1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

がんになっても仕事はやめないほうがいい?…高額な医療費を抱える「がん患者」のための救済制度【医師が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月24日 10時0分

がんになっても仕事はやめないほうがいい?…高額な医療費を抱える「がん患者」のための救済制度【医師が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

がんになってからも治療費を稼ぐため通院しながら仕事を続ける人が増えています。がん治療に必要な高額な療養費は、ある種“がん治療の副作用”という見方もあるほどです。そこで今回、そんながん患者が頼りたい“救済制度”について紹介します。医師である勝俣範之氏の著書『あなたと家族を守る がんと診断されたら最初に読む本』(KADOKAWA)より、詳しくみていきましょう。

〈関連記事〉抗がん剤の“過剰な使用”はかえって危険…米臨床腫瘍学会が提示する「抗がん剤の使用をやめるべき」5つのタイミング【医師が解説】

がんになっても仕事を続けるべき理由

【登場人物】

■教える人……勝俣範之先生

あらゆる部位のがんを診られる腫瘍内科医として日々診療にあたっている。

■教わる人……編集者O

身近にがんに罹患する人が増えて、わからないことだらけで心配になっている。

編集者O(以下、O):がんの治療を続けながら働くことは困難と考える人が53.5%に上るという世論調査の結果が、2023年10月に内閣府から発表されました。がんの治療に専念するために仕事を辞める人も多いのでしょうか?

勝俣範之先生(以下、勝俣):たしかに、がんになると4割ぐらいの方は仕事を辞めています。なかには職場に理解がないために解雇された人もいますが、自ら退職するのはお勧めできませんね。通院で治療を続けながら仕事をしているという方は、確実に増えていますよ

O:仕事か治療かの二者択一ではないということですね?

勝俣:はい。今は手術でも平均すると2週間程度で退院できます。抗がん剤治療も、通院でやろうと思えばやれます。ほとんどの場合、治療を続けながら仕事ができるし、一時的に休職しても職場復帰もできます。ですから、がんになったからといってすぐに仕事を辞めないでいただきたいのです

そもそも治療に専念すると、ご自身のQOLを下げることにつながります。仕事が生きがいという人もいるでしょうから、簡単に仕事を辞めてしまってはその生きがいがなくなります。次項から紹介する公的制度なども上手に利用して、仕事と治療を両立させてほしいと思います

高額な治療費がひとつの副作用…忘れずに申請したい公的制度

O:がんになると、治療費などのお金のことも心配です。

勝俣:標準治療は保険でカバーされるとはいえ、最近のがん治療はお金がかかります。新しく登場してきた抗がん剤などは、私でもびっくりするくらい高額なものもあります。高額な治療費を副作用のひとつとしてとらえる見方もあるくらいです。

O:ますます心配になってきます。どうすればいいでしょうか?

勝俣:がんと診断されたらすぐに、公的に利用できる経済的な支援制度を調べておくことが大切です。主な公的制度をあげておきました。日本では全員が健康保険や介護保険に加入しています。

それぞれの所得によって決まっている支払い上限を超えたらお金が戻ってくる制度や、65歳未満でも受給できる年金もあります。制度を活用するのは患者さんの権利です。原則、申請しないともらえないものがとても多いので注意してください。

O:そうなのですか! 相談先はどういうところになりますか?

勝俣:まずはがん相談支援センターの相談窓口に聞いてください。相談は無料ですよ。

診断後からチェック!利用できる主な公的制度

●高額療養費制度

1か月間(1日~末日)に医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が、一定額(自己負担限度額)を超えた場合、超えた分の金額が払い戻される制度。自己負担限度額は、年齢や所得によって定められている。

相談・申請先など

加入している公的医療保険の窓口

●傷病手当金

会社員や公務員などが病気による休職などで収入が確保できなくなったときに、基準に応じた金額を受給できる。国民健康保険の被保険者は対象外(一部の国保組合では利用できる場合もある)。

相談・申請先など

加入している公的医療保険の窓口、勤務先の担当部署など

●障害年金

病気などで生活や仕事などが制限されるようになった場合、65歳未満でも年金が支給される。がんの患者でも、がんの進行や抗がん剤の副作用などで生活や仕事が制限される場合に、受給可能。

相談・請求(申請)先など

市区町村の国民年金担当課、年金事務所・担当共済組合事務局、年金相談センター、社会保険労務士など

●介護保険

40~64歳の医療保険加入者(第2号被保険者)と、65歳以上の介護保険の被保険者(第1号被保険者)に分けられる。第1号被保険者は、介護が必要となった場合に誰でも介護保険のサービスを利用できる。 第2号被保険者は、末期がんで治療が難しくなり、生活で何らかの介護が必要になった場合に介護保険を申請できる。住民票のある市区町村に申請して要介護認定を受けるとサービスが利用できるようになるが、要介護状態の区分によって、サービス内容や月ごとの給付費の上限が決まっている。

勝俣 範之 日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科 教授/部長/外来化学療法室室長

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください