“世界的巨匠”フランク・ロイド・ライトの名作に感動…自然あふれる邸宅文化が息づく街〈兵庫・芦屋〉の名建築10選
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月19日 11時0分
![“世界的巨匠”フランク・ロイド・ライトの名作に感動…自然あふれる邸宅文化が息づく街〈兵庫・芦屋〉の名建築10選](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_60893_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
関西随一の高級住宅街といわれる、兵庫県の芦屋エリアでは、近代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライトが作り上げた建築をはじめ、欧風の近代的な邸宅が立ち並んでいます。建築家である円満字洋介氏の著書『京都・大阪・神戸 名建築さんぽマップ 増補改訂版』(エクスナレッジ)より、芦屋で堪能できる珠玉の名建築を見ていきましょう。
建築と自然の一体感を大切にするフランク・ロイド・ライトの世界観
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フランク・ロイド・ライトの作品は自然との一体感を大事にするものが多い。もともと日本びいきで知られているが、おそらく東洋的な自然に寄り添った精神世界に対するあこがれがあるのだろう。樹林に埋もれるように建つこの建築を見ているとそれがよくわかる。
01.山小屋風現役医院「重信医院」
阪急芦屋川駅北口すぐの重信医院は駅前の洋館で、大切に使われてきたことがよくわかる今も現役の医院だ。スイスにでもありそうな山小屋風のデザインである。玄関ポーチのボーダータイルを飾り貼りにした柱や、欄間のステンドグラスなど見所が多い。窓や屋根も竣工当時のままだろう。塀のスクラッチタイルが珍しい。
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02.内部も必見。フランク・ロイド・ライトの精神世界「ヨドコウ迎賓館」
芦屋川沿いに北へ向かい、開森橋を渡ってさらに北のヨドコウ迎賓館は、清酒「桜正宗」の醸造元である山邑家の邸宅として建てられたライトの作品である。斜面を昇っていくように建てられている。外壁から屋上を飾る独特の装飾は、メキシコの古代文明マヤの遺跡から着想している。内部は日本建築の良さを応用しており、いたるところに風抜き穴がある。道路側からは何も見えないので、公開日を確認して内部もぜひ見学してほしい。
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03.安井武雄のデコ風モダニズム住宅「滴翠美術館」
再び開森橋で芦屋川を渡り、西方向にある滴翠美術館は、大阪のガスビルを作ったころの安井武雄の作品で、山口財閥の山口吉郎兵衛の邸宅として建てられた。戦後、蒐集された美術品とともに美術館として公開されたアールデコ風のモダニズム建築だ。瓦屋根を載せたのは周辺環境への配慮だろう。芦屋川をはさんで旧山邑邸と向き合っている。
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04.大正期郊外住宅の典型「旧山田歯科医院」
滴翠美術館から南へ向かい、阪急神戸線を越えたところの旧山田歯科医院は、大正時代の郊外住宅の典形だ。アーチになった玄関ポーチまわりなど、今でも設計の参考になる。屋根は元は瓦屋根だったかも知れない。おもしろいのは窓の上にモルタルで小庇を作っているところで、これも大正期の手法だ。
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05.阪神大震災に耐えた免震構造「芦屋仏教会館」
芦屋川沿いにJR神戸線を越えたところにある芦屋仏教会館は、芦屋に住んでいた丸紅の創業者伊藤長兵衛の建てた会館だ。片岡安にしてはあっさりとした設計で珍しい。サッシは取り替えられているが、内外部ともほぼそのまま大切にお使いになっている。驚くことに免震構造になっているそうだが、阪神大震災でそれがどう働いたのか興味がある。
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坂倉準三の名作から“謎の建築”まで…魅力深き「芦屋」の名建築
06.コルビジェの弟子・坂倉準三のセンスが光る「ルナ・ホール」
芦屋川をはさんで向かいのルナ・ホールは、コンクリート打ち放しの壁が美しい。今は表面を塗装しているが、ほとんど打ち放しの雰囲気のままだ。なかなかこうは改修できない。ホールという用途上、コンクリートの大きな箱になるわけだが、打ち放しのテクスチャーと表面に取り付けられたコンクリートのリブが圧迫感を消してくれている。坂倉準三はフランスでコルビュジェに弟子入りした戦後モダニズムのリーダーのひとりである。
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07.都市部街路の復元例「業平橋」
国道2号線が芦屋川に架かるのが業平橋だ。阪神国道事務所は順番に橋を復元していて、だんだん楽しくなってきている。戦時中の金属供出で街路施設は照明や欄干などを失い、戦後ほとんど復元されてこなかった。元来都市部の街路はもっと楽しげなものだったのだ。
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08.フクロウが見張り番「芦屋警察署」
さらに芦屋川沿いを南下して、阪神芦屋駅に近い芦屋警察署を見よう。ここは、ともかく玄関のフクロウがかわいい。夜も見張っているといいたいのかも知れないが、かわいすぎる。その上のアーチ窓と縦ラインの組み合わせは、表現主義的なおもしろさがある。さらに、玄関の緑色の大判布目タイルが美しく、復元したものだろうが、玄関扉は真ちゅう板を上手く使ったデザインで、まるでウイーン分離派のように華やかだ。
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09.元電話局の幸せなジョブチェンジ「芦屋モノリス」
芦屋警察署から東方向にある芦屋モノリスは、元電話局の建物を結婚式場に転用している。アーチを連ねた回廊風のデザインが素晴らしく、スチールサッシもそのまま残っている。アルミと違ってスチールはやはり細身でかっこいい。外装は焼きむらのあるスクラッチタイルで、所どころ模様貼りにしている。ここも阪神大震災でびくともしなかったそうだ。上浪朗は逓信省営繕の建築家である。
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10.詳細不明の謎の建築「芦屋市立図書館打出分室」
阪神打出駅前交差点を左折してすぐの芦屋市立図書館打出分室は、兵庫県教育委員会の資料では石造りとなっているが、わたしにはレンガ造りに石を貼っているように見える。元は松山与兵衛邸で、戦後図書館に改造したということだ。旧逸見銀行の建物ともいわれているがよくわからない。
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円満字 洋介 建築家
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