると、老人ホームへの入居を考えるきっかけになった状況のトップは「認知症」。そのなかでも「排泄の失敗」(32.3%)「お金の管理ができない」(29.0%)が、入居のきっかけとなったと回答しています。
【老人ホーム入居のきっかけとなった「認知症の症状」上位5】
1位「排泄の失敗」32.3%
2位「お金の管理ができない」29.0%
3位「怒りっぽくなる/暴力をふるう」18.2%
4位「食事のトラブルを起す」17.2%
5位「外食して戻れなくなる/家を間違える」16.7%
先日、80代の父親が老人ホームに入居したという50代女性の場合も、きっかけは認知症。症状はまだ軽いというものの、火の始末を忘れたり、買い物でトラブルを起こしたり。そんな状況に、父親自身も不安を覚えたり……女性はフルタイムで働いているため、つきっきりというわけにはいきません。女性のためにも、父親本人のためにも、老人ホームへの入居は最善の選択だったと振り返ります。
入居前、父の貯金は2,000万円弱。年金は月16万円、手取りで14万円ほどでした。色々と逆算し、入居一時金は500万円まで、月額費用は20万円までを条件に老人ホームを探し始めます。
また距離があると面会に行くのも大変になるので、女性宅から車で1時間以内で行けることも重要視。さらに医療、介護のサポート体制も万全で、看取りにも対応していることも絶対でした。
これらの条件に合う施設としていくつかの施設をピックアップしたものの、昨今の物価高を受けてどこも月額費用を改定。予算をアップするか、低予算で入居可能な特養に申し込むか……。
結局、予算を3万円ほどオーバーするもののすぐに入居できる有料老人ホームに入居し、もし特養に空きが出たらそのときは転居を考えることにしたといいます。
老人ホームに入居した80代の父から頻繁に電話連額…
老人ホームに入居してから、不安感が薄れたからか、父親の認知症の症状は良くなった(正確には進行が鈍化した)とか。
だからといって、老人ホーム、一度入居が決まれば死ぬまで安心というわけではありません。入居から8ヵ月ほど経ったころ、父親から頻繁に連絡が来るように。
――着替えのパジャマはどこにしまってあるのだろう?
――今日の夕飯の献立はなんだろ?
――靴が見当たらないのだが……?
どれも「スタッフの皆さんに聞いてみた?」と返事するようなものばかり。あまりに電話がかかってくるので「おかしい……」と思い始めた女性。その週の日曜日に父親に会いにいったといいます。そこで見た父親の姿に、女性は思わず目をそむけそうになったといいます。
――お父さん、どうしたの! オムツ、替えてもらってる?
どうやらオムツはいっぱいいっぱいとなり横漏れ。シーツが汚れていました。「どうなっているのよ、スタッフは?」と周りを見渡すと、そこで違和感を覚えます。
――あれっ、前に来た時よりもスタッフの数が少ない……
そのときです。施設中に響き渡る怒号。どうも入居男性がスタッフの失態を責めているよう。
――こんなに大声で怒鳴らなくても……
しかし事態はさらにエスカレート。入居男性の暴言が止まりません。
――アホ
――クズ
――こっちは高い金払っているんだから、早くしろ
思わず、怒りの沸点が続くことに呆気にとられるほど。このあと分かったのは、この入居者男性のひどいカスハラに耐えられず、多くのスタッフが離職。人手不足により、サービスが低下していたのです。オムツを替えるべき時に手があかず、放置さえることも増えているということがわかりました。最近、女性への電話が増えているのは、スタッフを頼ることもできない状態にあることも一因のようです。
株式会社SOKKINが行った『介護士のカスハラ実態調査』によると、96%の介護士が「利用者との関わりで困ったことがある」と回答。具体的なこととしては、最多が「ワガママ・言うことを聞いてくれない」で39%。「認知症患者の対応」が36%。「業務外の頼みごとをされる」「個人的に連絡先を聞かれる」と続きます。
さらに「利用者から暴力やハラスメントを受けたことがあるか」の問いに対しては88%が「ある」と回答。またこのようなことが起きた際、「上司に報告したが適切な処置はとられなかった」が57%と6割弱にのぼります。
カスハラに悩む介護業界。認知患者を受け入れている場合、入居者による暴言や暴力は日常茶飯事のため、カスハラか認知症の症状かを線引きするのは難しいもの。度を過ぎたものでも放置しがちで、それにより職場環境が悪化→退職者が続出→サービスの低下という悪循環になるケースも珍しくなく、それがまさに女性の父親が入居する老人ホームだったわけです。
――高いお金を出してまで、このホームにこだわる必要はあるのか
老人ホームの転居も視野に入れているといいます。
[参考資料]
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