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1人の子供に多くの財産を相続させたい…。代表的な「3つの対策」【税理士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月2日 11時45分

1人の子供に多くの財産を相続させたい…。代表的な「3つの対策」【税理士が解説】

画像:PIXTA

「相続税対策の基本を知りたい」「裏ワザ的なことも知りたい」「何より、円満に相続を終わらせたい」──こうした希望を持ちながらも、巷に溢れる相続税対策情報に惑わされ、何が正しいのか疑心暗鬼になっている方は多いでしょう。相続専門の税理士であり、庶民的な家庭から100億円を超える資産家まで、多くの相続事例を担当してきた大田貴広氏の著書『相続のお金の残し方「裏」教科書 専門税理士が限界ギリギリまで教える“99%節税できて100%モメない”方法』(KADOKAWA)より、一部を抜粋して紹介する本連載。大田氏が、円満に相続を終わらせることを前提とした、効果的な相続税対策について解説します。

“特定の相続人”に多くの財産を残すには

特定の相続人に多くの財産を残すには、遺留分対策が必要です。

中小企業のオーナーや代々続く地主の場合、1人の子供に多くの財産を相続させたいという想いがあるかと思います。ただし何も対策をしないと、高額になるであろう他の相続人の遺留分を支払えないため、泣く泣く会社を閉じなければならない、または先祖代々の不動産を売却しなければならないといった事態になりかねません。

よって特定の相続人に多くの財産を残したいと思ったら、遺留分対策で他の相続人の遺留分を減らしておくことが重要です。ここからは、代表的な遺留分対策を3つご紹介します。

代表的な遺留分対策3つ

①生命保険

生命保険に加入して、受取人を特定の相続人にしておくことによって、他の相続人の遺留分を減らすことができます。生命保険は受取人固有の財産と考えるため、親の遺産から除外され、遺留分の対象から外せるのです。

例えば、長男と長女を持つ父が、自宅8,000万円と預金2,000万円を遺言書で長男へ残した場合、長女には2,500万円(1億円×1/2×1/2)の遺留分があります。長男が遺留分を支払うためには、相続した2,000万円の預金だけでは足りないので、500万円も工面しなければなりません。

ただし、長男を受取人にして2,000万円の生命保険に加入すれば、長女の遺留分は2,000万円(8,000万円×1/2×1/2)となり、長男は長女の遺留分の大部分を父の保険金から支払うことができるのです。ただし、財産の半分以上を保険に変えると認められず、遺留分の対象となる可能性もありますので、加入する場合は多くても遺産全体の半分程度に抑えておくといいでしょう。

②養子縁組

養子縁組をして他の相続人の遺留分を減らすことで遺留分対策となります。これは養子縁組によって相続人を増やすことが、他の相続人の遺留分を減らす効果につながるためです。

例えば、配偶者がおらず長男と長女を持つ父が、長男に財産を残したい場合、長女の遺留分は1/4あります。ですが、仮に長男の子(父から見ると孫)を養子縁組すると、長女の遺留分は1/6に減るのです。よって特定の子供に多くの財産を残したい場合は、養子縁組が有効です。

ただし養子縁組には、他の相続人から養子縁組無効の訴えを起こされるリスクや孫が未成年の場合の親権がなくなるといったリスクがありますので、注意が必要です。

③早期の生前贈与

残したい方へ早いうちから贈与を行うことで、遺留分対策となります。なぜなら遺留分の対象となる生前贈与は年数が限られているからです。

遺留分は、亡くなった際に持っていた財産を基準に計算しますが、生前贈与も元々は財産の一部であることから遺留分の対象となります。ただし生前贈与のうち遺留分の対象となるのは、相続人は相続開始前年、相続人以外は相続開始前1年以内の贈与だけで済むのです。よって残したい方へは一刻も早く生前贈与を始めておくと遺留分対策になります。

また相続人であっても遺留分の対象となる生前贈与の期間を縮める裏技があります。それは、「相続放棄」です。親が亡くなってから3ヵ月以内に相続放棄をすれば、その方は相続人ではなくなりますので、遺留分の対象となる期間を相続開始前1年だけにすることができます。

ただし、これらの贈与は対象期間外のものであっても、他の相続人に損害を与えることを知って行っていたと認定された場合には、遺留分の対象となるリスクはありますのでご注意ください。

他の方法もあるにはあるが…

これら3つの他にも、生前に遺留分の放棄をしてもらうという方法もあります。ただし、この方法は他の相続人が快く家庭裁判所に放棄の手続きをしてくれることが前提条件となるので、実行までのハードルは高いです。

また、生前に遺留分相当の生前贈与をしなければなりません。遺留分相当の金額を用意しておくことにハードルがあり実行は困難です。また遺留分を相続後に支払うのかもしくは相続前に支払うのかの違いだけで、根本的な問題解決にはなりません。中小企業オーナーの場合は、他の相続人へ遺留分の贈与をしなくても、民法特例によって会社の株は遺産から除外するといった合意書を作成することもできます。

ただしこの方法も、他の相続人の同意を得て中小企業庁と家庭裁判所に申請するという方法ですので、関係が良好でないと難しいですし、実行するには高いハードルがあります。遺留分の放棄は生前に確実に争わないように段取りしておきたい場合に有効なのです。

大田 貴広

税理士

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