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エンディング・ノートも遺言も“無意味”?…東大卒の医師・和田秀樹が「終活はしなくていい」と言い切るワケ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月18日 10時0分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

「自分でつくった老後資金は自分のために使うべきだ」と主張する和田秀樹氏。昨今流行のエンディングノートや遺言、お墓準備など、遺族のためを思って行う「終活」も無意味であるといいます。和田氏の著書『老害の壁』(エクスナレッジ)より、その理由について詳しくみていきましょう。

老後資金は自分のために…遺族のための「終活」はしなくていい

「自分のための立派なお墓」はほとんど意味がない

老後資金は自分のためにお金を使うべきです。なかには、そのお金で自分が入る立派なお墓を建てる人もいますが、これはほとんど意味がないと思います。お墓は誰かが守ってくれないと存続できません。考えてみてください。この少子化の時代、あなたの家が100年後に残っている保証はどのくらいあるのでしょうか。

それより、お墓に1000万円使うお金があるのなら、例えば、そのお金を自分の出身学校に寄付して、ミニ図書館をつくってもらって、そこに「〇〇記念図書館」と自分の名前でも残したほうがよっぽど価値があるのではないでしょうか。

最近流行の「エンディング・ノート」も“無意味”

お墓はもちろんのこと、最近流行のエンディング・ノート(死後、家族が様々な判断や手続きを進める際に必要な情報を残すノート)というものも無意味だと思います。おそらく、エンディング・ノートに書かれていることは、それほど遺族の役には立たないのではないでしょうか。

それに自分が死んでからのことを考えるより、生きているうちに、思い出になる物とか、楽しい思い出を残すべきです。それなら、自分が死ぬまで楽しむことができます。

最近、「終活」といって、死ぬ前にいろんなことを整理することが流行っていますが、これもあまり意味のある行動とは思えません。

唯一、やっておいたほうがよい終活があるとすれば、死後家族に見られたくないもの、恥ずかしいものを処分しておくことぐらいでしょうか。中には、死後は恥ずかしくもなんともないのだから、それすらも意味がないという人もいます。

いずれにしても、遺族のために残すという発想からは自由になったほうがよいと思います。

日本の「遺言」は効力が弱い…望まぬ相手にも“平等”に相続

それでも、自分をよく世話してくれた子どもにだけにはお金を渡したいからと、遺言を残す人がいます。でも日本は遺言の効力が弱すぎて、その子どもだけにお金を渡すことができません。

イギリスなどは、この人に全財産を残すといったらその通りに相続されます。それに対して日本は、「自分の介護をしてくれた子どもに全部相続させる」という遺言書を残しても、遺留分(一定の相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合)があるから、それはできません。それどころか、勝手に家を出て行って死ぬまで帰ってこなかった子どもにも平等に相続されてしまうのです。

筆者が「相続税100%」を主張する理由

この平等相続というやり方は、早く廃止すべきだと私は思っています。私は以前から原則として相続税100%を主張していますが、その1つの理由に、こんなケースが想定されます。

例えば、兄が地方の親の土地で農業をやっていて、弟は家を出て東京に行ってしまったとします。その場合でも、親が死んだら弟も農地を半分ずつ相続します。でも弟は地方に戻ってきて農業する気はないので、「兄貴、俺に半分の地代をくれ」とか言うわけです。

それに対して、兄がムカついて金を渡さないと、弟の相続分の半分の農地は耕作放棄地になってしまうのです。地方にはそれが理由と思われる、半分荒れている農地がいっぱいあります。

農業を継続するなら相続税0%、そうでないなら100%とすれば、弟はたぶん相続放棄するでしょう。そうすれば、兄は親から譲り受けた土地を全部使って農業を続けることができます。

あるいは、介護をしていた子どもだけ相続税を安くするということも考えられます。当然、介護していない子どもは相続税100%となります。そんなことは税法を変えるだけでできるのですから、国会で議論すべきだと思います。

自分で稼いだお金の使い道は、最期まで自分で決めていい

でも今はそうなっていないわけですから、やっぱり子どもに財産は残さないほうがよいと思います。

長生きすればいつかは介護が必要になってくる可能性があります。そこで、お金をいっぱい持っている人が、サービスがとてもよい介護付き有料老人ホームに入ろうとしたとします。例えば、10年償還で1億円の老人ホームに入ったとすると、10年たつと、子どもたちの相続分が1億円減ることになります。

それを嫌がる子どもたちは、「そんな立派な老人ホームに入らなくても、俺たちが面倒みるよ」とか口では言うものの、実態はヘルパーに全部まかせっきりで、親身になって面倒を見てくれないかもしれません。

介護される側としては、せっかくよい介護サービスを受けるためのお金を持っていたのに、最低なサービスを受けることになってしまうのです。

そもそも、自分で稼いだお金なのに、その使い方をなぜ子どもにあれこれ言われなければならないのでしょうか。きょうだいがいれば喧嘩の元になりますし、子どもにお金を残してよいことは1つもないと思います。

昭和の時代のように、親が死んだときに子どもが30歳ぐらいだったら、遺産を孫の教育費や、子どもの家のローンにも使えるかもしれません。

でもみんな長生きする時代の今なら、親が死んだとき、子どもは60代くらいになっています。子どもが家のローンを払い終わって、その子ども(孫)の子育ても終わっているのですから、お金を残してあげる必要はありません。

和田 秀樹 精神科医 ヒデキ・ワダ・インスティテュート 代表

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