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年金夫婦で〈月33万円〉も夫死去で年金激減、〈老人ホーム費用〉もままならず…妻「どう生きていけばいいのか」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月11日 5時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

昨今、高齢者の住まいとして有効な選択肢になりつつある「老人ホーム」。入居の理由はさまざまですが、終の棲家として夫婦で入居を決断するケースも珍しくありません。しかし、夫(妻)が先に亡くなることで、家計が悪化。退去せざるを得ない事態に直面することもあるといいます。みていきましょう。

夢のマイホームは「高齢者が住む」には厳しいロケーションだった

人生史上、一番高い買い物であるマイホーム。多くの人が夢を実現するのは、30~40代でしょうか。恐らく、夢を叶え時には、一生ここで生きていくものだと思っているでしょう。ただ高齢者となり、年を重ねていくにしたがって、自宅で暮らしていくことに不安を覚えるようになります。

株式会社LIFULL seniorが60歳以上の男女に対して行った『高齢期の住み替え調査』によると、新しい住居への住み替えについて「住み替えたくない」が56.0%と6割弱にのぼったものの、残り4割強は住み替えについて前向き。その理由は、「階段の上ることが面倒」「家や庭の管理・清掃が行き届かない」「買い物や通院に不便」と、「高齢者が住むには不便」というのが主な理由のようです。バリアフリーな家にリフォームという手もありますが、そもそもロケーションに難あり、だとどうしようもありません。

76歳夫と75歳妻という夫婦の場合も、10年ほど前に今後の生活を見据えてバリアフリー住宅へのリフォームを行ったものの、ロケーション面で、一生ここで生きていくにはツライ……と考えたひと組。自宅があるのは、最寄り駅から12分ほど。駅は急行も止まり、商店街も充実。一方家のまわりは緑も豊かで、住環境は抜群でした。ただ1点、欠点をあげるとすれば、駅から自宅に向かう道、残り5分というところから始まる、長く、急な坂道。最後の100メートルは前傾姿勢をとらなければ上れないほどの坂で、電動アシスト付き自転車でもキツく感じるほど。70代も後半にさしかかる老夫婦にとっては、まさに壁のような存在です。上りも地獄なら、下りも地獄。つまづいたら終わりという恐怖が付きまといます。

この先もここで生きていくには、駅までの往復にタクシーを利用するというのが現実的。ただ「富裕層じゃあるまいし、毎回、そんな贅沢をするのは……」と躊躇う気持ちも。ただ徒歩ではいずれこの坂道は上れなくなるだろうし、怪我をする危険もある。そう考えると「住み替え」が一番現実的、という結論に至ったといいます。そこで第一候補に挙がったのが、今後のことも考え、介護や医療も充実し、夫婦で入居できる「老人ホーム」だったといいます。

「夫婦入居可」「自立~要介護5まで対応」「日中看護師常駐/24時間介護士常駐」「駅からの道は平坦」といったことを条件に検討したところ、候補は2つ。

〈候補1〉

自宅の最寄り駅から徒歩5分の有料老人ホーム

・入居一時金:1,500万円

・月額費用:40万円/2人

〈候補2〉

自宅の最寄駅から3つ先にある有料老人ホーム

・入居一時金:1,200万円

・月額費用:35万円/2人

老人ホームへの入居に際しての予算は、入居一時金は貯蓄から捻出。月額費用は、夫の年金月19万円、妻の年金月14万円、合わせて33万円(手取り28万円)。手出し部分は自宅の売却益(見通し)から考えて、月10万円程度が許容範囲でした。

費用的には後者のほうがマッチしますが、住み慣れた町というのは捨てがたい……結局、当初の予算をオーバーするものの、入居後の住み心地を重視して、前者の老人ホームへの入居を決めたといいます。

80歳で夫死去…残された妻が受け取る「遺族年金額」に衝撃

実はこの老夫婦の老人ホーム入居までのストーリー、実は5年ほど前の話。現在はどうなったかというと、いまから1年ほど前に、80歳で夫は死去。そして今年、80歳となった妻は一時的に長男宅に身を寄せているとか。

老人ホームの退去に至ったのは、費用面での不安。夫が亡くなったことで、1人部屋に移ることになりましたが、費用はそれまでの半分とはいかず、月28万円ほど。

それに対し、妻が受け取る年金額は、自身の年金月14万円に、夫の遺族年金が2万円で合計月15万円ほど。手取りは月13.5万円ほどになり、月14.5万円の手出しは最低限必要になります。

本来、遺族厚生年金は「死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」となり、9万円強となる計算。しかし「65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある場合、老齢厚生年金は全額支給、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となる」というルールのため、妻の老齢厚生年金「月7.2万円」と、夫の遺族年金「9.15万円」との差額、「約2万円/月」が支給と、思ったほど年金を受け取ることができませんでした。

結局、夫が元気だった頃よりも「月2.5万円」の支出増。以前であれば「これくらいの出費増であれば」と許容していたかもしれません。しかし昨今の物価高、老人ホーム費用の値上げという話もあり、ここで許容してしまっては生きている間に「貯蓄(自宅の売却益)」を使い果たしてしまう恐れが。

――どう生きていけばいいのか

そんな不安の前に、結局、老人ホーム退去の選択肢しかなかったといいます。

こうして身を寄せることになった長男宅。家族は「いっそのこと、同居しませんか?」と言ってくれるものの、どうしてもお互いに気を遣ってしまうもの。気疲れするよりも別々に住んだほうがいいと、再び、身の丈にあったホームを探そうとしています。

[参考資料]

株式会社LIFULL senior『高齢期の住み替え調査』

日本年金機構『遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)』

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