来週はボラティリティ上昇の可能性 日経平均株価の「注意すべき値動き」【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月4日 13時55分
![来週はボラティリティ上昇の可能性 日経平均株価の「注意すべき値動き」【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_60882_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)が解説します。
●先物とオプションの清算が重なるメジャーSQを6月14日に控え来週はボラティリティ上昇の可能性。
●例えばSQ前に日経平均が39,000円を超えて上昇なら、デルタヘッジや裁定買いなどで一段高も。
●通常SQ前の株価の上下変動は一時的なものだが、今回はトレンド形成も考えられるため要注意。
先物とオプションの清算が重なるメジャーSQを6月14日に控え来週はボラティリティ上昇の可能性
6月物の株価指数先物とオプションは、6月13日が取引最終日となり、翌14日に特別清算指数(SQ)の算出を迎えます。今回は先物とオプションの清算が重なる、3ヵ月に1回の「メジャーSQ」です。一般に、メジャーSQの週は、先物やオプションの取引主体がSQ直前の限られた時間で取引判断を迫られるため、清算価格を巡る思惑的な売買が膨らみやすく、株価は一時的に大きく上昇(あるいは下落)することがあります。
そこで、日経225オプションの取引動向を確認します。6月物コールオプションの建玉(たてぎょく、未決済残高のこと)は、行使価格38,000円、39,000円、40,000円で、比較的大きく積み上がっていることが分かります(図表1)。そのため、SQの前日や前々日あたりで、日経平均株価がこれらの水準付近に位置していた場合、変動率(ボラティリティ)の大幅な上昇が予想されます。
![](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/9/1/800m/img_9156184ad47d805d125de7d871fe925e70687.jpg)
例えばSQ前に日経平均が39,000円を超えて上昇なら、デルタヘッジや裁定買いなどで一段高も
例えば、SQの数日前に日経平均が39,000円を超えて上昇したとします。この場合、行使価格39,000円のコールオプションの買い手には利益が発生しますが、売り手には損失が発生します。この時、売り手はコールオプションを買い戻そうとしても、すでにコールオプションの価格は急騰しており、買い戻しは難しい状況です。そこで、売り手は別途、日経225先物を買って、「デルタヘッジ」を行います。
デルタヘッジを行ったコールオプションの売り手は、日経平均の上昇で先物の買いポジションに評価益が発生するので、コールオプションの売りポジションの評価損を補填できます。なお、コールオプションの売り手による先物買いで、先物が現物に対し一時的に割高になると、裁定業者(主に証券会社)が先物を売って同時に現物を買う「裁定買い取引」を行うことがあります。その結果、現物である日経平均は一段と上昇しやすくなります。
通常SQ前の株価の上下変動は一時的なものだが、今回はトレンド形成も考えられるため要注意
しかしながら、その後、何らかの悪材料で日経平均がSQ前に39,000円を割り込んで下落した場合、デルタヘッジを行ったコールオプションの売り手は、コールオプションの売りポジションの評価損が消滅する一方、先物の買いポジションに評価損が発生するため、先物を売ってデルタヘッジを解消します。これが裁定業者による裁定買い取引の解消(先物の買い戻しと現物の売却)を誘発し、現物である日経平均は一段と下落しやすくなります。
このように、来週の日経平均はSQ前に、建玉の積み上がった行使価格前後でボラティリティ急騰が見込まれますが、通常はSQ前のポジション調整に伴う一時的なものと判断されます。ただ、5月27日付レポートで解説した通り、今回は日経平均の日足が一目均衡表の雲(図表2、6月4日から7月8日までは38,200円付近~38,900円付近)を大きく上抜ければ上昇トレンド、下抜ければ下落トレンドを形成することになるため、注意が必要です。
![](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/a/6/800m/img_a6cc531aac80534aa27e299a33402d5680756.jpg)
(2024年6月4日)
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『来週はボラティリティ上昇の可能性 日経平均株価の「注意すべき値動き」【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
外部リンク
- 来週はボラティリティ上昇の可能性 日経平均株価の「注意すべき値動き」【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
- 【約9.8兆円】政府・日銀が「過去最大の為替介入」に踏み切ったワケ…「再介入」の条件は?【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
- 【日本株】最近の「バリュー株(割安株)」と「グロース株(成長株)」の動きを検証する【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
- 「大谷翔平選手がホームランを打つと、日経平均株価が上昇する」というスゴい現象【エコノミスト・宅森昭吉氏】
- 30~50代の5人に1人が「新NISAを始めました!」でも…「新NISAはやめておけ」といわれる7つの理由
この記事に関連するニュース
-
【3ヵ月ぶり】日経平均「4万円台」回復…今後どうなる?プロが教える「株高持続」の条件【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月3日 12時30分
-
【株価「持ち直し」のカギ】24年4-6月期に「日経平均を押し上げた銘柄」と「押し下げた銘柄」【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月1日 12時30分
-
【日経平均は年末42,200円へ】日本株が上昇基調を回復するための“条件”【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月26日 12時40分
-
「1ドル=160円」突破寸前で高まる警戒感 「三度目の介入」の条件を探る【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月25日 14時15分
-
[今週の日本株]日経平均4万円台の回復は「近くて遠い」?~需給の整理と米国株市場の変化が焦点~
トウシル / 2024年6月17日 12時0分
ランキング
-
120年ぶりの新紙幣に期待と困惑 “完全キャッシュレス”に移行の店舗も
日テレNEWS NNN / 2024年7月2日 22時4分
-
2小田急線「都会にある秘境駅」が利用者数の最下位から脱出!超巨大ターミナルから「わずか700m」
乗りものニュース / 2024年7月1日 14時42分
-
3メルカリの「単発バイトアプリ」利用者伸ばす世相 「何が利点なのか」利用者と店舗の声を聞いた
東洋経済オンライン / 2024年7月3日 13時30分
-
4カチンコチンの「天然水ゼリー」が好調 膨大な自販機データから分かってきたこと
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月30日 6時30分
-
5「7月3日の新紙幣発行」で消費活動に一部支障も? 新紙幣関連の詐欺・トラブルにも要注意
東洋経済オンライン / 2024年7月2日 8時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)