年金含めて月32万円・60歳の再雇用サラリーマン、給与大幅減も余裕の笑みだったが…日本年金機構からの手紙で知る「年金支給停止」の驚愕事実に涙
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月23日 9時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
年齢と共に給与が上がっていくサラリーマン。ただなんでもピークがあるように、通常、定年を機に大きく給与は減少します。なかには「給与減に耐えられない!」というケースも。そこで活用したいサポート制度も。ところが、しっかりと制度の内容を理解していないと、実は損をしていることに気付かない場合も。みていきましょう。
60歳定年で正社員→非正規社員で年収4割減
厚生労働省の調査によると、サラリーマンの給与は年齢と共に上昇。50歳後半で月収44.0万円、賞与も含めた年収が725.5万円とピークに達しますが、多くのサラリーマンが定年となる60歳を境に、給与は、月収で15%、年収で20%ほど減少します。
これは60歳以降も正社員として働いた場合。定年を迎えた社員の多くは、再雇用で契約社員や嘱託社員などといった非正社員に。その場合、月収は28.5万円、年収434.4万円となり、定年前と比べて、月収では35%、年収では40%も減少することになります。
【年齢別「サラリーマン」の平均給与】
20~24歳:232,200円/3,594,700円
25~29歳:271,400円/4,497,500円
30~34歳:307,000円/5,167,200円
35~39歳:344,800円/5,807,500円
40~44歳:380,200円/6,313,200円
45~49歳:406,400円/6,709,000円
50~54歳:428,300円/7,072,400円
55~59歳:440,800円/7,255,400円
60~64歳:372,400円/5,715,100円
※数値左より月収/年収
大きく給与減となれば、支障をきたすケースも。そんな60歳定年を境に給与減で嘆く人たちをサポートしてくれるのが「高年齢雇用継続給付金」。これは60歳以上65歳未満の会社員に支給される給付金で、60歳到達時点とそれ以降の収入を比較し、60歳到達時点の75%未満となっていた場合に支給されます。
【高年齢雇用継続基本給付金の支給条件】
●失業保険による基本手当や再就職手当を受給していない
●60歳時点と60歳以降の賃金を比較した際に、75%未満に低下している
●60歳以上65歳未満で雇用保険の一般被保険者である
●雇用保険の被保険者期間が5年以上ある(60歳以前の通算)
支給額は、ひと月ごとの「賃金の低下率(60歳到達時点の賃金と現在の賃金にどの程度の差があるかを示したもの)」に応じて算出。低下率は「支給対象月の賃金額÷60歳到達前の6ヵ月間の平均賃金額×100」で計算します。
賃金の低下率が61%以下の場合、支給額は支給対象月の賃金の15%。61%~75%未満の場合は計算が少々複雑となり、結果だけいうと、65%で10.05%、70%で4.67%です
高年齢雇用継続基本給付金+年金の繰上げ=年金支給停止
定年で減少した収入をカバーする方法として、「年金の繰上げ受給」を利用する手も。これは原則65歳から受け取る老齢年金を60~65歳の間で受け取ることのできる制度。ただし1ヵ月早めるごとに0.4%年金は減らされ、最大24%の減額。その減額率は一生変わりません。
仮に65歳から月17万円の年金がもらえるはずのサラリーマンがいたとしましょう。60歳まで繰り上げると、年金は月14.2万円ほどに。これが一生涯続くことになります。
また繰上げ受給した後は取消しすることはできず、「やっぱりやめた」と途中で取り消すことはできません。さらに繰上げ受給すると、国民年金の任意加入や、保険料の追納はできなくなります。
年金が減額になるとはいえ、収入の減少分をカバーし、生活を安定させるのにひと役買ってくれるはずです。
ここで注意したいのが、高年齢雇用継続基本給付金をもらい、年金の繰上げ受給制度を利用する場合。年金の一部が支給停止され、最高で標準報酬月額の6%が支給停止されます。
たとえば、
●基本月額(老齢厚生年金の年額を12で割った額)月10万円
●総報酬月額相当額(月給=標準報酬月額に、直近1年間の賞与を12で割った額を足した額)20万円
そんな60歳の再雇用サラリーマンがいます。さらに給与の大幅減で高年齢雇用継続給付金を申請したとします。
給付金の支給額は「20万円✕15%=3万円/月」
年金の支給停止額は「標準報酬月額 (20万円)✕6%=1.2万円〔月額)」
この場合、 高年齢雇用継続給付金が「3万円」、老齢厚生年金が「10万円-1.2万円=8.8万円」、給与収入が「20万円」。合計31.8万円が1ヵ月の収入となります。
――32万円近くもあれば、定年後も余裕!
そう歓喜するも、トータルで収入が多くなっていると、年金に支給停止分があることはなかなか気づくことがないといいます。その後、日本年金機構から「年金支給停止」に関するハガキが届き、ここで初めて「えっ、年金が減らされている!?」と驚愕の事実を知り、思わず涙することになります。
ちなみに60歳以降も働き続けることが大多数になっていることを考慮し、高年齢雇用継続給付金は2025年4月から新たに60歳に到達する人から給付率を10%に縮小。以降、段階的に廃止されることが決まっています。いずれにせよ制度についてきちんと理解したうえで、定年後の生活、自身にとってどのスタイルが都合いいのか、どれほどの収入がほしいのか、しっかりと検討することが重要です。
[参照]
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