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もしいま、80代の母が亡くなったら?「ボロアパート+共有名義不動産+引きこもり姉」をどうすれば…50代の長男「資産総額9,000万円」相続対策の絶体絶命

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月3日 11時45分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

ある男性は、母親の相続に強い懸念を抱いていました。不動産は共有名義で、空室が目立つ築古のアパートがあり、そしてそこには引きこもりとなった姉が暮らしていて…。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、事例をもとに解説します。

3つの不動産、いずれも「母親+子ども」の共有名義に…

今回の相談者は、50代会社員の山田さんです。80代の母親の相続対策について悩んでいると、筆者の事務所を訪れました。

「母も高齢となり、相続の心配が出てきたのですが、じつは不動産の権利関係がややこしくて…」

7年前に亡くなった山田さんの父親は、預貯金のほか、自宅・アパート・駐車場の3つの不動産を所有していました。預貯金は母親が相続しましたが、不動産は、母親と子どもたちの共有になっています。

山田さんの家族構成と不動産の権利関係は、下記のようになっています。

●家族構成

母親(80歳)

長女(56歳)未婚、無職、アパートの一室に居住

長男(52歳)母親と同居、会社員、妻と子ども2人あり(相談者)

二女(50歳)隣県に在住、会社員、夫と子ども2人あり

●不動産の共有状況

自宅:母親+長男

アパート:母親+長男+二女

貸駐車場:母親+長女

山田さんは、母親の相続が発生したら、不動産の共有が問題になると考えているほか、築40年近いアパートも、半分が空室になっているなどの問題があり、不安を抱いています。

不動産の共有+築古アパート+引きこもりの姉

山田さんの資産についての悩みをまとめると、下記のようになります。

①相続税額が不安

②母親と妹との3人の共有名義のアパートどうすべきか悩んでいる

③不動産会社から老朽化したアパートの建て替えを勧められ、迷っている

一方で、家族関係についての懸念点もあります。

①独身で無職の姉のサポートはできる範囲でするつもりだが、自分の家族に負担はかけられないと考えている。

②隣県在住の妹はすべてに非協力的で、不満をもっている。だが、揉めるのは得策ではないと考えている。

「もしこの状況で、母に万一のことがあったら、一体どうなってしまうのでしょう? 相続したら恐ろしくて、いてもたってもいられません…」

不安を洗いざらい話し終えた山田さんは、頭を抱えました。

現状を分析したら、課題が見えてきた

提携先の税理士がまとめたところによると、母親が保有する不動産の持ち分は合計でおよそ7,500万円、預貯金が1,500万円。資産総額は合計9,000万円超で、相続税額はおよそ500万円程度になるとのこと。

不動産:自宅、アパート、駐車場

不動産の状況:いずれも母親と子どもの共有

不動産の評価:母親の持ち分の合計で7,500万円

その他の資産:預金1,500万円

母親の資産の合計額:7,500万円+1,500万円=9,000万円

相続税額:500万円弱

不動産が共有であることから、相続時には母親の持ち分を共有する子どもに相続させる配慮が必要です。また、築古となったアパートは、今後の維持費を考えると、建て替えも視野に入ってきます。

遺産分割の内容は、不動産に価格差があることから平等に分割することはできません。そのため、母親が遺言書を準備し、争いを防ぐ手立てが必須です。

高齢になる母親や、独身の姉の生活支援は山田さんが担当することになるため、寄与分として遺産分割に反映させる配慮もあったほうがいいでしょう。

◆相続対策の提案①…築古アパートの解決策

筆者と税理士は、課題となる築古アパートの対策について、いくつか案を出し、比較検討を行いました。

プラン1:売却したお金で区分マンションを複数室購入し、資産を組み換え

プラン2:アパートを1棟新築

プラン3:アパートを2棟新築

プラン4:戸建て賃貸を4棟新築

◆相続対策の提案②…築古アパートの共有問題への解決策

アパートへについて慎重に比較検討した結果、所有割合が多い山田さんが、妹の持ち分を買い取り、共有しない方法が適切であると思われました。

そのことから、建て替え時に妹から所有分を買い取ることで共有を解消する方法で検討することになりました。

◆相続対策の提案③…母親による遺言書作成

相続時にもめないよう、母親には遺言書を作成してもらうことが重要です。

同居する山田さんは自宅とアパート、姉には家賃収入がある駐車場、妹には預金という内容が現実的な遺産分割だと想定されます。

また、遺言書の作成にも着手することになりました。

問題意識を持ち、先手を打つことが重要に

相談者の山田さんは長年にわたり母親と同居して生活の支援をするほか、不動産の管理も行ってきました。

姉は不動産に関心がなく、妹は他県に暮らしており、母親の相続対策は山田さんが主導するしかありません。

母親はいまのところ健康ですが、それでも積極的に対策をするのは大変であることから、こちらも山田さんが働きかけたことで、相続対策が進み始めたという状況です。

複数の選択肢を慎重に検討した結果、山田さんが妹の持ち分を買い取り、母親名義で1棟のアパートを建てるというプランでまとまりました。収益も増え、相続税もかからなくなります。

「母が元気なうちに対策ができ、本当によかったです。相続発生後も、姉の生活を守ることができますし、妹も現金でかまわないと納得してくれました」

山田さんのケースは、問題意識のある子どもが率先して動いたことで、将来の円満な着地点が明確になった例だといえます。

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

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