「今が一番幸せ」と言える100歳を迎えるために「習慣にするべきこと」【精神科の名医が助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月19日 7時0分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
過去の失敗を悔いたり現状に不満を言ってその場から動けずにいる…そんな時間は、先が長いとはいえないシニアにとっていわば人生のロスです。状況は変わっていなくても、自分の考え方次第で物事がよい方向に進むことがあります。今回はシニア世代の名医・保坂隆氏の著書『お金をかけず気軽にできる 「ひとり老後」が楽しい77の習慣』(KADOKAWA)から、ひとり暮らしのシニアがクヨクヨすることなく毎日を過ごすために習慣化したい「考え方」をご紹介します。
「なんくるないさ」を見習う
ちょっとしたミスなのに何度も何度もお詫びを言い、ときには落ち込んで立ち直れなくなる人がいます。一方で、同じ失敗を何度も繰り返したり、他人に迷惑をかけ続けても平気な人もいて、世の中は本当に不思議なものです。
失敗したときに反省は必要ですが、それにとらわれすぎると、先へ進めなくなってしまうでしょう。そこで立ち止まるよりも、取り返せばいいと前向きに考えるほうがいいと思いませんか?
さて、沖縄には「なんくるないさ」という言葉があります。わかりやすくいえば「なんとかなるさ」という意味です。失敗したり困ったことがあっても、「これくらい平気だ」と自分自身に言い聞かせて、また最初の一歩から始めるという前向きな気持ちの言葉です。
もちろん、家族や友だちが不安をかかえていたり、窮地に追い込まれたりしたときに励ます言葉としても使われています。「たいしたことないから心配するな」「大丈夫だから元気を出していこう」といった肯定的なニュアンスも含んでいるのです。
沖縄といえば、時間の感覚が比較的のんびりしていて「沖縄時間」という名まであるくらい。大都市の分単位、秒刻みの生活とは違う暮らしが営まれているためかもしれません。
そして、澄みきった空のもと、青い海に囲まれ、おだやかな気候という豊かな自然に恵まれれば、日々のちょっとしたトラブルなんて取るに足らない問題と思えてくるのでしょう。
若い人には反省する時間がたっぷりありますから、しっかり反省するのも大切でしょう。しかし、シニアにとっては、失敗を引きずって長く後悔しているのは、いわば人生のロスです。
「なんくるないさ」の精神で気持ちを切り替え、その先へと進むことを考えれば明るく前向きになるはずです。
自分に都合のいいように考える
わがままで好き勝手な言動は周囲にとって迷惑ですが、「頭の中で自分本位に考える」のは、他人に不快な思いをさせることなく、自分が気持ちよくなれる手立てのひとつだと私は思います。
長年、家族や会社のために頑張ってきた人が、年を重ねて、人生の締めくくりの時期にいるとしたら、そこから先は、自分本位の考え方や生き方を楽しんでいいのではないでしょうか。
たとえば、定年退職してのんびりできると思ったのに、何だかんだと雑用があり、なかなかゆっくりできない……と愚痴る前に、「やることが何もないのは、かえってつらいものらしい。忙しいのはうれしいことだ」と考えてみればいいでしょう。
俳優の夏木マリさんは、60歳を過ぎた頃、仕事から帰ると「疲れた、疲れた」を連発していたそうです。ところが、それを聞いた家族から、「疲れた疲れたと言うけれど、忙しいのはありがたいことなんだよ」と諭されたそうです。それ以来、夏木さんは考え方を変えたといいます。
「どんなに疲れているときも『疲れた』と言わないようにしたの。半分、意地になって『ありがたい。ありがたい』って言うようにしていたんですよ。そうしたら、何だか素敵なことにいっぱい出合えて……。本当にありがたいと感謝しています」
夏木さんは、古希を越えた現在も大活躍の日々です。
反対に、ヒマでヒマでしょうがないとしても、「何もすることがなく、時間を持てあましているから、趣味の囲碁でも楽しむとするか。そういえば、駅前でポスターを見かけた囲碁倶楽部の様子でも見てこようかな」と考えれば、長年、描いてきた趣味ざんまいの生活を始めることができます。
持っている服は流行遅れのものばかり……と嘆くより、「今どきのアイテムをひとつアクセントにすれば、おしゃれに見えるかも」と、ちょっとした工夫を加えて、ワクワクしてもいいでしょう。
年を重ねれば、若いときよりも食事の量が少なくなるのは当たり前ですから、「この先は量より質の食事を楽しもう」と考えればいいのです。なにしろ「ひとり暮らし」ですから、家族に迷惑をかけることもありません。誰かに遠慮したり、気をつかったりする必要はなく、自分の思うままの日々を過ごせるのです。
100歳以上の人を対象とした調査で、大多数の人が「今が一番幸せ」「不安なことは何もない」と思っていたそうです。そんな100歳を迎えるためにも、まずは「今が楽しい」と、とにかく自分に都合よく考える習慣をつけたいものです。
保坂 隆 保坂サイコオンコロジー・クリニック院長
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