【遺産総額4,500万円】独身親族の死で「棚ボタ相続」発生も…50代バツイチ相続人「放棄」を迫られ号泣した、悲し過ぎる背景
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月17日 11時45分
![【遺産総額4,500万円】独身親族の死で「棚ボタ相続」発生も…50代バツイチ相続人「放棄」を迫られ号泣した、悲し過ぎる背景](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_60985_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
50代の女性のもとに突然届いた相続発生の知らせ。しかし、一部の相続人は女性に相続放棄を迫ります。しかし女性には、相続放棄したくてもできない、個人的な理由がありました。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、事例をもとに解説します。
独身叔父が死去…遺産総額4,500万円、相続人は4人
今回の相談者は、50代会社員の鈴木さんです。独身の叔父の相続の件で困っているとのことで、筆者のもとを訪れました。
亡くなった叔父は、鈴木さんの父親のすぐ下の弟で、若いときに一度結婚したものの、離婚。子どももなく、その後はずっとひとりで暮らしていました。祖父母はすでに亡くなっているため、亡くなった叔父のきょうだいが相続人です。
きょうだいは、鈴木さんの父親のほかに、2人の妹がいます。鈴木さんの父親は10年前に亡くなっているため、今回の相続人は、父親の妹である2人の叔母と、父親の代襲相続人となる鈴木さん・鈴木さんの弟の、合計4人です。
亡くなった叔父は70代で、数年前から認知症となり、後見人として弁護士がついていました。遺言書はなく、遺産分割協議が必要です。
後見人の弁護士からの財産目録によると、遺産は自宅不動産と預金で、合計4,500万円との記載がありました。
「叔父が暮らしていた自宅は、もともと祖父母の家だったものです。叔父は祖父母の面倒を見ていたことから、家は叔父が相続したと父から聞きました」
「あなたたちきょうだいには、相続放棄してもらいたい」
鈴木さんと弟のところに、叔母2人から遺産分割についての提案がありました。「実家を引き継ぎたいので、甥姪であるあなたたちには、相続放棄をしてほしい」という内容でした。
鈴木さんの弟はすぐに同意し、叔母たちに権利を譲渡する書類に印を押しました。
「弟は、提案を持ち帰らせてほしいと申し出た私に、2人の叔母の目の前で〈それくらい譲ったら?〉とあきれたようにいわれ、2人の叔母からは〈あら、まあ…〉と鼻で笑われました。でも、私には今後のお金が必要なんです」
「弟は〈息子は跡取りだから〉と手厚く扱われ、両親から常に特別扱いでした。父の遺言で、自宅だけでなく、預貯金の大半も弟が相続しました。娘は家を出た身だから必要ないと…」
ここまで話したところで鈴木さんはこらえきれなくなり、声をあげて泣いてしまいました。
鈴木さんの権利は、父親の相続分である3分の1を弟と2人で分けるため、6分の1となり、750万円です。
提携先の税理士は、鈴木さんに「正当な権利なのだから、相続放棄せずに自分の希望通り、権利分を相続したらいいじゃないですか」と背中を押しました。
権利や意見を主張しないと、のちのち後悔することに…
鈴木さんは一度結婚して専業主婦となりましたが、5年前に離婚。いまは地元の小さい会社で契約社員として働いています。
「結婚したとき、元夫に〈仕事をやめて家庭でサポートしてほしい〉といわれて舞い上がり、新卒入社の勤務先を退職してしまったのです。本当に、後悔しかありません…」
鈴木さんは、叔母たちから相続放棄を当たり前のように迫られたことや、弟から小馬鹿にされたことでひどく落ち込んでいましたが、権利分の主張は当然とのアドバイスを聞き、ホッとした様子でした。
筆者からは交渉の注意点として、不動産を時価評価すると価格が上がり、相続分が多くなるものの、合意が得られないリスクも上がるため、交渉には慎重さが必要であるということ、また、話し合ううちに争いになっては大変なので、主張はしつつも、対応は丁重にすることが得策だとアドバイスしました。
不要な争いはできる限り回避したいですが、だからといって、高圧的な相手の言いなりになったり、権利を主張できずに泣き寝入りしたりすれば、あとあと後悔することになります。自分の権利や自分の資産は、自分で守ることが大切なのです。
※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。
曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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