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土地の「生前贈与」は損か得か?かかる費用や税金について税理士が解説

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月6日 9時15分

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※画像はイメージです/PIXTA

土地は生前贈与すべきか、それとも相続するべきか……よく議論されますが、生前贈与を考えるにしても、その進め方や費用、税金についてしっかり理解していないと判断がつきません。そこで土地の生前贈与の基本と共に、そのメリットやデメリットについて考えていきます。

土地を「生前贈与」する際の手続きと流れ

土地の生前贈与には、「贈与契約書の作成」「名義変更登記」「贈与税申告」の大きく3ステップがあります。順番に解説していきます。

「贈与契約書の作成」

土地を贈与するということを書面に残します。法律では口頭でも贈与は成立することになっていますが、書面を作成しないと後々、名義変更登記や贈与税の申告の手続きを行うことができませんので、必ず贈与契約書を作成しましょう。

「名義変更登記」

土地の名義を変更するための変更登記が必要となります。法務局で手続きを行うのですが、自身で行うのが難しい場合には専門家である司法書士に依頼することも可能です。

「贈与税申告」

次項以降で詳しく解説しますが、生前贈与を行う土地の価格が年間110万円を超える場合には贈与税と呼ばれる税金がかかります。そしてその贈与税は納税者自身が計算し自分で税務署に申告かつ納税を行う必要があります。

土地を「生前贈与」するときにかかる「税金・諸経費の一覧」

土地を生前贈与する際には、そのときにかかる税金や諸経費のことを必ず考慮しておく必要があります。特に税金は生前贈与をした後からかかってくるもので、こんなはずじゃなかったと後悔しても手遅れになる場合もあります。生前贈与をする前に、ここでよく税金や諸経費について理解しましょう。

生前贈与に伴う名義変更で「登録免許税」と「不動産取得税」がかかる

生前贈与によって、不動産である土地の名義変更を行うことで、「登録免許税」と「不動産取得税」の2つの税金がかかります。

・登録免許税は固定資産税評価額の2%

生前贈与を行った土地の固定資産税評価額に対し2%の登録免許税がかかります。たとえば、5,000万円の土地を生前贈与した場合には、「5,000万円×2%=100万円」の登録免許税がかかります。

・不動産取得税は固定資産税評価額×1/2の3%

生前贈与を行った土地の固定資産税評価額に対し、不動産取得税がかかります。税率は原則4%ですが、土地と住宅については、軽減措置により令和9年3月31日まで3%となっています。また、土地が宅地である場合は、令和9年3月31日まで固定資産税評価額の1/2の金額に税率3%を乗じて計算します。たとえば、5,000万円の土地(宅地)を生前贈与した場合には、「5,000万円×1/2×3%=75万円」の不動産取得税がかかります。

土地の価格が110万円を超えれば「贈与税」がかかる

生前贈与をした土地の価格が110万円を超えると「贈与税」と呼ばれる税金がかかります。この価格は、相続税評価額で、詳細は割愛しますが、路線価をベースに計算します。一般の方が自分で正確に求めるのは困難なため、生前贈与しようとしている土地の価格がいくらになるのかは専門家である税理士に相談しましょう。

贈与税の税率は非常に高く、たとえば生前贈与する土地の価格が5,000万円を超えるとその税率は最高55%となり、半分近くを納税しなければならない計算になります。このため、通常は土地を生前贈与する際にはこの贈与税がかからないように節税対策を行う必要があります。

専門家に依頼する場合の手数料

土地の生前贈与に関する一連の手続きを専門家に依頼する場合には、司法書士と税理士に依頼する必要があります。土地の名義変更登記に関する手続きの代行は司法書士、贈与税の申告手続きの代行は税理士しか行うことができないためです。司法書士に払う報酬は、約5万円程度、税理士に払う報酬は贈与する土地の金額にもよりますが、5~10万円程度かかります。

