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何かと話題の〈ビットコイン〉、発明者は正体不明の日本人?…いまさら聞けない「暗号資産」の超基本【マネックス証券アナリストが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月6日 11時15分

何かと話題の〈ビットコイン〉、発明者は正体不明の日本人?…いまさら聞けない「暗号資産」の超基本【マネックス証券アナリストが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

2024年5月にビットコインが史上最高値を更新(2024年7月初旬時点では大幅下落)するなど、暗号資産への注目が高まっています。なかには、「話題になっているから」と安易に暗号資産投資を始めようとする人もいるかもしれませんが、やみくもに手を出すのは考えもの。まずは基本を押さえることが大切です。ここでは松嶋真倫氏の著書『暗号資産をやさしく教えてくれる本』(あさ出版)より、暗号資産の誕生秘話や特徴など、最初に知っておきたい情報を解説します。

暗号資産の誕生は世界的金融危機の直後だった

暗号資産は、「ビットコイン(Bitcoin)」の誕生によって登場しました。2008年9月に「リーマン・ショック」という世界的な金融危機が起きた直後、同年10月に「Satoshi Nakamoto(サトシ・ナカモト)」と名乗る人物またはグループによって、「Bitcoin:APeer-to-Peer Electronic Cash System(ビットコイン:P2P電子マネーシステム)」というタイトルの論文がインターネット上で公開され、銀行など第三者を介さずとも個人間で直接取引できる電子通貨システムが実質発明されたのです。

「リーマン・ショック」とは、アメリカの有力投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻し、それを契機として広がった世界的な株価下落、金融不安(危機)、同時不況のことです。1つの銀行の倒産が世界規模の金融危機に至ったことから、銀行を中心とする従来の金融システムへの信頼が大きく揺らぎました。

日本でも、直接リーマン・ショックに関係してはいないものの、投資家たちが米ドルを手放し円をこぞって購入したため、急激な円高になり、輸出産業が大打撃を受け、株価が大暴落、不況に陥りました。

このタイミングでの「ビットコイン」の誕生に、世界は注目したのです。

暗号資産の仕組みは発明者がわからない大発明

ところが、ビットコインの論文の書き手「Satoshi Nakamoto」という人物の正体がわかりません(今でもわかっていません)。というのも、論文が公開されたのは、論文雑誌や学会発表のような場ではなく、「サイファーパンク」という暗号技術の研究に熱心な開発者グループのメーリングリスト内であり、ペンネームでの投稿だったからです。

そこで、ビットコインの構想に賛同する「サイファーパンク」の有志メンバーによって、論文の研究、仕組みの解明が行われ、開発が進められました。それが、今の暗号資産の技術的な基盤となっています。

ちなみに、暗号資産は「暗号技術」を活用することで、個人間取引の仕組みを実現しています。「暗号技術」とは、データの内容を第三者にわからない形式に変換したり(暗号化)、変換したデータを元に戻す(復号化)技術のことです。

暗号資産とは、インターネット上でやりとりできる財産のこと

暗号資産は、ビットコインが「電子通貨システム」としてつくられたこともあって、以前はインターネット上で取引される「仮想通貨」と呼ばれていました。

しかし、価格変動が大きいため、実態は通貨(currency)ではなく資産(asset)であるとの見方が次第に優勢となりました。海外では「cryptoassets」という表記が使われるようになり、日本でも「暗号資産」という言葉が一般的になりました。

暗号資産は、日本銀行のホームページで「インターネット上でやりとりできる財産的価値」であると説明があります。また、資金の決済について定めた「資金決済法(資金決済に関する法律)」では、以下のような性質を持つものとして定義されています。

1.不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米ドル等)と相互に交換できる

2.電子的に記録され、移転できる

3. 法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない

要は、「暗号資産は何かの支払いに使うことができ、法定通貨と交換もできるデジタル資産である」ということです。

暗号資産の3つの特徴

暗号資産には、従来のお金と違う3つの特徴があります。

1. 不正を検知しやすい

インターネットを通じて個人が直接取引するには、取引の内容について当事者間であらかじめ合意を形成する必要があります。しかし、国や銀行など仲介者が存在しないため、知らない相手と取引する場合には、信頼性を保つことが難しくなってしまいます。この問題を「ビザンチン将軍問題」と呼ぶことがあります。

暗号資産はネットワークに参加するメンバー全員で台帳を持ち、取引を検証し合う仕組みによってこの問題を解決しています。仮に誰かが不正を働いても、分散型ネットワークによってすぐにそれを検知することができるのです。

2. システムが落ちにくい

従来のお金は、国(日本銀行)や金融機関が管理しています。そのため、管理システムがダウンしてしまうと、ネットワーク全体が停止してしまう恐れがあります。

たとえば、ある銀行のシステムに障害が発生すると、口座保有者がお金を引き出せなくなるばかりか、支払い業務が滞り、企業がお金を受け取れなかったり、他行に送金できなかったりして、他の銀行にも影響が及んだりします。

暗号資産は、世界中のコンピュータによって分散的に管理されているため、どこか一部に問題が生じても、ネットワーク全体が稼働し続けることができます。

3. お金のルールを設定することができる

国が経済状況に応じて供給量をコントロールする法定通貨とは違い、暗号資産はデータベース上で発行ルールが決められています。暗号資産を発行する主体は、発行時に総供給量や発行ペースなどのルールをデータベースにおけるコンピュータプログラムによって決めることができます。

たとえば、暗号資産の代表格と言えるビットコインは、総発行量が2,100万枚で、約10分間隔で一定量が新たに発行され、この新規発行量も約4年ごとに半減するような仕組みとなっています。

具体的なルールを設定するスマートコントラクト機能

暗号資産により具体的なルールを設定する機能として「スマートコントラクト」という機能があります。スマートコントラクトとは、発行体があらかじめ取引の条件をプログラムで定義し、取引者がそれに従って取引できるようにするものです。

たとえば、私たちが日ごろから利用する自動販売機もスマートコントラクトを使用した例と言えます。販売業者は「120円を支払ってボタンを押すと商品が出る」とルールを定義したうえで、購入者はそのとおりに120円を入れて欲しい商品のボタンを押すとジュースなどがもらえて、その金額は販売業者に自動で支払われます。

イーサリアム(Ethereum)という暗号資産は、スマートコントラクトを備えた開発プラットフォームとして存在し、そのうえで様々な用途の暗号資産が発行されています。

松嶋 真倫 マネックス証券 マネックス・ユニバーシティ 暗号資産アナリスト

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