投資初心者は要注意…高配当利回りランキングに入っていても「絶対に手を出すべきではない」銘柄【経済誌元編集長が助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月11日 11時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
どの銘柄を買おうか選ぶ際、メディアなどの「高配当利回りランキング」をチェックする人も少なくないでしょう。しかし、そうしたランキングに入っていても手を出すべきではない銘柄があるといいます。そこで、本記事では『一生、月5万円以上の配当を手に入れる!シニアが無理なく儲ける株投資の本』(日本実業出版社)の著者である川島睦保氏が語る、「手を出してはいけない銘柄の特徴と理由」を書籍から一部抜粋してご紹介します。
高配当利回りでも買うべきではない銘柄とは?
メディアなどの高配当利回りランキングに名前を連ねていても、絶対に手を出してはいけない銘柄もある。予想配当利回りが7~8%の高水準であっても、過去の業績が増減益を繰り返す不安定な企業は、要注意だ。
こうした会社のなかには、高株価を維持するために意図的に高めの業績や高配当の予想を発表し、期の途中で業績が悪化すれば臆面もなく業績予想を下方修正し、高い配当予想も撤回してしまう確信犯的な企業がある。こうした銘柄に引っかかると、減配と株価下落のダブルパンチを食らってしまう。
また予想の配当利回りがいかに高くても、配当性向(1株配当÷1株益)が100%、あるいはそれ以上という銘柄も危ない。とくに注意が必要だ。
配当性向とは、会社が税引き後の純利益のなかから、どのくらいを配当の支払いに回したかを示す指標だ。配当性向が100%とは、税引き後の純利益をすべて株主に配当金として手渡すことだ。これでは利益を内部留保として蓄えることができず、将来の成長に向けた投資が行なえなくなってしまう。
配当性向が100%以上とは、期間利益だけでは足りず内部留保を取り崩してまで配当を支払っているということだ。これは業界用語でタコ足配当(タコ配)という。企業が原資となる資金が十分ないにもかかわらず、身の丈以上の配当金を支払うことをいう。
このような事態が続くと、設備投資の資金はすべて外部資金(借金)で賄わなければならなくなる。そうなると借金の金利負担によって企業の収益力は弱まり、高配当を持続できなくなる。当然、株価も上昇しない。こうした銘柄は私たちが目指している長期投資には向かない。
外資系ファンドなど一部の大株主から高水準の配当を要求される事例が増えている。株の買い占めや敵対的TOB(株式公開買い付け)を防ぐために、会社みずからが実力以上の高額の配当を行なっているケースがある。こうした高配当利回りもまた人為的、作為的なものであり、持続性に疑問が残る。
私の独断と偏見かもしれないが、生活に身近な食品株にも注意が必要だ。半導体や電子部品に比べて、業績の伸び率が低いうえに、配当利回りも低い。唯一の取り柄は生活に密着しているために倒産の可能性が低いことだが、この程度の配当利回りなら他の業界にごろごろしている。
配当利回りが低いのに株主優待を実施している企業も要注意
配当利回りの低さを株主優待で穴埋めしているような企業がある。これなども私は推奨する気になれない。一種の目くらましだ。株主優待に回すお金があるなら、配当額に上乗せするのがセオリーと声を大にして言いたい。
少し人間臭い話になるが、同じ人物が社長、会長として長く君臨して(居座って?)いる会社にも用心が必要だ(ただし創業社長の場合は除く)。
特定の人物が長くトップ経営者として君臨できるのは、企業を長年成長させ、連続増益を維持してきたからだろう。しかし裏を返せば、そうした会社の業績は〝伸びきっている〟場合が多い。どのように優秀な人物であっても、社長・会長としての〝賞味期限〟はせいぜい4~6年だ。後は〝付録〟に過ぎない。
それでも連続増益が続いているのは、側近(取り巻き)たちがその後の出世(あるいは保身)のために乾いた雑巾をさらに絞るような努力を続けているからだ。乾いた雑巾を力任せに絞れば、雑巾はビリっと破れて使い物にならなくなってしまう。
こうした会社は〝大物〟社長が引退したら、それまでの無理がたたって業績が急悪化するので、長期投資に向かないというのが私の経験則だ。
川島 睦保
フリージャーナリスト、翻訳家
※本記事は『一生、月5万円以上の配当を手に入れる! シニアが無理なく儲ける株投資の本』(日本実業出版社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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