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義両親の壮絶介護で「このままではあなたが倒れる」…「親不孝と言われても」老人ホーム入居を決めたワケ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月20日 18時0分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

超少子高齢社会となって久しい日本で、深刻化する「親の介護」問題。『高齢社会白書』(令和5年版)や事例とともに解説していきます。

認知症の義母に続き義父も…壮絶な介護生活

10年前に義母が認知症を発症し、介護生活が始まった坂本さん(仮名/60歳・女性)。義母の認知症は初期段階では物忘れや軽度の混乱といった症状でしたが、次第に症状が進行し、日常生活に支障をきたすようになりました。具体的には「食事をとったことを忘れる」「夜中に徘徊する」「場所や人を認識できなくなる」などの症状です。

「義母の介護は体力的にも精神的にもかなり厳しかったです。夜中に起き出して家の中を徘徊することもあり、その度に起きて対応しなければなりませんでした」

さらに、その5年後には義父が脳梗塞で倒れ、要介護状態となりました。義父の介護にはリハビリテーションや移動や入浴などの日常生活全般のサポートが必要で、坂本さんの負担は倍増しました。

「義父の介護が加わったことで、私はほとんど休む暇がなくなりました。自分の健康状態もどんどん悪化していくのがわかりましたが、家族のために頑張らなければと思っていました」

介護には多大な費用もかかります。

「毎月の介護費用が家計に重くのしかかっていました。介護保険を利用しても、自己負担分がかなりの額になり、将来の生活費を考えると不安でした」

介護疲れがピークに達した坂本さんは、体調を崩し、医師から「このままではあなたが倒れる」と警告されました。家族とも相談し、ついに義両親を老人ホームに入居させる決断をしました。

老人ホームの入居にも費用はかかります。特別養護老人ホーム(特養)など公的施設は比較的費用が抑えられますが、入居待ちが多く、すぐに入れるとは限りません。民間の老人ホームでは、入居一時金として数百万円、月額費用として数十万円が必要になることもあります。

とはいえ坂本さん家族の場合、事前にある程度の資金計画を立てており、家族と相談して貯蓄を活用できたため、入居を決断できたということです。また、介護保険制度や高額介護サービス費の支給も受け、経済的負担を軽減できたと語ります。

「自分が倒れたら、誰も義両親の面倒を見られなくなると考えました。親不孝だと言われることも覚悟しましたが、老人ホームへの入居が最善の選択だと判断しました」

老人ホーム入居後の変化

老人ホームへの入居後、義両親は専門の介護スタッフのもとで適切なケアを受け、坂本さん自身も少しずつ健康を取り戻しました。心に余裕ができたことで、義両親との関係も改善し、面会時には笑顔が増えました。

「老人ホームに入ってから、義両親が安心して過ごしている様子を見て、私もほっとしました。家族全員が以前よりも前向きな気持ちで接することができています」

坂本さんのようなケースは決して珍しいものではありません。厚生労働省『2022年 国民生活基礎調査の概況』によると、介護が必要となった主な原因について、「要介護者」では「認知症」が 23.6%で最も多く、次いで「脳血管疾患(脳卒中)」が 19.0%となっています。

また『高齢社会白書』(令和5年版)によると、75歳以上で要介護の認定を受けている人は被保険者の23.1%にものぼります。

坂本さんは、今回の老人ホーム入居を通じて、介護に対する考え方が大きく変わったと語ります。

「介護は愛情だけで乗り越えられるものではなく、適切なサポートが必要だと痛感しました。プロの手を借りることは決して親不孝ではなく、むしろ家族全員の幸福を守るための選択だと思います」

介護は誰にとっても大きな課題であり、家族全員に影響を及ぼすものです。坂本さんの経験は、介護に悩む多くの人々にとって一つの指針となるでしょう。適切なサポートを受けることで、家族全員がより良い生活を送ることができます。「自分たちでなんとかする」だけでなく、プロの力を借りることも重要な選択肢であることを忘れてはなりません。

老人ホームへの入居には費用がかかるため、早い段階で資金計画を立てることも重要です。坂本さんのように、介護の負担が限界に達する前に、適切な介護施設を選び、家族全員の幸福を守る選択をすることが、現代社会における介護のかたちと言えるでしょう。

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