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30代後半・年収800万円…「憧れのタワマンを継いだ長男」を悩ませる〈切ない事情〉

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月6日 18時45分

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(※画像はイメージです/PIXTA)

憧れだったタワマン暮らし。ゴミ捨ては楽だし、景色も良いし、本当に住んで良かったなあ……と気ままに暮らす住民にも悩みが。国土交通省『令和3年度 マンション大規模修繕工事に関する実態調査』とともにみていきます。

「突如相続したタワマン」だが…

タワーマンション(以下、タワマン)とは、基本的に地上20階建て以上、高さ60mを超える居住用高層建築物のことを指します。

高級感漂うイメージですが、実際の居住者に話を聞いてみると、「終の棲家にする気はない」「賃貸で束の間の暮らしを楽しんでいる」といった声が多く聞かれます。さらに深堀りしていくと「引っ越したい」という意外な意見まで……。

証券会社に勤める30代後半の山本さん(仮名)。新卒で入った会社で10年以上戦い抜き、順当に出世。現在の年収は800万円ほどです。タワマンに暮らしはじめたのは8年前のこと。相続で一室を受け継いだことがきっかけでした。

「不動産会社を経営していた父が亡くなったんです。母もすでに亡くなっているため、弟が会社、そして僕は父の所有していたタワマンを相続しました。正直会社を継ぐ気はさらさらなかったし、納得のいく遺産分割でした」

「タワマン節税」という言葉をご存知でしょうか。これにより、山本さんはお得なかたちで相続できたのかもしれません。

家やマンションの相続税申告額は、時価ではなく「相続税評価額」を使います。この評価額が低くなれば相続税も低くなるわけです。マンションの土地の相続税評価額は、部屋の床面積に応じる部分を持ち分とし、マンション全体の敷地にその割合を掛けることで算出します。住人全員で相続税評価額を割っているイメージです。

タワーマンションは特に部屋数が多いので額は低くなり、土地部分の価額は実勢価格と比較してかなり低くなります。この差を利用して節税しようとする仕組みを、タワマン節税と呼びます。

低層階でも高層階でも、床面積が同じであれば相続税評価額は同じになりますが、取引の際は高層階のほうが高値となるので、階が上の物件を購入したほうが相続税対策になると言われてきました。

しかし、こうした動きは国税庁から厳しい目を向けられています。平成29年には、高さ60メートルを超えるマンションについては、高層階ほど固定資産税の負担が大きくなるように法改正がなされました。

小規模宅地等の特例も、平成30年に改正されています。平成30年4月1日以後のものについては、特に賃貸物件の場合、購入から3年が経過していないと特例が使えないことになったのです。この税制の見直しは今後の規制を予見させます。いつまでも効果を期待していられるものではありません。

住み心地「最初は良かったですね……」

継いだのは湾岸にそびえたつタワマンですが、一人暮らし向きの1DKとコンパクトな物件です。その住み心地について、山本さんは「最高でした」と語ります。

「最初は良かったですね……。湾岸なだけあって景色が抜群です。ジムも使えて、ゴミ捨ても楽。面倒なご近所づきあいも特にないし、永遠にここに住みたいと考えていました」

タワマン生活を存分に楽しんでいたという山本さん。不満は一切なかったのでしょうか。

「強いて言うなら『タワマンから出るまで時間がかかる』ってことでしょうか……。駅チカが売りの建物なんですけど、『建物の外』に行くだけで5分かかるので、実質10分ぐらい歩くんですよね。結構めんどくさいです」

そして、山本さんは「あと、まだ気になっていることがあって」と続けます。

「管理費と修繕積立金が結構高いんですよね。築年数が結構経っていますから、そろそろ大規模修繕が始まる予定で。このまま持ち家として住み続けていいのかどうか……。都心の一等地のタワマンならまだしも……」

一般的にマンションは築12~18年ほどで大規模修繕をおこないますが、タワマンには数年前から修繕ラッシュが起きています。しかもタワマンは設備が複雑なため、修繕費が一般的なマンションよりも高くつきます。

そこで修繕費の積立不足などが露呈し、年々徴収される費用は高くなり……、頭を抱える人が多いようです。

国土交通省『令和3年度 マンション大規模修繕工事に関する実態調査』によると、タワーマンションの大規模修繕では大規模修繕工事の1戸あたりの負担額は、「125万円〜150万円」22.0%、「150万円〜175万円」22.0%、「75万円~100万円」14.6%、「100万円~125万円」14.6%です。

この調査は5年に一度行われており、前回調査では「75万円~100万円」30.6%、「100万円~125万円」24.7%、「50万円~75万円」13.8%でしたから、ぐんと高くなっていることがわかります。

相続で資産を手に入れた山本さん。当初こそ喜んだものの「このまま住み続けていいのか」と頭を悩ませています。

「彼女との結婚が決まったら、賃貸に出したいとは考えていました。家族で暮らすには狭いですし。……ただ賃貸のオーナーになるのもリスクありますよねえ。やっぱり売っちゃったほうがいいんですかね」

不動産という資産が抱えるリスク。「賃貸 vs 持ち家」論争は永遠に解決しないものの、「相続財産としての不動産」は、はたして本当に受け継いでいいものか、慎重な対応が求められます。

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