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税務署からの「お尋ね」も!?…相続税の課税対象、最も見落とされがちな「手許現金」の真実【相続専門税理士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月8日 11時15分

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(画像はイメージです/PIXTA)

相続税の課税対象となる財産には、民法で決められた本来の相続財産と、民法上では相続財産に該当しない財産でも、相続税上では相続財産とみなされるみなし相続財産などがあります。今回は、相続税が課される財産について見ていきましょう。FP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

相続税の「課税対象となる財産」とは?

先日、私の母親が亡くなりました。母にはそれなりの資産があるため、相続税が心配です。どのような財産に相続税がかかるのか教えてください。 40代会社員(文京区)

相続財産には、相続税がかかる財産とかからない財産があり、相続税がかかる財産を「相続財産」といいます。相続財産には、本来の相続財産だけでなく、「みなし相続財産」「相続時精算課税制度を適用した財産」「みなし相続財産に納税猶予制度を適用した財産」「相続開始7年以内の間に贈与した財産」などがあります。

本来の相続財産とは、民法の決まりによって相続されたり、遺贈されたりした財産をいいます。現金や預貯金、有価証券、土地、建物、自動車、書画骨董などがあります。また、著作権や特許権などの権利や、貸付金などの金銭債権もこれに該当します。

これらの「相続税がかかる相続財産」を見落とすと、相続税の申告漏れとなり、過少申告加算税の追加支払いという厳しいペナルティを課されることもあります。そのため、相続税の申告は、相続税申告は税理士をはじめとする専門家に任せるのが安心だといわれています。

最も多く見落とされる相続財産「手許現金」とは?

もっとも、いちばん多く見落とされる相続財産といわれているのが「手許現金」です。

現金とはまさに紙幣や硬貨のことであり、それを見落としてしまうことを不思議に思われるかもしれません。もちろん、故人の財布やたんすの引き出しの中の現金であれば、すぐにわかるでしょう。そうではなく、しばしば問題になるのは「家族が預かっている現金の見落とし」なのです。

いまの時代、亡くなる直前は病院で寝たきりになるケースがほとんどです。その場合、病院の医療費の支払い等のため、家族が寝たきりになった方の銀行口座から現金を引き出しておくことがあります。

相続税申告の際、亡くなった方の預金通帳を確認すると、亡くなる直前に、1日の引き出し限度額である50万円が、連日出金されている記録を見ることがよくあります。このようなお金は、家族が現金として預かっていたり、家族が自分の銀行口座へ預け入れていたりします。これを「直前引出預金」「名義預金」などといいますが、これも相続財産に含めておかなければいけません。これらの申告が漏れると、税務署からの「お尋ね」があり、税務調査を受けることになります。

「みなし相続財産」

みなし相続財産とは、民法の相続財産ではないけれども、相続税がかかる財産のことで、相続財産とみなす、という意味で「みなし相続財産」といいます。例えば、死亡保険金や死亡退職金、個人年金などの定期金を受け取る権利などがあります。

相続時精算課税制度を適用した財産」

「相続時精算課税制度」というのは、被相続人が生前に取得した贈与財産を相続税の課税対象とする制度です。この制度を利用すると、生前に贈与した財産の金額の累計額が特別控除額の2,500万円を超えたら、超えた部分に対して、一律20%の贈与税を前払いすることになっています。この贈与財産も、相続時にはすでに贈与されて被相続人の手元には残っていませんが、相続財産に加算して相続税を計算することになります。その際に、前もって払っている贈与税がある場合は、贈与税の分を精算し、その差額を相続税として納めることになります。

また法改正により、2024年からは、2,500万円までの特別控除に加え、年間110万円までの贈与が基礎控除として追加されます。この110万円には贈与税がかからず、相続財産としても加算されないため、相続税もかかりません。

みなし相続財産に納税猶予制度を適用した財産

「みなし相続財産に納税猶予制度を適用した財産」とは、非上場株式の贈与税の納税猶予制度の特例の適用を受けて取得した株式のことです。親である会社経営者が、自分の会社の株式を子どもへ贈与したときに、税金がかからなくなるお得な制度です。

しかし、この株式を相続財産に含めなければいけません。「結局相続税がかかるのなら、税金がかからないお得な制度とはいえないのでは?」という声が聞こえてきそうですが、税金をゼロにするには、税金がかかるタイミングで、その都度、納税猶予制度を繰り返し使うことが必要になります。そのため、免除ではなく「猶予」と表現されています。相続税がかかるときは、非上場株式の相続税の納税猶予制度の特例の適用を申請しなければいけません。

相続開始7年以内に贈与した財産

「相続開始7年以内に贈与した財産」とは、令和5年度の税制改正で、3年から7年に延長されたという経緯があります。相続発生前の7年間のうちに贈与した財産は、相続財産に加算しなければなりません。もちろん、贈与税を支払っていた場合には、相続税から控除されます。

岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

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