最期まで、ここで暮らせると思っていた…年金月18万円・78歳のおひとり様、「看取り可のサ高住」に入居も「まさかの大誤算」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月9日 5時15分
![最期まで、ここで暮らせると思っていた…年金月18万円・78歳のおひとり様、「看取り可のサ高住」に入居も「まさかの大誤算」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_61006_0-small.jpg)
昨今、高齢者の住まいとして有効な選択肢になりつつある「老人ホーム」。入居の理由はさまざまですが、一度入居すれば安心……というわけではありません。ときに退去を意識するような出来事も。看取り可の「サ高住」に入居した男性のケースをみていきます。
高齢者「いまの家に住み続けるのは…」「いまの暮らしを続けていくのは」…不安
株式会社LIFULL seniorが60歳以上の男女に対して行った『高齢期の住み替え調査』によると、新しい住居への住み替えについて「住み替えたくない」が56.0%。「病気や倒壊後状態になってから考えたい」が20.9%、「元気なうちに住み替えたい」18.7%、「1年以内/3年以内に住み替えたい」が合わせて4.3%でした。
さらに「現在の住まいに住み続けるうえでの不安」を尋ねたところ、「階段の上ることが面倒だ」が33.4%と最多。「家や庭の管理・清掃が行き届かない」「家賃、住宅ローン、修繕費などの支払いが不安」「買い物や通院に不便」と続きます。
また暮らしそのものへの不安としては、「車が手放せない」がトップで46.3%。「食事作りが面倒だ」「洗濯や掃除などの家事が面倒だ」「自分に異変が起きても誰にも気づかれない」と続きます。
住まいに対する高齢者の不安。では住み替えるとしたら……重視したいこととして多かったのが「介護サービスを受けられる」で29.2%。「何かあれば助けを呼べる」25.3%、「最期まで自宅で過ごせる」22.5%と続きます。
また住居形態としては「サービス付き高齢者向け住宅」が27.6%とトップ。「シニア向け分譲マンション」「戸建て」「有料老人ホーム」と続きます。
将来の住まいの形、暮らし方に不安を覚えている人たちに支持されているサービス付き高齢者向け住宅、いわゆるサ高住は、基本的に要介護度が高くない高齢者を対象としたバリアフリー住宅。有料老人ホームにはない、自由度の高さが魅力のひとつです。サービスの幅は広く、「①介護サービスが付いておらず、仮に介護が必要になったら住み替えが必要になるタイプ」「②在宅介護を併設したタイプ」、さらには「③介護付き有料老人ホーム同様の介護サービスが受けられるタイプ」まで、サービスの幅は広く、②や③は、介護職員が24時間常駐。認知症に対応した施設もあります。
自由で、介護・医療体制も完璧、終身利用も可…終の棲家として選んだ「サ高住」だったが
1年前に配偶者を亡くした78歳の男性の話。家事全般を妻にまかせていたこともあり、妻の死後、毎日の暮らしに悪戦苦闘。料理にしても、掃除。洗濯にしても、簡単なことが分からず、長女に電話しては呆れられることもしばしば。人間らしい生活ができない……と感じ、老人ホームへの入居を考えるようになったといいます。
ただ男性は、たまにお世話になることはあれど、基本的に病院いらずの健康体。自分から言い出したものの、老人ホームへの入居に、少なからず抵抗感があったといいます。
そこで候補に挙がったのがサ高住。比較的自宅からも近いサ高住は、
・日中は看護師が常駐し、クリニックも併設
・介護スタッフは24時間体制で常駐
・自立~要介護5まで対応
・終身利用可
・外出自由
と、自由でありながら、医療・介護体制もバッチリ。何よりも看取りも可と、最期まで安心といった点もバッチリ。費用は「入居時50万円、月額費用は22万円」と、年金月18万円(手取り15万円強)の男性は余裕をもって月々の10万~15万円ほどの貯蓄の取り崩しを想定。「15年は心配ないな」と懸念がないことを確認し、最終的に入居を決めたといいます。
ところが想定外の出来事が起きたのは、入居からしばらく経ってから。施設が閉鎖されるかもしれないという噂を耳にしたのです。
サ高住は税制優遇や補助金制度が利用できるなど国の政策として推し進めていることもあり急増中。その運営形態は、大きく「土地・施設運営一体型」「土地・施設運営分離型」の2種類。後者は、サービスを外部に委託するという方法です。ただ昨今、採算が合わなかったり、人手不足だったりして、運営から撤退、最悪、倒産というケースも。このような場合、自社運営に切り替えるか、新たな委託先を探す必要があります。施設の閉鎖は免れても、これまで通りのサービスが受けられるかは分からないのです。
――最期までここで暮らしていけると思っていたのに
サ高住に限らず、老人ホームを検討する際には、経営母体の状況についても調べるのが基本。また検討時点で安全でも、その後も確実というわけではありません。万が一に備えて転居費用も確保しておくなど、対策を講じておくと安心です。
[参考資料]
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