どんどん痩せていく…心配する長男の前から消えた高齢母、「葬儀はとっくに終わった」人から聞かされ絶句、姉から届いた「絶縁状」と「遺言書の中身」に再び絶句
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月9日 11時45分
![どんどん痩せていく…心配する長男の前から消えた高齢母、「葬儀はとっくに終わった」人から聞かされ絶句、姉から届いた「絶縁状」と「遺言書の中身」に再び絶句](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_60983_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
ある男性は、高齢となったひとり暮らしの母親の健康を案じていました。ところが、近居の姉がいつのまにか母を引き取ってしまい、男性は母親と音信不通に。その後施設入所となるも、やはり情報はもらえません。やきもきしているうちに衝撃の展開が…。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、事例をもとに解説します。
父の死…実家不動産を相続したのは「別居の長男」
今回の相談者は、50代の佐藤さんです。関係のこじれた姉と、70代で亡くなった母親の相続についてトラブルになっているので相談に乗ってほしいと、筆者の事務所を訪れました。
佐藤さんは長男で、姉との2人きょうだいです。大学卒業後は大手企業に就職し、それを機会に独立。20代で結婚し、2人の子どもにも恵まれました。30代で購入した都内の自宅に、いまは夫婦2人で暮らしています。
「父親は7年前に亡くなりました。父親は遺言書を残しており、とくに問題なく手続きを終えています。私が実家を相続し、母が預貯金の半分と不動産2つを、残り半分の預貯金は、私と、姉と、両親と養子縁組をしている私の妻の3人で、均等に分けました」
父親が亡くなったことで、佐藤さんの名義となった実家には、母親がひとりで暮らしていました。佐藤さんは大学卒業後に実家を離れて以降、実家に戻ったことはなく、また、今後も住む予定はありません。
佐藤さんの姉は、実家から車で15分程度の賃貸マンションに夫婦と子ども3人で暮しており、母親のところへ孫たちを連れて頻繁に遊びに行っているようでした。
痩せた母を案じていたら…いつの間にか実家から姿が消えた?
「ここ数年、たまに母親の顔を見に実家へ戻ると、急に年を取った印象で、姉には〈母さん、ずいぶん痩せたようだが栄養が足りているのか?〉などと尋ねていたのですが、去年の春に実家に行ったところ、空き家になっていまして…」
佐藤さんが驚いて庭を行き来していたところ、ご近所の方から声をかけられました。
「〈お母さん、いまはお姉ちゃんの家で暮らしているよ?〉と教えてもらいました。姉が私に知らせず、勝手に母を引き取っていたのです」
このころから、姉と佐藤さん夫婦の関係はギクシャクするようになりました。母親に会うために佐藤さん夫婦が姉の家を訪れても「寝ている」「出かけている」などといって会わせてもらえなくなり、その後は施設に入所させたようでしたが、場所も何も一切教えてもらえなかったのです。
母親の預金はすべて姉の管理下に
「姉は母を引き取り、母のお金をすべて管理するようになりました。そのため、母の資産がどうなっているのか、私にはまったくわからないのです」
父親が亡くなったときの記憶では、母親自身の預金と合計で7,000万円ほどあったはずだといいます。
また、預金のほかに父親から相続した2カ所の不動産ですが、どうやら駅近の1ヵ所は売却したようだと、これもご近所の方が教えてくれました。
「姉には何度も接触しようとしましたが、ダメでした。その後、送られてきたのがこれです」
佐藤さんはカバンから封書を取り出しました。
筆者と提携先の税理士が確認すると、1枚目は、激しい文章が書き連ねられた〈絶縁状〉といえるものでした。
いとこから聞かされた母の死に愕然
佐藤さん夫婦は、ご近所から庭の草が伸び放題になっているとの連絡を受け、久しぶりに実家へ戻って草刈りをしていると、佐藤さんが来ていることを聞きつけた親せきが、急ぎ足でやってきました。
「妻と草を刈っていたら、突然いとこがやってきたのです」
いとこがいうには、母親は2カ月前に亡くなっており、先日四十九日をすませているとのことでした。
「いとこは〈先日の伯母さんの葬儀と四十九日では、顔が見えなかったからとても心配していた。一体どうしたんだ?〉というんです。私が〈姉からなにも聞いていない〉〈母親が入所した施設も教えてもらえなかった〉というと、目を見開いて驚いていました…」
姉から届いた配達証明郵便に戦慄
そうこうするうち、佐藤さんの姉から配達証明郵便が送られてきました。1枚目は絶縁状、そしてほかには母親の公正証書遺言の正本や死亡届など、母親が亡くなったことがわかる書類でした。
遺言書には「佐藤さんと佐藤さんの妻には土地を相続させ、預貯金をはじめとする残りの一切の財産は姉に相続させる」とありました。
「これには本当に呆れました。金輪際、自分勝手な姉には関わりたくない。いっそ相続放棄をしたほうがいいのでしょうか? それをアドバイスいただきたくて…」
佐藤さんはそういうと、大きくため息をつきました。
感情に任せた安易な相続放棄、得策とはいえない
遺言書で指定された土地は100坪ほどの広さがある空き地ですが、道路に沿ったヒョロッと細長い形状で、大きな建物は建てられません。しかし、路線価地域内にあるため相続評価は1,500万円程度あります。
「こんなものをもらっても、どうしようもないでしょう?」
ウンザリした表情を見せた佐藤さんですが、
「この土地自体には活用の余地はありますよ」
筆者の事務所の提携先の税理士がこのようにいうと、驚いた表情を見せました。
金融資産がどれほど残っているのかは不明ですが、おそらくマイナスではないと想定されます。そのため、相続放棄をするのではなく、まずはこの土地を相続しておき、もし利用しないのであれば、あとから売却した方がお得になるのです。
税理士の説明に佐藤さんは「短気を起こしてはいけませんね…」とポツリ。
まずは遺言書に書かれていた土地を相続し、その他の母親名義の預貯金については、あとから改めて対応を検討することになり、佐藤さんの母親の相続の、最初の一歩がスタートしました。
※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。
曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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