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専門家や評論家のオススメはうまく行かない?株式投資の銘柄選びはシンプルでよい理由

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月27日 11時0分

専門家や評論家のオススメはうまく行かない?株式投資の銘柄選びはシンプルでよい理由

(※写真はイメージです/PIXTA)

株式投資を始めたいと思ったら、どの銘柄に投資すればいいのでしょうか? 足立公認会計士事務所代表の足立武志氏は、著書『お金偏差値30でも始められる 株式投資の教科書』の中で「銘柄選びはシンプルでよい」と主張しています。一体それはどうしてでしょうか? 理由を本書から紹介します。

成長株、割安株、テーマ株? 個人投資家の銘柄選び

株式投資をする際、どの銘柄に投資するのかを決めなければいけません。現在、日本の上場企業は約3900社あり、この中から投資対象とする銘柄を選ぶのは至難の業です。そのため、証券会社のセミナーや新聞、雑誌、ネットなどで挙げられる専門家や評論家の「オススメ銘柄」を参考にしている投資家さんも少なくないはず。

ただ、このオススメ銘柄に投資しても、うまく行かないケースも少なくありません。それは、すでに株価が大きく上昇したあとの銘柄だったり、テーマ株が多かったりするからかもしれません。

一方、筆者の周りにいる株式投資で成功を収めている個人投資家は、自分自身で投資する銘柄を決めています。ぜひ皆さんにも、自分でどの銘柄に投資するかを決定する力を持ってもらいたいと思います。

●テーマ株 その時々に市場が注目しているテーマに関連した株のこと。テーマになるのは、新技術や新サービス、新たな成長分野、最先端の流行などです。例えば、コロナショック以降は、マスクや防護服を製造している会社やリモートワークに関係のある企業の株が上昇しました。

同じ投資資金で、より大きな成果を出すことを重視するなら

筆者は、個別銘柄を大きく3つのカテゴリーに分類して考えています。それは「成長株」「割安株」そして「テーマ株」です。成長株とは、毎年、売上や利益が伸びていて今後も伸びると見込まれる銘柄のこと。割安株とは、PER(株価収益率)などの指標から見て実態より株価が割安に放置されている銘柄のこと。テーマ株とは、特定のテーマ、要素に反応して短期間に株価が大きく動く銘柄のこと。

せっかく株式投資をするのであれば、同じ投資資金でより大きな成果を出すことを重視すべきと思っています。この考え方に従うと、やはり「成長株」が最適な選択肢となります。例えば、成長株であれば株価が長い目で見て10倍、20倍となることも珍しくありません。

しかし割安株は、2倍、3倍程度なら十分ありますが、10倍超にまで上昇することはなかなか考えづらいでしょう。テーマ株については、後述しますが個人投資家が成果を出すのはかなり困難です。

銘柄選びの方法はシンプルでよい

では、成長株をどのように選んでいけばよいのでしょうか? 筆者は、銘柄選びはシンプルでよいと思っています。もちろん、個人投資家の中にもプロ並みの分析をして銘柄選びをする方もいますが、そのためにはそれなりの時間や労力、そして知識が要求されます。多くの個人投資家の方は銘柄選びにそこまでのエネルギーを費やすことは難しいのではないでしょうか。

そこで、筆者が行っているのが、単純に業績の推移を見て銘柄を選ぶという方法です。例えば、『会社四季報』などで過去5年間の業績を見て、増収増益が続いており、かつ来期以降の業績も増収増益予想である銘柄を投資候補とします。この方法であれば、『会社四季報』をパラパラとめくるだけでも、結構な数の投資候補が見つかります。

そして、こうした増収増益銘柄の株価を見ると、その多くが大きく上昇していることに気づくはずです。つまり、増収増益銘柄は株価が大きく上昇しやすいのだから、それを見つければよいのです。

単に増収増益なら何でも買ってよいわけではない

ただ注意したいのは、増収増益の銘柄であれば、やみくもに何でも買ってよい、というわけではないという点です。例えば、増収増益が続いている銘柄でも、株価が下げ続けて下降トレンドになっているケースも多々あります。この場合、増収増益が今後は続かない、または成長のペースが鈍化しそうという理由で、投資家がその銘柄への買いを見合わせている可能性が高いです。

