戦略的にトレードで利益を上げたいなら…10回のトレードで「2勝2敗6分」を理想にするのが望ましいワケ【YouTubeで人気のプロトレーダーが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月8日 10時45分
FXトレーダーにとって、メンタルは非常に重要です。しかし、メンタルを鍛えるためと言ってリスク管理を怠ることは悪手といえるでしょう。メンタルを揺さぶられたときに、次のトレードに向けてできるケアはあるでしょうか。FXトレーダーであるHiro氏の著書「FX 環境認識の定石」(日本実業出版社)より、トレーダーのメンタルケアの方法について詳しく見ていきましょう。
鍛えられない“メンタル”…気分の上手な扱い方とは
トレーダーにとってメンタルの重要性は認識されていますが、意図的なメンタルの鍛え方には疑問があります。メンタルに対する適切なアプローチは、どうメンタルと向き合うかにあると考えます。
メンタルと「どうつき合っていくか」という考え方
「トレードをやっていくにはメンタルが大事」
こうした言葉を聞いたことがある方、実際にそう感じている方も多いと思います。私自身もメンタルの重要性を強く感じています。
トレードは、普段扱わないような金額を相場のリスクに晒しますし、どんなにがんばっても普通に負けることもある世界です。メンタルを揺さぶられないほうが無理という話でしょう。
そこで次の発想として、「じゃあメンタルを鍛えよう。特にトレードに必要なメンタルはリアルトレードで鍛えるしかない」、このように考える人が多いと思います。しかし、はっきり言ってこれは悪手です。
断言しますが、意図的にメンタルを鍛えることは不可能です。今までの人生を思い返してみてもらいたいのですが、さまざまな経験を通して「結果的に」メンタルが強くなった、人間として成長したといったことは経験があるかと思います。
ですが、意図的にメンタルを鍛えようとしてうまくいったことはあるでしょうか? 中にはうまくいったという方もいるかもしれませんが、それは圧倒的に少数派なはずです。
もちろん、トレードをしていく中で「慣れ」は存在しますが、これは「メンタル」とは完全に別物です。そもそも人間のさまざまな感情の起伏を「メンタル」という抽象的な言葉でまとめようとすることに無理がある気もします。
仮にメンタルを意図的に鍛えることができたとしても、メンタルはそのときどきの体調や人間関係、出来事、天候などでも簡単に浮き沈みするものです。そうであればメンタルを鍛えようとするのではなく、「メンタルとどうつき合っていくか」を考えるほうが現実的ではないでしょうか。これは心理学などの専門知識を学んでいても感じることです。
事前と事後の対策
メンタル対策のポイントは、メンタルが揺さぶられないようにするための「事前の対策」と、揺さぶられてしまったときにどうするかという「事後の対処法」を準備しておくことです。
例えば、必ず余裕資金でトレードする、膨大な検証を通して確率で考えられるようにしておく、トレードシナリオを作成して想定外を排除する、といったことが事前の対策として有効です。
メンタルが揺さぶられた際には、トレードノートを活用してそのときの心情を吐き出してみてください。きっと自分を客観視できるようになると思います。
ここまで解説してきたことは、トレードで勝てるようになるための直接的なものだけでなく、メンタル安定のためにも実は効果的なものばかりです。他にも、メンタルが不安定なときというのは、食事・睡眠・運動のどれかに問題を抱えていることも多く、トレード以前に健康な生活を送るためにも、こうした知識を学ぶことは大切です。
毎日忙しくて疲労が溜まっているのなら、ときにはゆっくり休んでください。その余裕すらないのであれば、環境を変えることについても真剣に考えるタイミングなのかもしれません。
リアルトレードでメンタルを鍛えようとする前にできることはたくさんあります。気合と根性でがんばるのはインプット学習や検証作業の部分のみ。実際のトレードにはもっと科学的・現実的なアプローチで臨んでいきましょう。
理想の勝率が「2割」と言われるワケとは
理想的なトレード成績として目指すのは「2勝2敗6分」です。勝ち負けだけでなく、「引き分け」の概念を取り入れることで、現実の成績との調和を重視していきましょう。
正確な勝率を導き出すための「引き分け」の概念
「10回トレードしたら10回とも勝ちたい」
これが自然な感情ですし、私自身もできればそうありたいと思いますが、実際には現実的ではない、というのはおわかりでしょう。私が考える理想のトレードは「2勝2敗6分」です。「え、どういうこと?」と戸惑われる方もいるかと思います。
まず、私は勝ち負けの他に「引き分け」という概念を取り入れています。見た目の勝率に自分自身が惑わされないようにするためです。
例えば、常に100pips、200pipsを狙っているのに+1pipsで終えたトレードを「勝ち」とカウントするのは、どこか違和感がありませんか? 微益でもプラスで終わった以上、勝ちとカウントするのも1つの考え方かもしれませんが、これだと自分が本当に狙っている利益幅には対応しない形だけの勝率が算出されてしまいます。
それを防ぐために、私は「引き分け」という概念を取り入れているわけですが、その基準はリスクリワード1:1未満の場合です。
基本的にリスクリワード1:2以上を狙っており、できるだけそこに対応する正確な勝率を表現したいわけです。であれば、0.1pipsでもマイナスなら「負け」とシビアにカウントするけれど、リスクリワード1:1未満なら「引き分け」にカウントして勝ちから除外する。この基準が、私が勝率という数字に求めた妥協点でした。
そのうえで2勝2敗6分の詳細です。10回中8回(2敗6分の部分)は小さく負けたり微益で終わったりして資金を守る。そして、残りの2回で大きく伸ばしてトータルで利益を残していく。
10回中2回なら大きく伸ばすこともできそうではないでしょうか? これが自分のトレードルールの特性や実際の相場での難易度を考えた場合の現実的な落としどころだと考えています。
みなさんにもこの方法を真似してほしい、ということではなく、考え方の部分をぜひ参考にして、考えるきっかけにしてもらえたらと思います。自分のトレードや相場に対する印象からどういうトレードが理想的なのか。これはトレード戦略の根本にもかかわる部分なので、時間をかけて考えてみてください。
Hiro FXトレーダー
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