乗客にも思わぬ影響が…フライトアテンダントの「超厳しい」労働時間の裏側【現役CAが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月20日 7時30分
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普通の会社勤めをしている場合、あらかじめ決められた労働時間を超えて働くことはごく普通のことといえます。ところがフライトアテンダントの場合、労働時間が厳しく管理されていて、たった1分超えることも許されないのだとか。本記事では『国際線外資系CAが伝えたい自由へ飛び立つ翼の育て方 当機は“自分らしい生き方”へのノンストップ直行便です』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集し、バンクーバー在住・現役CAのRyucrew氏がフライトアテンダントの労働時間についてご紹介します。
1分超過でも即アウト!超厳しいフライトアテンダントの労働時間
フライトアテンダントの仕事は、実はとても細かく法律が絡んでいます。なかでも厳しく定められているのが労働時間です。航空法*で、1分でも超えるとアウト。それは私が働いている北米に限った話ではなく、日本でも同様です。
また、勤務終了から次のフライトまでの間は必ず最低10時間の休憩を取らなければなりません。例えば乗務便が遅延して、次のフライトが朝の9時のときに、その間が10時間を少しでも切ってしまうような場合には、翌朝のフライトを遅らせるか、違うクルーが代わりに乗務しなければならないのです。
カナダでは、冬の間は遅延が当たり前のように生じます。雪がすごく降るので、ディアイシング*といって雪や氷を取り除く作業に時間がかかります。ディアイシングをしている間にもまた雪が積もって、もう1回しなければならないといったイレギュラーで遅延が重なることがあるのです。
カナダはほぼ全土で降雪しますから、国内線は大体乱れるといっても過言ではありません(実はバンクーバーはあまり雪は降らず、冬の場合は冷たい雨が続きます)。
遅延が重なると、既にお客様が飛行機に搭乗した状態でしばらく待った後、ようやく出発できることになったとしても、「さあ行くぞ」と扉を閉めて滑走路に向かったところで離陸する飛行機が待機しているため、滑走路の手前でさらに1時間や1時間半くらい待つことも普通にあります。
そうすると、渡航先に到着する時間を計算したときに、クルーのデューティータイム*がルール内には確実に収まらないということで、そのフライト自体がキャンセルになることもあります。
さんざん待たされた末に飛行機が滑走路に向かって動き出し、ようやく出発すると思ったら、再びゲートに戻っていくので、お客様も「えっ?」「なんで?」という顔をされます。
その場合には、空港でスタンバイしていたフライトアテンダントと乗務を交代した後に出発するか、その便自体をいったんキャンセルにし、ルール上のミニマムレスト*を挟んだ10時間後に、クルーも飛行機ももう一度セットアップして、お客様を乗せて出発することもあります。
お客様にしてみれば、その後の予定を変更せざるを得ない状況になるわけですし、迷惑極まりないことだと思います。けれども、それは別にクルーが疲れているがゆえのわがままではなく、法律で決まっているからだということを、どうかご理解くださいませ。
飛行機の大きさやドア数に応じて、乗務するフライトアテンダントの人数も定められています。フライトアテンダントの人数が1人でも少ないと、お客様を機内にご案内することができません。時間や人数など、数字に対しては本当に厳密なルールがいくつも存在しています。
ですから、クルーにも「会社のために、ここは頑張ろう」「多少時間がオーバーしても大丈夫」という感覚はありません。とてもシビアにとらええていて、1分でも時間をオーバーしたら割り切ります。既にお客様が乗っていて、あとは離陸を待つだけであっても、お客様に迷惑がかかることは重々承知の上で、「それでも、これはルール。航空法や会社の契約書で決まっているので」というスタンスです。目をつぶることはしないのです。
私はどちらかというと、「この状態でキャンセルしたら、絶対に修羅場やん」と考えると、「もうええやん、行ってしまおう」と気持ち的には思うのですが、実際には法律的に行けないのですよね。
*航空法 航空業界に関する法律や規制のこと。航空機の運航や安全、航空会社の規制、航空旅客の権利など、航空産業に関するあらゆる規定を含む。
*ディアイシング 安全に飛行する為に飛行機の翼に積もった雪を除去し、さらに翼の凍結を抑える作業のこと。
*デューティータイム 業務時間のこと。機内サービスや安全確認、乗客への応対など、任務を遂行するための時間を指す。
*ミニマムレスト ステイ先での最低の休息時間を指す。一般的には最低でも10時間の休憩を挟む必要があることが多い。
Ryucrew 現役CA(キャビンアテンダント)
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