〈月収43万円〉の定年サラリーマン〈退職金1,500万円〉を元金に、長年の夢だった「カフェ」をオープン!感無量もわずか8ヵ月で閉店、500万円の借金を負った「残念な理由」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月22日 10時15分
![〈月収43万円〉の定年サラリーマン〈退職金1,500万円〉を元金に、長年の夢だった「カフェ」をオープン!感無量もわずか8ヵ月で閉店、500万円の借金を負った「残念な理由」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_61377_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
定年後も働き続けることが多数派となっていますが、これまで勤めていた会社で働くか、それとも新天地を求めるかは人それぞれ。定年を機に起業し、長年の夢を実現する、というケースが増えています。しかし定年後の起業にはリスクも。みていきましょう。
定年退職→起業が増加…開業資金は「退職金」
総務省『令和4年就業構造基本調査』によると、定年退職した人は173万人。5年前の調査から20万人ほど減りました。
厚生労働省の企業調査によると、定年制を定めている企業は94.4%で、そのうち一律に定年年齢を定めている企業は96.9%。その72.3%が「60歳」を定年とし、ついで21.1%が「65歳」を定年としています。法改正により、65歳、さらには70歳まで働き続けられる環境が整いつつありますが、企業側としての対応としては、定年年齢を引き上げるのではなく、契約形態を変えて再雇用というのが一般的です。
定年後も働きたいが、このまま今の会社で働き続けるか、それとも新天地で頑張るか……悩みどころです。なかには「ずっとやりたかったことを実現するぞ!」と一念発起し、起業するケースも珍しくありません。
株式会社帝国データバンクによる『新設法人調査(2023年)』によると、2023年に全国で設立された新設法人は15万2,860社。代表者年齢(起業年齢)は48.4歳でした、近年、シニア層の起業割合は上昇傾向にあるとし、2023年では「50代」が25.3%、「60代」が12.2%でした。
定年を迎えたサラリーマンの開業資金として充てにする人が多いのが退職金。厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』によると、1人あたりの平均退職金は1,896万円。退職時の月収(所定内賃金)は52.6万円です。企業規模別にみていくと、「従業員30~99人企業」で1,282万円、「100~299人企業」で1,347万円、「300~999人企業」で1,662万円、「1,000人以上企業」で2,191万円。2,000万円前後あれば、さまざまな夢をカタチにできそうです。
――念願だったカフェを開業
60歳で夢を叶えた男性。ずっと技術職で頑張ってきましたが、定年後は第二の人生としてカフェをやるのが夫婦の夢だったといいます。定年直前の月収は45万円ほど。退職金は1,500万円ほどだったといいます。
カフェ開業に向けては、まずは経験。定年後、男性はカフェチェーンでアルバイト。時給1,190円で1日5時間×週5で勤務し、コーヒーについて学んでいきました。そして1年後、夫婦の夢をカタチに。開業資金は当初の予定で1,000万円ほどでしたが、昨今の資材高などにより、最終的には退職金をすべて使い果たしてしまったといいます。それでも夢の実現に感無量だったといいます。
定年退職金をつぎ込んでカフェを開業した仲良し夫婦だったが…
長年の夢を叶える、シニアの起業。もちろん、そのすべてが上手くいくとは限りません。前出の男性のカフェもなかなか黒字にできず、8ヵ月で閉店を迎えてしまったといいます。負債は500万円ほど。返済のため、男性は古巣に頼み込んで再び働くことに。妻もパートで働き、家計を支えています。
――思っていた以上に飲食店は厳しかった
カフェを開店したのは表通りから1本入ったロケーション。「隠れ家カフェ」をイメージして決めた物件でしたが、ずっと隠れ家のまま閉店に至ったといいます。
――表通りは人通りが多かったので、1本入った裏道でもお客さんは来ると思っていた
――見よう見まねでSNSもやってみたんですが
カフェのオープンにあたり、学んだのはコーヒーのことは学びましたが、飲食店の経営については、さほど勉強しなかったという男性。物件選びや宣伝広報など、学ぶことは色々とあったと後悔しています。
――口コミで客は増えていくだろうと考えていましたが、甘かったですね
定年後の起業は、それまでの会社員人生で培ってきた経験や人脈を活かせることにあります。しかし男性の場合、まったく新たなチャレンジだったのでアドバンテージは一切ありませんでした。一方で、定年後の起業でデメリットといえるのが、年齢的にリカバリーが難しいこと。また男性の場合は、何とか古巣に戻ることができましたが、シニア起業で失敗に終わったとき、再就職のハードルが高いこともデメリットといえるでしょう。
定年後の起業する際は、開業資金と老後資金をしっかりとシミュレーションすることが重要。男性のように退職金をすべてつぎ込み、さらに借金までしてしまうと、最悪、路頭に迷うケースもあります。老後の生活のための最低限の資金は確保したうえで、夢に向かってチャレンジすることが鉄則です。
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