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「半身浴は健康によい」はウソ?…実は“医学的に効果なし”の入浴法3選【温泉療法専門医が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月29日 10時0分

「半身浴は健康によい」はウソ?…実は“医学的に効果なし”の入浴法3選【温泉療法専門医が解説】

一日の疲れを取るためにも、欠かせない「入浴」。入浴=健康によい、と手放しで考えがちですが、医学的観点からいうと、必ずしもそうとも限らないようです。医学博士であり、温泉療法専門医である早坂信哉氏の著書『最高の入浴法 ~お風呂研究20年、3万人を調査した医師が考案』(大和書房)より、実は「医学的効果のない」入浴の仕方について、詳しくみていきましょう。

疲れがとれない!「間違った入浴法」とは

私たちは、学校で「お風呂の入り方」を学ぶわけではありません。ほとんどの人が自分の好きなように入浴していると思います。

しかし、その中には、医学的にあまり効果的でないものもあります。ここでは代表的なものをいくつか紹介しましょう。

1.「シャワーだけ」の入浴

仕事でクタクタに疲れて帰った日は、浴槽にお湯を張るのも面倒なものです。そんなとき、シャワーだけ浴びて、さっさと寝てしまいたくなるという気持ちはわかります。

しかし、それはあまりにももったいないこと。

「入浴の7大健康作用」のうち、シャワーにも当てはまるのは「清浄作用」のみなのです(それも、お湯に浸かるより効果は低いです)。

残念ながら、シャワーだけでは健康効果はほとんどありません。

「どうしても時間がない」「お湯を張る気力がない」というときは、足湯を取り入れることをおすすめします。

体や髪を洗うときは椅子に座り、お湯を溜めた風呂桶や洗面器に足を浸けておくようにすると、ただシャワーを浴びるよりもずっと疲れがとれやすくなります。

温度はすこし熱めの43℃くらいに。さらに炭酸系の入浴剤を入れると、より体が温まり血液の流れもよくなります。疲労回復には、血液の流れをよくして体に溜まった疲労物質の排出を促すのが一番。時間がないときは、足湯が効果的です。

2.半身浴

かつて半身浴がブームになったことがありましたが、「半身浴ならでは」という特筆すべき健康効果はありません。基本的には全身浴をおすすめします。

そもそも、半身浴では入浴にとって重要な「温熱作用」の効果が半減してしまいます。しっかりと全身でお湯に浸かったほうが体は温まり、血流もよくなります。「静水圧作用」も全身浴のほうが強くはたらきます。下半身に、より大きな水圧をかけることで、むくみの解消につながります。

また、半身浴は水面下にある体の体積も小さくなるので、浮力作用も小さくなります。つまり、半身浴は、文字通り、すべての入浴効果が全身浴の半分になるのです。

肩こりなどの痛みにも、半身浴より全身浴のほうが効果的という研究結果もあります。

ただし、本を読むなど、風呂場でのんびり過ごしたいという方もいるかと思います。その場合は、のぼせにくく、体への負荷も低い半身浴がよいでしょう。

また、全身浴で息苦しく感じる場合や、心臓や肺に疾患のある方の場合は、全身浴では負荷が高い可能性もありますので、半身浴がよいことがあります。入浴法は医師と相談することをおすすめします。

「食後の入浴」の効果は医学的にも証明されているが…

3.お風呂で汗をかいて「ダイエット効果」を促進

熱いお風呂に浸かって汗をだらだらと流すと、かなりのダイエット効果があるように思うかもしれません。

しかし、結論から言うと、お風呂だけでは、あまりダイエットはできません。

確かにお風呂に長く入ると汗をかきますが、これは運動のときとは違う仕組みによります。私はお風呂でかく汗を「受け身の汗」と呼んで運動のときの汗と区別しています。運動のときは、自分の脂肪を燃焼させて体を動かし、結果として体温が上がりますので汗を出して体温を下げようとします。

一方、お風呂の場合、脂肪を燃焼させているわけではなく、お湯から熱をもらって体温が上がるのです。同じ汗でもお風呂の汗を「受け身の汗」と言うのはこの理由によります。

実際に、国が発表している身体活動の強さ(メッツ)を見ると、安静時が1とすると入浴は1.5です。散歩が3.5ですから、散歩の半分弱の強さの活動ということになります。このことからも、お風呂だけでどんどんやせる、ということにはならないでしょう。

ただし、間接的にダイエットにつながる効果もあります。

胃や腸が食べ物を消化するためには血液が必要ですが、この血液が分散してしまうと、消化がスムーズにいかないことがあります。この作用を逆手に取って利用するのです。

お湯に浸かると、体が温まり、皮膚表面に血液が分散します。そうすると、胃や腸のはたらきが抑制され、食欲を抑える効果があるのです。

また、食後に血糖値が高くなりすぎると脂肪となって体に蓄積しやすくなりますが、食後の入浴に高血糖になるのを防ぐ効果があることが以前の研究でも報告されており、この点からもダイエットにはある程度効果は期待できそうです。

ただし、もしお風呂上りに体重が0.5キロほど急に減ったとすれば、それは汗が出て脱水になったためなので、きちんと水分を摂るようにしましょう。

このように、ダイエットにお風呂が役立つ部分もありますが、それは「あっという間にやせる!」というものではありません。その点、注意が必要です。

早坂 信哉 温泉療法専門医  

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