一方、株価が上昇トレンドになっている銘柄は、増収増益による会社のさらなる成長を見越して投資家が買い上がっている可能性が大いにあります。したがって、増収増益が続く成長株へ投資する際には、株価チャートを見て株価のトレンドを確認しましょう。そのうえで、下降トレンドであれば買いを見合わせ、上昇トレンドの銘柄のみを買うようにします。

成長株の場合、成長がストップすると株価が大きく下落することが多々あります。高値から10分の1以下というのもまれなケースではありません。したがって、『会社四季報』などでは増収増益になっていても株価が下降トレンドの時は、安易に手を出すと大きな損失につながりかねないので注意が必要です。

テーマ株はできるだけ避けた方が無難

実は個人投資家の多くは、テーマ株に投資しています。でも、株式投資で安定的な成果を上げたいのであれば、テーマ株への投資は避けた方が無難です。なぜなら、テーマ株のメインプレイヤーはデイトレーダーのような短期売買の投資家や、ヘッジファンドだからです。

ヘッジファンドはいわばプロの投資家ですし、デイトレーダーもセミプロのような実力の持ち主が多いです。また彼らは昼間の取引時間中も常に株価を見ることができます。こうした短期売買の投資家が主体の株というのは、短期間に株価が大きく変動します。

そのため、昼間に株価をチェックできない会社勤めの方がテーマ株に投資すると、「気がついたら株価が大きく下がっていた」ということになりかねないのです。またテーマ株は、足元の業績の裏づけが薄く、期待感だけで上昇することも少なくありません。この期待感がしぼむと、あっという間に株価は上昇前の水準に戻ってしまいます。

成長株であれば、足元の業績の裏づけがあるため、長期間右肩上がりの上昇を見せることもありますが、テーマ株では右肩上がりの上昇を続けるケースはあまり多くありません。多くは山型のチャートを描き、値下がりしたものを我慢して保有し続けても報われません。

もし、テーマ株への投資で成功しているというのであれば、今後もテーマ株投資を続けても問題ありません。しかし、テーマ株投資でどうしてもうまく行かない、というのであれば、増収増益が続く成長株を投資対象にしてみてはいかがでしょうか。

「割安株投資」VS.「成長株投資」徹底分析(1)

株式投資をする際、当然ながらどの銘柄に投資するかを選ばなければなりません。その際の選定方法として、大きく分けると2つのスタイルがあります。それが「割安株投資」と「成長株投資」です。

割安株投資とは「バリュー投資」ともいわれ、企業価値と株価とを比較して、株価が企業価値よりも割安と判断される銘柄に投資するスタイルです。株価が割安な時に買い、企業価値が正当に評価されて株価が上昇するのをじっと待つ、というイメージです。

一方の成長株投資とは「グロース投資」ともいわれ、企業業績が年々成長を続けているような銘柄へ投資するスタイルです。企業の成長に伴う株価の上昇の恩恵を受けようというものです。

割安株投資の着目点はどこにあるのか

割安株投資で重要なのが、企業の価値と株価との比較です。企業の価値は、フロー(損益計算書)の面とストック(貸借対照表)の面とで測ることができます。フロー面における1株当たりの企業価値は「1株当たり当期純利益」、ストック面における1株当たりの企業価値は「1株当たり純資産」です。

フロー面で企業価値に比べた株価の割安度を測る指標がPER(株価収益率)です。これは、株価が予想1株当たり当期純利益の何倍かを表したもので、一般的にこの数値が低いほど、株価は割安とされます。

ストック面で企業価値と比較した株価の割安度を測るための指標がPBR(株価純資産倍率)です。これは、株価が1株当たり純資産の何倍かを表したもので、PBRが1倍を割り込んで低くなるほど株価が割安とされます。

これ以外に、配当利回りにより、株価の割安度を測ることもあります。配当利回りは「当期予想1株当たり配当金÷株価×100(%)」で求められます。この数値が高いほど株価が割安であるとされます。

成長株投資の着目点は?

一方の成長株投資で重要なのは、企業の「成長」です。成長度合いを見るための重要なポイントが「売上」と「利益」です。売上と利益が増加すればするほど、高成長であると判断されます。理想は、売上高と営業利益、経常利益、当期純利益の全てが毎年増加を続けていて、来期以降も増加予想となっている銘柄です。

アベノミクス相場で株価が5倍、10倍になっている銘柄が続出していますが、その多くが毎年増収増益を達成している成長株です。なお、時折見受けられるのが、売上高は横ばいであるものの、利益は毎年増加を続けているというケースです。しかし、こうした銘柄は成長株投資の際はできるだけ避けるべきです。

売上高は利益の源泉です。売上高が増えないのに利益だけ増やすことにはどうしても限界があります。売上高が増えなければ近い将来利益も頭打ちになってしまうはずです。そうなれば株価も大きく下落してしまうでしょう。成長株投資であれば、売上高・利益とも増加している「増収増益」の銘柄を選択するのが基本です。

ハイリスク・ハイリターンなのはどちら?

