50代を過ぎたら他人事ではない〈白内障〉…「簡単な手術」だからと安易に手術すべきではないワケ【眼科医が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月21日 11時0分
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白内障は水晶体が白く濁り視力が低下する病気で、原因もさまざまです。50代以降になると多くの人に症状が現れるなど、めずらしくない病気であることから、「白内障の手術は簡単」というイメージを持っている人も多いかもしれません。しかし、眼科医の窪田良氏は「決して簡単な手術ではない」といいます。本記事では、窪田氏の著書『近視は病気です』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集し、白内障の手術についての見解をご紹介します。
白内障手術は「簡単」ではない
日帰り手術も一般的になってきて、「白内障の手術なんて簡単だ」と言われることもありますが、実は技術的には簡単ではありません。
内臓のオペでも、広い視野が取れる開腹手術に比べて、細い管のような装置を小さな穴から入れる腹腔鏡手術は医師にとって難しいものです。同じように、小さな傷口から管を入れて水晶体を乳化吸引するには、熟練された高度なテクニックが必要になります。
細い針のようなノズルがついた装置で、水晶体の袋を残して中身だけ吸引しなければなりません。袋を残さないと人工レンズが入れられないからです。残した袋に、小さく折り畳まれたレンズを、細いパイプ状のインジェクターで移植します。ただ、超音波のかけ方が強すぎるとか、患者さんの体質によっては袋が壊れてしまうこともあります。
袋が壊れた場合は、人工レンズを直接、目に縫いつけて固定しなければならず、手術時間も長くなってしまいます。破れた袋から水晶体の一部が硝子体に落下したりすると、より大がかりな手術をして除去する必要もあります。
ちなみに後発白内障といって、水晶体の袋が手術後に濁ってしまい、レーザーで切開しなければならないことがあります。切開したあとは、普通は再び濁って見えなくなることはありません。
白内障手術はいつ受けたほうがいいか
こうした合併症は、熟達した眼科医であればめったに起こることはありませんが、ゼロにはなりません。それもあって、必ずしも白内障手術をしなければならないというわけではない、と私は考えています。手術が絶対ありきではないということです。
どこまで視力が落ちたら手術を決断するかは、その人の生活スタイルにもよるでしょう。激しく目を使うような生活なら、早く手術したほうがいいでしょう。外に出るのは散歩くらいでのんびり過ごしているなら、視力が下がっても、大きな負担をかけてまで手術をする必要はないかもしれません。
私は必ず、何人かの先生に聞いてみてほしいと伝えています。三人聞いて、三人とも手術したほうがいいということであれば、したほうがいい。そうでないなら、きちんと理由を聞くことです。
一方で、あまりに白内障が進むと、手術がしにくくなるフェーズがあることも知っておいたほうがいいかもしれません。水晶体が固くなりすぎると、超音波の出力を相当に高めないと水晶体の中が砕けないので、周辺組織を壊すことがあり、目に障害が出るリスクが高まるためです。
また、網膜の状態によっては、見え方がそれほど悪くなくても、早めの白内障手術をすすめられる場合もあります。水晶体が濁るにつれ、外から目の中を見るのが難しくなって、眼底検査や、レーザー光線による治療がしにくくなることがあるためです。
そういう意味では、水晶体が濁ったままにしていると、十分な眼底検査ができないことで、何らかの網膜疾患を見落とす可能性もあります。
さらに言えば、白内障が進みすぎてからの手術だと、事前の検査だけでは目の状態の全容がよくつかめませんから、オペをしてみて網膜の病気がわかって「せっかく白内障を手術したけれど、期待したほどの視力が出なかった」というケースも起こりえます。
白内障は、50代を過ぎたあたりから始まります。50代の人にはほぼ何らかの白内障の症状があると思ったほうがいいでしょう。防ぎようはありません。どのくらいのスピードで進むのかの予測も困難です。
長時間にわたって外にいる人、太陽に激しく暴露されさまざまな波長の光をたくさん浴びて酸化ストレスがかかっている人、そして近視である人……そうした人は、白内障になるおそれも高まると考えられています。ほかにも遺伝的要因、外傷の有無、糖尿病の有無、喫煙の有無も関係があることがわかっています。
窪田 良 医師・医学博士
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