1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

不動産投資の目的を「節税」だけにするべきではない理由【不動産投資のプロが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月24日 7時45分

不動産投資の目的を「節税」だけにするべきではない理由【不動産投資のプロが解説】

投資用不動産を所有する理由は人それぞれですし、人生における不動産投資の意味も十人十色でしょう。ただ、不動産投資=節税という目的をあまりに前面に出すと、本来の不動産投資の意義や目的を見失うリスクが高まるといいます。本記事では『新富裕層のための本質的不動産投資』(明日香出版社)より一部を抜粋・再編集し、著者の杉山浩一氏が語る「不動産投資をする際に重視すべき〈本質〉」をご紹介します。

不動産投資の目的を「節税」だけにすべきではない理由

既に投資用の不動産を所有している方、今から不動産投資を検討される方、または過去に投資物件を購入した経験のある方など、それぞれに異なる関心をお持ちの方がいらっしゃるものと拝察します。そうした関心の違いを承知のうえで、質問をさせていただきます。

皆さまの人生における、投資用不動産の位置づけとはどのようなものでしょうか? 物件を所有する理由は、人それぞれですし、人生における不動産投資の意味も十人十色でしょう。それでも1つだけ共通して言えることがあるとすれば、それは「不動産というものは所有者の生き方を表したものである」ということだと考えています。

私たちは、経済的には資本主義の社会に生きています。資本主義の本質的なロジックは「社会に貢献した人が収益を上げられる」というものです。商品やサービスの提供とは、社会に対する価値提供に他なりません。売り上げや利益の額は、そうした価値提供の質と量に比例するという原則を私はとても大切にしています。

とはいえ、資本主義には負の側面も存在します。細かい理屈はさておき、近い歴史の中で資本主義の負の側面が表に出た事例と言えば、バブル経済とその崩壊を挙げることができるでしょう。

私たちはバブル期に建てられたクオリティの高い建物をリノベーションし、入居者の方に安心・安全・快適な暮らしを提供することを事業の核に据えています。不動産を通じて、関わる人々が幸せになるお手伝いをさせていただく。それはまさに「社会貢献につながる事業」だと自負しています。

とはいえ、今の世の中、「不動産投資」という言葉には「節税対策」というキーワードがセット商品のように付きまといます。もちろん、不動産投資に節税効果があることは否定しません。後段で詳しくお伝えしますが、相続税評価が時価の8掛けでなされるという現状から、不動産購入と借り入れの組み合わせいかんで、一定の節税効果を望むことができます。

だとしても、節税があまりに前面に出過ぎると、不動産投資が持つ本来の意義や目的を見失うリスクが高まります。目先のお金だけに意識を向けてしまったせいで、真に良質な物件からはかけ離れてしまったというケースを少なからず目にしてきました。

あるいは、子や孫の代に、不動産を通して伝えるメッセージが「私はこれだけの節税に成功した。素晴らしいだろう!」といった自慢話に終始するようでは、せっかく皆さまが築き上げてきたものの価値が矮小化されてしまうことにもなりかねません。

何より、税の仕組みというものは時代と共に変わる運命にあります。ある時代に「結果として節税効果があった」仕組みが、いつの時代も変わることなく、同じ効果を出し続けるとは限りません。

だからこそ節税だけを不動産投資の目的に据えるのではなく、より本質的な価値を見いだしていくべきだと思うのです。その価値こそが、社会に対する価値の提供に他なりません。

やや理想論に聞こえるかもしれませんが、不動産投資による節税効果とは、不動産を通じて多くの人々に幸せを届けるという社会貢献の結果として、手にできるリターンの1つである。端的に言えば、「世の中の役に立つことをしたから、税金が安くなる」。そんな因果関係が成り立つべきだと思うわけです。

さらに、「不動産投資を中長期で考える」という点についても、私たちの特徴としてあらかじめ記載しておきたいと思います。

私たちは、お客様に対して、短いスパンで物件を転売し、利ざや(転売益)を稼ぐということをお勧めしていません。そもそも、短期間で利益を出すのはその道のプロにとっても簡単なことではありません。ましてや個人ともなれば、非常に困難であると言うべきです。