割安株投資と成長株投資を比べると、割安株投資の方が成長株投資よりもリスクは小さいですがリターンも小さいという傾向にあります。これは、株価は長期的にはおおむね企業の業績に連動するため、業績が毎年伸び続けている成長株の方が、株価が大きく上昇することを期待できるからです。

半面、ひとたび成長が鈍化すると株価が大きく下落するため、天井付近で投資した場合、適切な損切りなどを行わないと大きな損失を被る可能性が高い点に注意が必要です。そのため、成長株投資は割安株投資よりもハイリスク・ハイリターンであるといえます。

一方、割安株投資は、すでに株価が企業価値より割安な状態のものを選んで投資しますから、そこからさらに株価が大きく下がるという可能性は小さくなります。その一方、増収増益が続くわけではないので、企業価値が正当に評価されなければ、いつまでたっても株価が上昇しないということも少なくありません。

時には「成長株かつ割安株」が見つかることも

割安株投資はPERやPBR、配当利回り、対する成長株投資は増収増益が続いているかどうか、というように、両者は着目するポイントが大きく違います。そのため、基本的には成長株投資目線と割安株投資目線とで、選択される銘柄は異なってきます。

ただ、成長株投資目線でも割安株投資目線でも同じ銘柄がピックアップされることが時々あります。つまり、「高成長」かつ「割安」な銘柄です。これは、マーケット自体が大きく売られている時や、長期的な下降トレンドにある時に起きる現象です。

例えば、毎年30%の増収増益にもかかわらずPER7倍という銘柄が放置されていたりします。増益率30%であれば、PERが30倍でもおかしくありません。もし、この時点で買って、3年後、PER30倍という正当な評価がなされれば、株価は約10 倍にまで上昇する計算です(増益率30%が3年続くと利益は約2.2倍に。その利益の30倍まで買われると、3年前にPER7倍の水準にとどまっていた株価は、「利益2.2倍×[30÷7]」で約9.4倍になります)。

現に、アベノミクス相場が始まる前はこのような銘柄がゴロゴロしていて、アベノミクス相場によってこうした銘柄の株価が正当に評価されるようになった結果、株価が5倍、10倍にまで上昇した銘柄が続出したのです。

このような、割安株かつ成長株は、ローリスクでハイリターンが見込めるお宝銘柄となり得ます。こうした銘柄を見つけたら、10%、20%の利益で満足することなく5倍、10倍を狙っていきたいものです。

「割安株投資」VS.「成長株投資」徹底分析(2)

株式市場全体の値動きを示す日経平均株価が大きく下落している中でも、個別銘柄に目を向けると、年初来高値を更新している銘柄も数多く見受けられます。一方で、日経平均株価以上に株価が下落を続けている銘柄も少なくありません。

この違いはいったいどこにあるのでしょうか。一言で言えば「業績」です。つまり、増収増益が続いている高成長銘柄は株価が上値追いを続けている一方、業績が悪化している銘柄については、PERやPBR、配当利回りといった指標から見て「割安」であるにもかかわらず、株価は下がり続けることが多いのです。

いくら低PERでも好業績でないと買われない

実は、今の日本株には、「割安株」がゴロゴロしています。例えば、PERなら10倍程度の銘柄はいくらでも探すことができます。しかも、それなりに利益を上げ、配当金もしっかり出しているにもかかわらずです。

でも悲しいことに、PERが10倍以下であっても、一向に株価が上昇しないものも少なくありません。私が日々ウォッチしている約500銘柄の中にも、しっかり利益を上げているにもかかわらずPERが10倍以下の水準で放置されているものがいくつもあります。そこで、これらの銘柄の特徴を分析してみました。

するとそれらの銘柄の多くは、当期の業績が減益であったり、利益の伸びがほとんど止まっていたり、来期の業績が減益予想でした。筆者の経験上、増益率ゼロ(つまりゼロ成長)の銘柄のPERの妥当水準は10倍です。

ですから、足元でしっかりと利益を上げていたとしても、来期以降減益の予想であれば、PERが10倍を下回っていても決しておかしくありません。もし割安株目線で投資対象を見つけるなら、単にPERが低いだけでなく、来期以降の業績予想が増収増益となっている銘柄を探す必要があります。

割安株目線では永遠に成長株は買えない?

