“日本三大秘湯”に“冷たい源泉”まで…珍しい泉質の宝庫「四国」が誇る、〈本物の源泉〉を堪能できる「至極の秘湯」5選【温泉博士がおすすめ】

（※写真はイメージです／PIXTA）

四国といえば、有名な愛媛県の「道後温泉」をはじめ、全国的にも珍しい泉質の温泉や、本物といえる「源泉かけ流し温泉」など、さまざまな温泉地があります。温泉博士であり弁護士である小林裕彦氏の著書『温泉博士×弁護士が厳選、とっておきの源泉かけ流し325湯』（合同フォレスト）より、夏の旅行にもおすすめの、四国で出会える、とっておきの源泉かけ流しの秘湯を紹介します。

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珍しい泉質を感じる「徳島県」「愛媛県」の源泉かけ流し

1．祖谷温泉　和の宿　ホテル祖谷温泉【徳島県】

アルカリ性単純硫黄泉です。pHは9.1で、アルカリ度が高いです。

ケーブルカーを降りて歩くと、川沿いに露天風呂があります。38度のぬるめの源泉がかけ流されています。写真では透明に見えますが、日によって青白く見えることもあります。

微かな硫黄臭に加え、源泉中に細かな泡がたくさん見えます。源泉の注入口は、泡で白く濁っています。全国的にも大変珍しい泉質です。源泉が新鮮な証拠です。

祖谷温泉は、ニセコ薬師温泉（北海道、廃業）、谷地温泉（青森県）とともに、「日本三大秘湯」と呼ばれていましたが、建物が立派なせいか現在は秘湯感はあまりありません。

2．道後温泉　旅館常磐荘【愛媛県】

道後温泉は「日本三大古湯」といわれていますが、源泉かけ流しの少ない温泉地です。

しかし、ここと道後湯の宿さち家さんは、立派に源泉をかけ流しています。塩素浸けになっていないので、肌を刺すようなピリッと感や、かさかさ感がありません。浸かると少しとろみを感じ、芳しい温泉臭がします。湯上がりは、肌が生き返ったような感じがします。

「本来の道後温泉の源泉はこんな感じか」ということが分かる、実に良い泉質です。

この旅館は、浴槽が一つだけです。限られた源泉をかけ流しで提供するためには、浴槽を大きくしたり、数多く作ったりすることができないことが分かります。

四国らしい山あいの“香り”を感じる「愛媛県」の源泉かけ流し

3．権現温泉　権現山荘【愛媛県】

アルカリ性単純泉です。松山市の郊外にあります。道後温泉本館から車で15分くらいの距離です。

「四国にこんな本物の源泉かけ流しの温泉があるの」と思えるような温泉で、特徴はヌルヌル感です。アルカリ度が高いのでしょう。道後温泉の数少ない源泉かけ流しの温泉よりも、ヌルヌル感があります。湯上がりは全身つるつるになります。

源泉は28度なので、加温しています。常時源泉がかけ流されているわけではありませんが、バルブをひねると加温された源泉がドバーッと出てきて、「セルフかけ流し」を楽しめます。

建物はしゃれていて快適です。料理もうまい。穴場の源泉かけ流し旅館です。

4．鈍川温泉　鈍川温泉ホテル【愛媛県】

JR今治駅からバスで30分ほどの場所にあります。かなり泉質が良く、ヌルヌル感が強い。浴槽の中でずるっと滑りそうになります。

特に、ユニットバスの源泉風呂が素晴らしい。約20度の冷たい源泉です。温泉はなんでもかんでも沸かすのではなく、自然のままかけ流すのがベストです。

この源泉浴槽がサウナの冷やし湯に使われているのは大変残念ですが、湯量が多いのでまったく問題ありません。

露天風呂は、清流を見下ろす感じで風情があります。こちらは加温のかけ流しです。川のせせらぎと、季節によってはホトトギスやカジカガエルの鳴き声しか聞こえない、静かな空間です。

四国らしい山あいの「香り」を感じます。

5．鷹ノ子温泉　たかのこの湯【愛媛県】

アルカリ性単純泉です。四国では大変珍しい、源泉かけ流しです。道後温泉から車で15分くらいです。

新源泉は47度で、露天風呂にかけ流されています。つるつる感と微かな硫黄臭を感じる、やわらかな良い泉質です。旧源泉は31度で内湯に半循環されていて、大体15分ごとに源泉がドバドバとかけ流されます。おそらく桝たてで源泉をためて、それがいっぱいになるとかけ流されるのだと思います。

この旧源泉の泉質が実に良い。とろみがあり、ぬるめで気泡が含まれています。私は本来、半循環にはあまり入らないのですが、ここは源泉がかけ流されている間、その注入口辺りで浸かります。

小林 裕彦 小林裕彦法律事務所 代表弁護士