これらの点を総合して、新富裕層の方が不動産のオーナーになることの意義の本質は、節税目的でも、転売益を狙うことでもなく、広く社会に貢献することにあるのだと、心から信じてやまないわけです。

本質的に投資する価値のある物件とは

さて、不動産を通じて社会に貢献しつつ、そのリターンとして利益を得ていく、という本質に基づいた不動産投資を実現していくには、本質的に価値のある物件に投資していく必要があります。

私たちは、その1つが「中古・郊外・RCの一棟マンション」だと考えています。

不動産投資により広く社会貢献するという目的にとって、なぜ「中古・郊外・RC」が適しているのでしょうか。バブル期に建てられた、環八と国道16号に囲まれたエリアにあるRCマンションが、社会貢献の手段としてふさわしいと考える理由はどこにあるのでしょうか。

最初に挙げられるのが、物件の品質です。バブル期に建てられたマンションは一般に、構造や外構、共用部、デザインなど多くの点で品質が高く、適切に管理し続けることで「100年住める」と言って差し支えありません。

2つ目の価値とは高い賃貸需要です。環八と国道16号に囲まれたエリアには、今もこれからも根強い賃貸需要を見込むことができます。

しかも、コロナ禍が高い需要にさらに拍車をかけました。リモートワークに切り替えるビジネスパーソンが増えたことで、都心への距離があまり問題にならなくなったわけです。毎日出勤する必要がなければ、都心から離れていても、駅近でなくても大きな不便はありません。そこで改めて、「環八×国道16号」エリアが注目を浴びるようになりました。

私たちが管理する物件の平均入居率は、2023年1月~12月のデータでは約98%となっています。購入時より利回りが上がった物件も多く、家賃上昇率の平均は約2%です。

2%という数字はそれほど大きくないように感じられるかもしれませんが、単純に考えると、住人が同じ賃料のまま住み続けている部屋が8割の場合、新たな住人が入居した2割の部屋の賃料は10%もアップしている計算になります。これは、かなりの家賃上昇率だと評価できるのではないでしょうか。

時代背景的に見ても、これまでの30年間、賃貸マンションに住む中低所得者の給料は景気の上下にかかわらず、これ以上は下がりようがないほどの下限状態が続いてきました。家賃は給料の水準に比例するため、この30年間、家賃相場も停滞したままでした。しかし、今後は中低所得者の給料アップが見込まれ、賃料も上向き傾向になる見込みです。

中古物件といえば家賃は下がる一方だと思われがちですが、日本全体としてこのような傾向が見られることを加味すると、もともと需要の高い「環八×国道16号」エリアでは、これまで以上の家賃設定でも十分に需要があると考えることができます。

3つ目の価値は、融資条件が悪いという「メリット」です。これは新富裕層の方にはぜひともご理解いただきたい点なのですが、金融機関が示す、いわゆる「47年縛り」の問題と深く結びついています。

金融機関は、「鉄筋コンクリート造の建物は法定耐用年数の47年間で減価償却される」との考え方に基づき、融資の額に対する返済期間の限度を、「47年に対する残存期間」を基準に定めています。つまり、新築物件であれば返済期間は最大47年。築30年の物件の場合であれば、残り17年間で全額を返済しなければならないというわけです。

これは国が指導しているわけではなく、あくまでも金融機関が定めた基準です。返済期間が長ければ月々の返済額は少額で済むため、家賃収入による返済が可能です。

しかし、返済期間が短い場合には、仮に家賃収入がきちんと入ってきたとしても、毎月の返済額には追いつきません。不足分はオーナーが持ち出す以外に方法はなく、当然ながらキャッシュフローは悪化することになります。万が一、オーナー側がそれでよくても、金融機関は返済原資としてリスクありと評価します。ここから「築古物件は融資を受けにくい」という業界の常識が生み出されたとも言えます。

しかし、状況は少しずつ変わってきています。一部の金融機関が法定耐用年数ではなく「経済耐用年数」という考え方を採用し始め、融資先に与信力がある場合は「47年縛り」にとらわれないケースが出てきています。

こうした変化は今後さらに加速するだろうと、私自身は予想しています。そうなれば、十分な与信力を持つ新富裕層にとっては明らかにアドバンテージであると言えます。

杉山 浩一 株式会社プラン・ドゥ 代表取締役

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください