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年収1,200万円の59歳サラリーマン、年金機構から届いた〈青色の封筒〉に唖然…思わず「なにかの間違いでは」【CFPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月26日 11時15分

年収1,200万円の59歳サラリーマン、年金機構から届いた〈青色の封筒〉に唖然…思わず「なにかの間違いでは」【CFPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

親世代の年金受給額を知ると、「自分たちはたったこれだけしかもらえないのか」と不満に感じる人も多いでしょう。特に、高所得な人ほど、現役時代の収入と年金額の差に落胆してしまいます。では、60歳を目前にして年金受給額を増やすことは可能なのでしょうか? 株式会社よこはまライフプランニング代表取締役でCFPの井内義典氏が解説します。

年金制度は頻繁に改正されている

年金制度は頻繁に改正がされ、複雑化してきています。そのため、老後に備えるにあたって、その仕組みを理解するのは難しいところもあるでしょう。

そこで確認しておきたいのが「ねんきん定期便」です。「ねんきん定期便」とは、国民の年金制度に対する理解深耕を目的に、日本年金機構などが発行しているもので、毎年誕生月に届きます。通常はハガキ形式ですが、35歳と45歳、59歳の節目には青い封筒で送られてきます(日本年金機構の場合)。

「ねんきん定期便」では、自身の加入記録を確認することができるほか、受給できる年金の種類やおおよその見込額を把握できます。定期便に表示される見込額を見て、「年金が少ない」と思った場合、対策を講じることも大切です。

60歳以降「年収激減」で老後が心配になったAさん

役員への昇進叶わず…60歳から年収が半分以下に

上場企業で部長を務めるAさん(59歳・男性)。ストレートで大学を卒業したAさんは入社以来出世意欲も高く、仕事中心の生活を送ってきました。その分、家庭のことは1歳年上で専業主婦の妻・Bさんに任せっきりです。

しかし、Aさんの思いむなしく役員への昇進見込はなくなってしまい、60歳になる8月からは関連会社で勤務することになりました。これまでの年収は1,200万円程度でしたが、60歳からは約550万円と半分以下になる見込みです。

「役員になってできるだけ長く会社にいるつもりで頑張ってきたが……あと5年もすれば退職、会社員生活も終わりだな」と悟るAさん。「550万円まで給料が下がるんだったら、働く必要あるのか? いっそのこと、60歳でリタイアもありだな」とさえ思うようになりました。

これまで仕事のことばかり考えてきたAさんですが、ここに来て初めて自分の老後について思いを馳せました。「そういえば、年金っていくらぐらいもらえるんだっけ?」と思ったAさんは、今年の誕生月に年金機構から送られてきた青い封筒「ねんきん定期便」を改めて確認してみました。

うそだろ…ねんきん定期便に記載された“少なすぎる”年金見込額

ねんきん定期便を確認したAさんは、記載されている年金見込額を見て愕然としました。Aさんの年金見込額は、老齢基礎年金と老齢厚生年金をあわせて年間230万円、月20万円足らずだったのです。

「うそだろ……うちの親父はかなり年金もらってたのに、俺はたったこれだけ!? 保険料はしっかり払ってきたはずだし、なにかの間違いではないのか?」とAさんは首をかしげます。

年金だけで暮らすのは難しいというのはなんとなく聞いていたことから覚悟していたものの、「本当にこれだけしか受け取れないのか」「もう少し年金が増やせないものか」と気になり、ファイナンシャルプランナーに相談することにしました。

「ねんきん定期便」の数字がすべてではない

Aさんは会社員のため、老齢年金は「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の両方を65歳から終身で受給することができます。

先述の「ねんきん定期便」には将来の年金の見込額が表示され、自分がもらえるおおよその年金額が把握できます。

しかし、ここで注意したいのは、ねんきん定期便に記載された金額=確定した金額ではないということです。

Aさんが確認したねんきん定期便に書かれている見込額は、60歳までいまの条件で勤務し続けた場合の見込額となり、60歳以降の年金加入記録分については含まれていません。

つまり、Aさんが60歳以降に給与の減額を受け入れて関連会社で勤務を続ければ、年金額を増やすことができるのです。では、60歳以降も関連会社で勤務した場合、受給できる年金額はいくらになるのでしょうか。

Aさんが60歳以降も働いた場合の年金見込額

Aさんの60歳以降の年収は550万円ですが、月給に直すと46万円程度です。

標準報酬月額47万円を基準に計算した場合、老齢厚生年金の報酬比例部分が年間14万円以上増え、また、経過的加算額が5万4,000円程度増えますので、約20万円増えます。

つまり、年間230万円から250万円となり、増えた額が65歳から生涯続くことになります。

一方、60歳でリタイアした場合、当然この20万円はありません。ねんきん定期便どおり、年間230万円が生涯続くことになるでしょう。

まだまだ足りない…年金受給額をさらに増やす方法

また、ねんきん定期便にも案内がある「年金の繰下げ受給」を活用すると、年金受給額をさらに増額できます。繰下げ受給とは、受給開始を遅らせる代わりに年金を増額させる制度のことで、1ヵ月繰り下げるごとに0.7%増額されます。

Aさんが勤める会社では、企業年金や退職金の制度も整っているとのこと。また、もし65歳以降も仕事をする機会があれば、引き続き給与を受け取ることができます。

そうなると、公的年金は65歳から受け取らずに、繰り下げることを検討してもいいでしょう。

仮にAさんが60歳以降関連会社で勤務した場合、65歳時点での年金は先ほどみたように250万円となります。

では、受給開始時期を5年遅らせるとどうなるでしょう。70歳で受給を開始すると、0.7%×60月=42%の増額となり、年金受給額は250万円×42%=355万円となります。

他方、60歳でリタイアし、65歳時点での年金額が230万円だった場合は、70歳まで受給を繰り下げると327万円程度となります。

ただし、65歳以降も勤務を続けて厚生年金に加入すると、給与次第では繰下げによる増額が抑制される可能性がある点には注意が必要です。65歳以降も勤務する場合は、年金制度の改正の動向を気にしながら、いつまで繰り下げるといくら増えるのか、年金事務所で確認するようにしましょう。

「ねんきん定期便」をきっかけに備える

一連の説明を受けたAさんは、「年金を増やす手段があると知り、ほっとしました。両親とは時代が違うし、受け入れてなんとかするしかありませんよね。妻の年金のこともあわせて考えてみます」と話してくれました。

老後は、これまでの反省を踏まえ家計の収支を見つつ、会社員生活では忙しくてできなかった旅行や趣味を楽しみたいそうです。

人生100年時代、公的年金だけで老後の生活をまかなうことは難しく、自助努力も必要でしょう。しかし、年金を増やす方法はあります。Aさんのように、ねんきん定期便の確認をきっかけに、年金の最適な受け取り方について考えてみてはいかがでしょうか。

井内 義典 CFP 株式会社よこはまライフプランニング 代表取締役

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