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一刻も早く変更を…。「孫」を生命保険の受取人にしてはいけない〈3つの理由〉【税理士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月12日 11時15分

一刻も早く変更を…。「孫」を生命保険の受取人にしてはいけない〈3つの理由〉【税理士が解説】

画像:PIXTA

「相続税対策の基本を知りたい」「裏ワザ的なことも知りたい」「何より、円満に相続を終わらせたい」──こうした希望を持ちながらも、巷に溢れる相続税対策の情報に惑わされ、何が正しいのか疑心暗鬼になっている方は多いでしょう。相続専門の税理士であり、庶民的な家庭から100億円を超える資産家まで、多くの相続事例を担当してきた大田貴広氏の著書『相続のお金の残し方「裏」教科書 専門税理士が限界ギリギリまで教える“99%節税できて100%モメない”方法』(KADOKAWA)より、一部を抜粋して紹介する本連載。大田氏が、円満に相続を終わらせることを前提とした、効果的な相続税対策について解説します。

生命保険の受取人を孫にするのはアリか?

「生命保険の受取人を孫にする」という案もありますが、実は孫を受取人にすることは絶対におすすめできません。もし孫を生命保険の受取人にしている場合は、一刻も早く子供へ受取人を変更しましょう。理由は三つです。

生命保険の受取人を孫にしてはいけない理由3つ

①相続税が2割増しになる

孫が生命保険を受け取ると相続税が2割増しになります。相続税の2割加算といって、亡くなった方から見て縁遠い兄弟姉妹や孫などが財産を相続すると、相続税を20%増しでかけるという制度があります。孫に財産を渡すと相続税を一代分スキップできるため、このような厳しい取り決めになっています。

ただし、孫であっても2割加算とはならない場合もあります。それは子供が親よりも先に亡くなっていて孫が相続人となるケースです。いわゆる代襲相続人となっている場合には2割加算とはなりません。

②生命保険の非課税枠が使えない

孫は生命保険の非課税枠が使えません。なぜなら生命保険の非課税枠が使えるのは相続人だけだからです。一般的に孫は相続人ではないため非課税にはなりません。こうなると他の家族の相続税も増えます。生命保険の受取人が子供であれば非課税枠によって無税で済むところ、受取人が孫だと他の相続人の相続税にも影響が出ます。

仮に頁の家族が生命保険の受取人を孫にした場合はどうなるでしょうか。一次相続の相続税が子供約436万円、孫が約105万円、計約541万円(子供が受取人の場合は385万円)に増えます。計算式は以下のとおりです。

●一次相続

(1.1億円−基礎控除4,200万円)÷2=3,400万円

(3,400万円×20%−200万円)×2=960万円

配偶者 配偶者の税額軽減により相続税は0円

子供 960万円×5,000万円÷1.1億円=436.36万円

孫 960万円×1,000万円÷1.1億円×1.2(2割加算)=104.72万円

孫を生命保険の受取人にすると、生命保険の非課税枠が使えず孫だけでなく保険金を受け取らない子供にまで税負担の影響が出ます。

ただし、孫であっても相続人であれば非課税枠が使えます。孫が相続人となるのは大きく2パターンです。一つは養子縁組をしているケースで、孫が祖父母の養子になっている孫養子の場合です。二つ目は、子供が親よりも先に亡くなっていて孫が代襲相続人となっている場合も非課税枠を使うことができます。

③生前贈与7年内加算の対象になる

孫が生命保険の受取人になると、生前贈与3~7年内加算の対象となってしまいます。7年内加算とは、亡くなる以前7年分の生前贈与は全て無効にして相続税の計算に反映するという制度です。

仮に1億円を持っている方が、毎年100万円をコツコツ7年間贈与して、亡くなるまでに9,300万円まで財産を減らしたとしても、相続税の計算にはこの700万円も反映して、結局は元々の1億円に対して相続税がかかるのです。

7年内加算は、相続か遺言で財産をもらう人が対象です。孫が財産をもらうことは稀ですので、孫は基本的に7年内加算の対象外です。よって生前贈与をする場合は、孫へ優先的に行うと有利です。ところが生命保険の受取人を孫にしてしまうと、孫が遺言で財産をもらったのと同様の扱いとなり、7年内加算の対象者となるため、孫への生前贈与による対策の効果が薄くなるのです。

仮に先ほどの家族が、孫に毎年100万円を7年間、合計700万円を贈与していて、生命保険の受取人を孫にしてしまった場合はどうなるでしょうか。一次相続の際の相続税が、子供約470万円、孫が約192万円、計約662万円に増えます。計算式は以下の通りです。

●一次相続

(1.17億円−基礎控除4,200万円)÷2=3,750万円

(3,750万円×20%−200万円)×2=1,100万円

配偶者 配偶者の税額軽減により相続税は0円

子供 1,100万円×5,000万円÷1.17億円=470万円

孫 1,100万円×1,700万円÷1.17億円×1.2=191.79万円

一方で生命保険の受取人を子供にしている場合には、同じ状況であってもこれらの三つのデメリットがないため385万円で済みます。よって生命保険の受取人を誰にするかによって税負担にかなりの開きが出るのがお分かりいただけたかと思います。

生命保険の受取人は基本的に子供にしておくことをおすすめします。

大田 貴広

税理士

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