土地の「生前贈与」を行う際の「贈与税」を節税するための方法

土地を生前贈与した際の贈与税の負担をできるだけ軽減する方法をご紹介します。税制で設けられている様々な特例をできる限り使用しますが、それぞれの特例に使用できる条件が定められていますので、あなたが適用できる特例がないかどうか確認してください。

婚姻期間20年以上の夫婦間で自宅の土地を贈与するなら2,000万円まで無税

婚姻期間が20年以上の夫婦間において、自宅の土地・家屋を贈与する場合には土地・家屋の価格2,000万円までは無税で贈与することが可能です。特に複雑な要件はなく、婚姻期間が20年であることと、贈与する土地・家屋に実際に住んでいればOKです。

通称、「おしどり贈与」と呼ばれる有名な特例で、この特例を利用して夫婦間で贈与を行われる方は多いです。ただし、この特例を適用するためには贈与を受けた翌年の3月15日までに、税務署に対して申告手続きを行う必要があるので注意しましょう。

「相続時精算課税制度」という特例で一時的に2,500万円まで無税

60歳以上の父母又は祖父母から18歳以上の子又は孫(令和4年3月31日までは20歳以上の子又は孫)に対する贈与であれば、2,500万円まで一時的に無税で贈与をすることが可能です。この特例を「相続時精算課税制度」といいます。特に、現金や土地に限らず贈与するものの内容は問いません。

ただし、あくまで“一時的”に無税になるだけで税金がかからないわけではありません。将来、贈与をした父母や祖父母が亡くなりその財産を相続する際に、相続税の課税対象となります。言わば、税金の計算だけ“後回し”にできる制度です。制度の名称にあるように、「相続の時に精算をする」ということです。

これまで、この「相続時精算課税制度」を利用すると年間110万円の基礎控除が使える「暦年贈与」が行えなくなるというデメリットがありました。しかし、令和6年1月1日以降は「相続時精算課税制度」でも年間110万円の基礎控除が使えるようになります。

複数年に分けて贈与することで110万円控除を繰り返し使う

年間110万円以内の贈与であれば贈与税がかかりません。これを利用して、土地の贈与を複数年にわけてこまめに行うという方法があります。そうすると、1,000万円の土地でも、10年間にわたって分割して贈与すると贈与税は無税で贈与することが可能です。

ただし、贈与の度に専門家報酬を支払っていたのでは、おそらくトータルコストでは逆に高くついてしまうことも考えられますので注意が必要です。実行される前には、贈与税のことだけではなく、土地を生前贈与する際にかかるトータルのコストを計算してみてください。

土地の「生前贈与」のメリット、2つ

なぜ、土地を生前贈与するのか、人それぞれ目的があると思いますが、ここでは土地を生前贈与した際のメリット・デメリットについて説明してみたいと思います。

メリットとしては大きく2つあります。一つは気持ちの問題です。ものを贈って感謝の気持ちを伝えるという目的で土地を生前贈与される方は実際にいます。もう一つは、相続税の節税です。前述の2,000万円まで無税で贈与できる「おしどり贈与」を行えば、贈与を行った人の相続財産から2,000万円分の財産が減ることになり、その部分の相続税の圧縮効果が得られます。

次に、デメリットですが、やはり諸経費でしょう。ここまで述べてきたように、登録免許税や不動産取得税、さらに贈与税や専門家の費用などがかかります。

ちなみに、土地を子供に渡す方法で生前に贈与する以外には、亡くなったタイミングで相続させるという方法もあります。具体的には「遺言書」を作成し、「この土地は、息子に相続させる」と書いておくことです。そうすると、相続によって土地を取得したものにはまず不動産取得税がかかりません。かつ登録免許税も固定資産税評価額の0.4%で、生前贈与のときの2.0%と比べると大幅に低い税率となっています。さらに、贈与税よりも相続税の方が通常は税率が低くなっています。

このように、土地を生前贈与するにはメリット・デメリットを理解し、諸経費のトータルをよく比較検討する必要があります。

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