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決死の「内部告発」は単なる逆恨みか?従業員側と企業側、それぞれの言い分

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月30日 7時15分

決死の「内部告発」は単なる逆恨みか?従業員側と企業側、それぞれの言い分

経営側と従業員。労使問題という言葉があり、労働基準法をはじめさまざまなルールや制約があることからもわかるように、共に企業活動を行う組織の一員でありながら、時には利害が対立することも避けられません。これから紹介するのは、最近SNSなどでもよく見かける内部告発。内部告発は定期的にあり、一部は一般人のイメージと異なる顛末となっています。飲食業界で起きた3つの事例から、会社と告発者、双方の言い分をみていきましょう。

SNSで拡散した「ヤバイ飲食店」

まず一つ目の事例は、とあるラーメン店での話です。2020年のコロナ禍で、あらゆる場での手洗いと消毒用アルコール、マスク着用が徹底されましたが、特に飲食店や食品製造の現場は元から食中毒などを防ぐために衛生管理には気を配っており、コロナが5類になってからもルールを変えていないところが多いです。こちらの会社でもそのように指示していました。ところが店長が反マスク・反コロナ主義だったため、マスクや除菌アルコールの強制を快く思っておらず、トイレ使用、掃除などの後、一回一回きちんと手洗いしなかったり、鼻マスクで調理、接客していることが頻繁にありました。

新しく入店したYはその衛生観念の低さに腹を立て、「今日もあの人、鼻ほじった手でそのまま」「トイレしたら手洗ってくれよ!」「もう、OOラーメンは二度と食べれません」など、自身のXに数ヵ月にわたり投稿していました。店の名前を書いていたため、SNSユーザーからクレームが入り会社の知るところとなりましたが、その時にはすでにYさんは退店済みで、当該投稿は四桁に届くリツイートがされてしまっていました。SNSの拡散力たるや、スゴイものです。

二つ目の事例は、個人店の寿司店です。一般的な海鮮ネタよりも映える肉寿司とワインのマリアージュを売りにしています。インスタグラムの宣伝効果もあり、集客は上々だったのですが……。実はこのお店の経営者はレストランバーの経験しかなく寿司に関しては素人で、現場では魚と肉で調理器具を分けないなどの問題が見られました。

それを見咎めたお客様からの激しいからクレームを受けたアルバイトスタッフのKはその憤懣を、「うちのアホな上に言ってくれよ」「こちらわかる人にはわかる店なんで、どーぞ保健所に通報してください」「もっと怖いネタありますよ」など、某掲示板にあるバイト先の愚痴スレで発散したのですが、なんと経営者が定期行っているエゴサに引っかかったのです。

三つ目の事例は、とある居酒屋で起きたものになります。こちらの会社では、従業員が店舗のありかたや業務に問題を感じたときには、直属の上司、またはその上の者に相談し、正当な対応が見られない場合には会社の相談室に電話で報告するという社内規定があります。そして、業務上知り得た情報や、会社の名誉や評価を傷つけるような噂を流布することは禁じられています。

ところが、従業員のOさんは、このルールを破ってしまいました。スライスやカットしたレモンは居酒屋のドリンクやフードに欠かせません。前もって切ったものを容器に入れてあるのですが、ある日、その中に大きな虫が混入していました。見つけたOさんがその容器のレモンを廃棄しようとしたところ、上の人から叱責され、そのまま使うように命じられたのです。飲食店に害虫はつきものですが、当該店舗はペストコントロール(人に有害な生物の活動を、人の生活を害さないレベルまでに制御する技術)が甘いのか、従業員の意識が低いのか、冷蔵庫を開けたら中からゴキブリが飛び出てきたり、千切りキャベツのタッパーに虫が混入していたりしたこともありました。また、トイレ掃除では何故か、使い捨てのゴム手袋の使用がNGというルールも。

店側に言っても無駄だと感じていたOさんは、虫入りレモン事件の翌日、保健所に匿名通報してしまいました。また、Oさんによる通報を疑い、責めるLINEを送ってきた店長とのやりとりをすべてSNSで晒したのです。

「正義は巨悪に捩じ伏せられる」という誤解

上記の3事例はいずれも、従業員の解雇または退職、店側の利益損失、損害賠償請求の検討という展開になりました。それでは、悪いことを指摘された企業側が開き直って逆ギレしているだけではないか、そう思われる人もいるでしょう。これはネットでも多く見られる意見です。その背景には、不正の告発は正義だという価値観があります。事実、類似の裁判では、閉廷後、傍聴人から、企業が偽計業務妨害罪を主張するのは腑に落ちないという疑問の声がたくさん聞かれました。

しかしながらここで問題になるのが、告発の動機、方法なのです。偽計は嘘をつくことだけではなく、事実であっても社会通念上許されない手段で告発した場合、偽計業務妨害罪が成立する余地が十分あります。SNS上で度が過ぎた告発を行うのは、正に社会通念上許されない可能性があると言えるでしょう。

従業員から内部告発があった時点で損失…企業がすべきこと

では、従業員から外部に発信、告発されても企業は勝てるから構わないのでしょうか。決してそうではありません。イメージダウンした時点で、企業は負けです。悪評による売上ダウンやブランドイメージの失墜は、企業にとり絶対避けたい問題です。そのため、従業員に対し相談窓口などを設け、不正やパワハラ、セクハラなどの問題の対応に努めている企業は少なくありません。

一方で、残念ながら、従業員からの告発は握りつぶしているような企業も存在します。しかしこのご時世、悪い評判はネットなどをとおし必ず広まります。拡散してしまってからでは遅いのです。

このような事態を未然に防ぐにはどうしたら良いのか。まず行えることはすでに述べたように、従業員の意見に耳を傾けるなど、彼らの気持ちに寄り添うことでしょう。上記3事例いずれも、告発した従業員が普段から、職場のワンマン店長や先輩によるパワハラ気味な体制や嫌な人間関係に不満を溜めていた点が共通しています。嫌いな相手の不正、正しいことを言っても潰されるだけの職場、そういった条件が重ならなければ、もしかしたら違った展開だったのではないでしょうか。

企業側にとり、このような問題が起きた時点で損失なのですから、事が起きた後で従業員に対し、あいつを許さない、訴えてやると言った対処法を取るより、このようなことが起きないように人材マネジメント、またはそれよりも早い時点である採用活動においてトラブルの芽を積んでおくことが好ましいのは間違いありません。その点で、昨今、採用時バックグラウンド調査や現職従業員を対象にしたSNSチェックを行う企業が増えているのは、非常に賢明な判断であると言えます。

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