1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

年金月38万円〈60代夫婦〉悠々自適な老後生活のはずが一転、「終わりの見えない節約生活」が続く切実理由…「ハワイ旅行は…そうね、来世生まれ変われたら」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月18日 11時15分

年金月38万円〈60代夫婦〉悠々自適な老後生活のはずが一転、「終わりの見えない節約生活」が続く切実理由…「ハワイ旅行は…そうね、来世生まれ変われたら」

(※写真はイメージです/PIXTA)

必死に働き、子どもを育て、老後資金も蓄え、ようやく迎える定年。仕事からも解放され、頑張ったごほうびに旅行でも…というささやかな願いはだれもが抱くのではないだろうか。しかし、現実はなかなか厳しいようだ。実情を見ていく。

節約しまくって貯めた老後資金、パッと気分よく使えない理由

6月とは思えない暑さが続く今日この頃だが、止まらぬ円安で一般庶民の懐は涼しくなる一方だ。バブル時代を享受し、かつては海外旅行に行きまくっていたシニアたちも、この状況では、海外に繰り出す気力も資金力もない模様。

60代の佐藤さん夫婦(仮名)は嘆く。

「うちは共働きでして、年金は夫婦合わせて月38万円。自宅もあり、経済的には困っていません。ですが、気持ちが楽になることはありません…」

と晴れない顔だ。

「93歳の夫の母を在宅介護しています」

夫が定年退職してすぐ、高齢の夫両親が相次いで要介護に。夫は二男だが、70歳の長男は配偶者をすでに亡くしており、賃貸物件にひとり暮らし。とても高齢の両親の介護に手が回らない。そのため、二男夫婦に介護が回ってきたのである。

「2年前、90歳だった父親を見送りました。いまは母親を見ています」

夫の母親には認知症の兆しもなく、受け答えはしっかりしている。だが、年齢相応に体は弱っており、生活全般に介助が必要だ。

「われわれはまだ体力があり、頑張って貯めたお金もあります。老人ホームという選択肢もあるのだと思いますが、母はいま90歳。正直、いつ何があるかわかりません。この状態で老人ホームに入れるというのは、あまりにも親不孝なのではないかと…。」

国立社会保障・人口問題研究所の『第7回全国家庭動向調査 報告書』によると、妻の年齢が 70歳未満となる世帯を対象として、親と同居している世帯の割合は15.6%。また夫、または妻の母親と同居している割合は13.3%。

この調査は5年ごとに実施されているが、親との同居割合の推移をみると「2008年」に26.6%、「2013年」に31.5%、「2018年」に19.8%、「2022年」に15.6%と低下傾向ではあるが、それでも現状、7世帯に1世帯程度は親と同居する世帯があるのだ。

また、年齢別に親との同居割合をみると「20代以下」が7.9%、「30代」が9.3%、「40代」が14.4%、「50代」が18.4%、「60代」が20.5%と、年齢が上がるにつれて親との同居割合は増えていく。

理由はやはり「親の介護問題」である。

女性にのしかかる「親の介護」の大問題

同調査によると、介護が必要なケースは「妻の父親」で6.8%、「妻の母親」で13.7%、「夫の父親」で 4.8%、「夫の母親」で11.2%であり、いずれも父親より母親のほうが介護の必要なケースが多い。これは男性と女性の平均寿命の差によるものだと推察される。

では、主な介護者はどうか。

●「妻の父親」→「妻の母親」が33.2%、「妻」が21.4%

●「妻の母親」→「妻のきょうだい」が31.2%、「妻」が27.6%

●「夫の父親」→「夫の母親」が33.2%、「夫のきょうだい」が19.5%

●「夫の母親」→「夫のきょうだい」が22.5%、「夫」が16.3%

上記から、いずれの親の介護であっても、男性より女性のほうが介護負担が重い傾向にあることがわかる。さらに掘り下げると「妻が夫の母親の主な介護者」になる割合は13.2%に対し、「夫が妻の母親の主な介護者」になる割合は2.6%。相手の母親の介護においても「妻」に介護負担がかかる傾向にある。

ちなみに、60代の妻で「(家族の)介護経験あり」は50.2%。「現にいま介護している」は全体の15.3%。そして、現在介護をしている妻のうち、中心となって介護をしている妻の割合は「20代以下」は60.0%、「30代」は47.1%、「40代」は44.4%、「50代」は54.1%、「60代」は69.3%、「70代」は91.8%となっている。これを見ると、介護においては妻への依存度が高いことが浮かび上がってくる。

さらに、介護経験のある60歳未満の妻のうち、介護にかかわり始める直前に「仕事をしていた」と回答したのは77.3%。そのうち6.2%が「介護のために離職」と回答。「介護以外の理由でやめた」と合わせると、介護に携わる直後に3割強が退職の選択をしているのだ。

「ハワイ旅行は…そうね、もし生まれ変われたら」

「私が若かったとき、義母には子育てその他でいろいろ助けてもらい、感謝しています。姑は優しくていい人です。ですから、介護がつらいというわけではないのです」

問題は、あとどれだけ介護が続くか、わからないという点に尽きる。

「一生懸命働き、子どもも甘やかさず、節約を重ねて老後資金を貯めました。おかげで、お金に困っているわけではないのですが、先が見通せない以上、目先の楽しみのためにまとまったお金を使うことに抵抗がありまして…」

「義母を預けて、大好きなハワイに行っても、ゴージャスなディナーを楽しんでも、将来のお金に困ることは、たぶんないでしょう。でも、遊び呆けているときに義母に何かあったら、生涯それを後悔するでしょうね」

老老介護者の場合、定年を迎えたら、これまで頑張ったごほうびとして、お金と時間を費やして楽しく過ごす…というのは、逆に精神的負担になっているのかもしれない。

「将来の夢ですか? 義母を無事に義父のもとに送ったら、私たちは残ったお金をかき集めて、老人ホームに入ろうと思います。ハワイ旅行は、来世生まれ変わったときに…」

もしかしたら、日本経済弱体化の理由はこのようなところにあるのかもしれない。

[参考資料]

国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査 報告書』

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください