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定年退職、おつかれさまでした。でも、まだ大事な話が…元サラリーマンの人生第2ステージ、経済評論家が教える重要ポイント

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月23日 9時15分

定年退職、おつかれさまでした。でも、まだ大事な話が…元サラリーマンの人生第2ステージ、経済評論家が教える重要ポイント

(※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職したら、その先は悠々自適の老後生活…。そんな人生設計が可能だったのは大昔の話。これから定年を迎える人たちの課題は「終わりの見えない老後生活をどう乗り切るか」につきます。経済評論家の塚崎公義氏が、複数の視点からアドバイスします。

定年退職後は「可能な限り就労を継続」+「生活を見直す」

定年退職、おめでとうございます。そして、おつかれさまでした。あとは悠々自適でのんびりお過ごし下さい――と、いいたいところですが、あなたが「サザエさん」の父・波平氏より元気なら、ぜひともお伝えしたいことがあります。

まず、引き続き働くことを考えましょう。

就労は、老後資金が稼げることに加え、ボケ防止にもなりますし、社会との接点を保つことは精神衛生にもよいでしょう。このあたりについては拙稿『「老後資金がほしかった…」危険な投資に手を出す高齢者たち、ほかに手立てはないものか?』をあわせてご参照いただければ幸いです。

それから、生活を見直しましょう。

たとえば、生命保険は不要ですね。すでに退職金を受け取っているので、あなたに万が一のことがあっても遺族が路頭に迷うことはないでしょうから。子どもたちが独立して子供部屋が不要になったなら、郊外の広い家から駅前の小さなマンションに引っ越し、車を手放すというのも選択肢でしょう。このあたりについては、拙稿『収入は上がらなくても…「節約の日々」から脱する〈生活の見直しポイント〉6つ』をあわせてご参照いただければ幸いです。

老後の柱はやっぱり「公的年金」…プチ贅沢は老後資金で

サラリーマンは公的年金が充実しています。標準的なサラリーマンと専業主婦の夫婦は、65歳以降、毎月23万円程度の年金が受け取れますから、最低限の生活は可能でしょう。これは、どれだけ長生きしても受け取れますし、インフレが来れば原則としてその分だけ受取額が増えますから、老後資金の最重要の柱です。

要検討なのは、年金の受け取り開始時期を遅らせることです。年金は普通は65歳からの受け取りですが、たとえば70歳まで待ってから受け取れば、毎月の受取額が42%増えるので、老後の安心感が格段に増します。70歳まで働いて生活費が稼げればいいですが、足りない分は老後資金を取り崩しながら生活する、というのも選択肢でしょう。

あとは、蓄えた老後資金を少しずつ取り崩して、ささやかな贅沢を楽しめばよいのです。もっとも、万が一に備えて数百万円は残しておき、なにもなければ葬儀費用として遺族に託しましょう。

ここから先は、老後資金の運用の話

「老後資金の運用」といっても、ガツガツ投資をして稼ごうというのではなく、「老後資金を全額銀行預金で持っていると、インフレが来て目減りしてしまうリスクがあるから、インフレに強い資産も少しは持とう」という、守りの運用です。

退職当日は、退職金が振り込まれ、金融資産のほとんどが銀行預金になった…という人が多いでしょう。そこで、株式等を買うわけですが、重要なのは「多くの銘柄を、時間をかけて、少しずつ買う」ということです。そうすれば、値上がりする株も、値下がりする株もあり、高いときも安いときも買うことになるので、大儲けは狙えない代わりに、大損のリスクも小さいでしょう。

「60歳で退職金を受け取り、65歳まで働いて生活費を稼ぎ、65歳から年金を受け取る」という前提で考えましょう。

まず、65歳の時点の金融資産額を予想します。現在の金融資産額からスタートして、毎月の収入と支出を予想して足し引きするのです。

次は、金融資産の何割を銀行預金で持ち、何割を株式等で持つのかを決めます。この比率については、正解は特にないので、自分が何を恐れているか、考えましょう。「株等は値下がりが怖い」「銀行預金はインフレによる目減りが怖い」のどちらが自分にとって重要でしょうか。それによって割合を決めればよいのです。

あとは、予想される金融資産額に株等のウエイトを掛けて、5年後の株等の金額を決め、毎月60分の1ずつ買っていけばいいわけです。

ちなみに筆者は「平均株価は上がったり下がったりするので、暴落しても長期で持っていれば戻る」「インフレによる預金の目減りは少子高齢化による労働力希少(労働力不足)で加速するかも」ということで、預金のウエイトを低く、株式等のウエイトを高くしていますが、そのあたりは各自のご判断で。

NISA枠を使って株式投信の積立を

ここまで「株などを買う」としてきましたが、実際にはNISA枠を活用して株式の投資信託を積み立て投資するのがいいでしょう。

NISAは、株式投資などから得られる配当や売却益などが非課税になる制度なので、使わない理由はありません。2024年から枠が拡大され、1人1,800万円まで非課税で投資できますから、庶民には十分です。金融資産1億円の「上級庶民」でも、夫婦合計で金融資産の36%まで非課税で運用できますから非常にありがたい制度です。 

現在、NISA枠外で株式等を持っている場合には、一度売却してNISA枠で同じものを買い直すことも要検討です。売買手数料は2回分必要ですが、非課税メリットの方が大きい可能性が高いので。

もっとも、買値より値下がりしている銘柄は、NISAに移す必要はないでしょう。「損切りすべきか」を今一度検討して、持ち続けると判断したならば、そのままにしておきましょう。

投資信託というのは、プロが大勢の投資家から資金を集めて多くの銘柄の株を買い、儲かっても損してもそのまま(手数料を差し引いて)投資家に返す、というものなので、少額の投資で多くの銘柄の株を買うのと同様の効果が得られ、「分散投資」が容易にできるのです。

投資信託といっても数が多いので、投資初心者は、積み立てNISA対象の投資信託(金融庁「つみたて投資枠対象商品」ページ参照)から選ぶといいでしょう。手数料の高いものが含まれていないので安心です。

本稿は以上ですが、投資判断等は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があります。  

塚崎 公義 経済評論家

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