上場来高値を更新して、青天井の上昇が続いているような銘柄の共通点は、PERの水準が高いことです。これらの銘柄に共通するのは将来の高成長期待です。将来急速に業績が伸びることが期待されているため、足元のPERが高かろうが算出不可能であろうが関係ありません。つまり、株価は数年後の業績を織り込みに行っているのです。

例えばレーザーテック(6920)という銘柄があります。先端半導体向けマスク欠陥検査装置を手掛けるこの会社はここ数年、成長株として大きな注目を浴びてきました。AI向け半導体需要の高まりが期待される中、株価は上昇を続けています。

そのため、この銘柄は単純にPERの数値だけで見ると割高となっています。2024年4月時点でのPERは76倍にも達していて、これまでも高PERで推移していますが、月足チャートを見ると、株価が大きく上昇していることが分かります。つまり、PERが高い状態がずっと続きながらも、株価はここ10年余りで300倍以上にまで上昇したのです。

もし、PERが低い銘柄から投資対象を選んでいると、いつまでたってもこのような株価の大きな上昇が期待できる成長株に投資することができません。割安株投資で成果を上げている個人投資家の方であればよいですが、どうも自分の選んだ割安株の株価が全く上がらないとお困りの方は、成長株目線での銘柄選びも考えてみてはいかがでしょうか。

あまり機能していない低PBR投資

もう一つ、最近の傾向から筆者が思うことがあります。それは、PBRを用いた銘柄選択は、あまり機能していないという点です。PBRで銘柄選びをする際、PBRが1倍を下回っている銘柄、例えば0.5倍とか0.6倍の銘柄から投資対象を選択します。

以前は、筆者もPBRが0・5倍以下で、かつ利益もしっかりと上げていて配当金も出している銘柄へ投資し、その後の株価上昇の恩恵を受けたこともありました。しかし、今はPBRがどんなに低くても、それだけではなかなか株価は上昇しません。ポイントは、低PER株と同様に、業績が伸びているかどうかです。

ですから、増収増益かつPBRが1倍を大きく割り込んでいる銘柄があれば、十分に投資対象になるはずです。ただし、増収増益が続いている銘柄というのは、まずPBRが1倍を大きく上回っています。増収増益かつ低PBRの銘柄を探すのはなかなか困難だと思います。

また、2023年3月、東京証券取引所はプライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象に、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請を実施しました。特にPBR1倍割れの企業についてはそれを解消するための対応を求められているように読み取れることから、PBR1倍割れの銘柄に人気が集まりました。

しかし自社株買いや増配といった対応策により一時的に株価が上昇したとしても、業績そのものの向上がなければ一過性のものに終わる可能性も高く、事実、2024年4月時点でもPBR1倍割れの銘柄は1600銘柄を超えています。こうしたことから、筆者としては低PBR銘柄への投資はあまり重要視していません。

結論・大きな利益を狙うなら成長株投資

以上のことから、マーケット環境にもよりますが、筆者は成長株を中心に投資しています。ただし、成長株投資はリスクも高い点にはくれぐれも注意してください。例えば、決算発表時の来期業績予想で増収増益がストップしたり、増収増益には変わりないものの増益率が下がったりしてしまうという発表がされると、成長の鈍化が嫌気(先行きを悲観)されて株価が大きく売られてしまうことがあります。

成長株の最大のリスクは、成長が鈍化したと市場参加者が判断した時、株価についていた高成長というプレミアムが剥がれ落ち、株価が大きく下落してしまうことです。したがって、これから成長株に新規投資するのであれば、決算発表後の株価の乱高下が収まったあとにするのがよいのではないかと個人的には感じます。

また、増収増益基調にもかかわらずPERがそれほど高くない(10~15倍程度)銘柄もあります。決算前であれば業績の悪化が懸念されて低PERにとどまっている危険性もありますが、好決算を発表したにもかかわらず低PERが解消されないのであれば、新規投資を検討する価値はあると思います。  

足立武志

足立公認会計士事務所代表 公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー 株式会社マネーガーディアン代表取締役

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