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なぜバレた…年収300万円の48歳サラリーマンが青ざめた、税務署からの「1本の電話」【税理士の助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月30日 11時15分

なぜバレた…年収300万円の48歳サラリーマンが青ざめた、税務署からの「1本の電話」【税理士の助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

税務調査というと、個人事業主や法人のイメージが強く、会社員や主婦など個人にはあまり関係がないと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、そんなことはありません。税務署は個人に対しても目を光らせているのです。多賀谷会計事務所の宮路幸人税理士が、重い追徴税を課されてしまったサラリーマンの事例を紹介します。

介護のために辞職を決意…年収は5分の1も「悔いなし」

このたび、大好きな父親を看取ったAさん(48歳)。両親はAさんが小さいころに離婚し、以来、自営業の父親が男手一つでAさんを育ててくれました。

Aさんは、そんな父親のもとですくすくと育ち、東京の大学を卒業後、エリート証券マンとして全国を転々とする日々を送ってきました。

しかし3年前、Aさんが45歳のころ父が病気になり、介護が必要な状態に。当時のAさんは年収約1,500万円と高い給与をもらっていましたが、大切な父親との時間を優先するため、証券会社を辞めて実家へ帰省することを決断しました。

帰省後は、実家近くの小さな会社で経理として働きながら、父親の介護に勤しんでいたA さん。年収は前職の5分の1(約300万円)にまで減りましたが、それでも父親と過ごせる日々に満足していました。

そして、約3年の介護の末、父親は84歳で逝去。相続財産は預金と自宅のみであったため、数字に強かったAさんは、自ら相続税の申告を済ませました。

いったいなぜ…税務署からかかってきた「1本の電話」

そんなAさんのもとに、ある日税務署から1本の電話が。聞けば、「税務調査に伺いたい」というのです。

Aさん「えっ? 父の相続税のことなら、きちんと申告しているはずですが……」

税務署「いえ、今回はAさんの所得税の調査となります」

Aさん「……なるほど。私の申告ですか」

なぜバレた……電話を切ったAさんは顔面蒼白。焦りを隠せません。

Aさんの“隠しごと”が税務署にバレたワケ

実は、Aさんは「家賃収入」を目的とした賃貸用不動産を購入しており、その分の確定申告を長いあいだ怠っていたのです。

では、なぜAさんの”隠れ副業“が税務署にバレてしまったのでしょうか?

不動産を購入すると、その所有権を明確にするために、所轄の登記所にて不動産登記を行うこととなります。

この不動産登記の際、その登記所から「所有権異動」の連絡が税務署に届くようになっているのです。

通常、不動産の購入には多額の資金が必要となるため、税務署は購入者に「お買いになった資産の買入価額などについてのお尋ね」という文書を送ります。この「お尋ね」の中身は、「不動産を購入した資金はどこから調達しましたか?」といったアンケートのようなものです。

これに対し、購入者は「住宅ローン」や「自己資金に加え、親から住宅資金の贈与を受けた」といった旨の回答を行います。

「お尋ね」に無回答でもペナルティはないが…

税務署がこの「お尋ね」で確認したいポイントは、「その資金が適正に申告されたものであるかどうか」という点です。

たとえば、毎年の所得状況よりも大きな買い物である場合は「収入の申告漏れ」がないか、専業主婦で収入がないはずなのに不動産を購入した場合、「誰かからの贈与」があったかどうか確認します。

この「お尋ね」に回答しなかったといっても、特にペナルティはありません。しかし無回答の場合、「なにか回答できない理由でもあるのだろうか」と不審がられ、税務調査の対象に選ばれてしまうことがあります。

Aさんの父が亡くなったとき、相続財産は自宅と預金のみでしたが、預金は4,000万円ほどありました。

Aさんは、「このまま4,000万円を寝かせておくよりも、不動産投資で家賃収入を得たほうが、自分の老後にゆとりが持てるかもしれない」と考え、自己資金の1,000万円を加え、自宅近くの賃貸アパートを購入しました。

購入後しばらくして税務署からの「お尋ね」文書が届いていましたが、むやみに自分の情報を晒すのも気が引けたAさんは、それほど重要度も高くないだろうと、無回答のまま放置しておいたのでした。

しかし、「お尋ね」に無回答で事なきを得たとしても、家賃収入を得ているにもかかわらず「確定申告」を怠り無申告であった場合には、深刻なペナルティが課せられます。

確定申告を怠った場合の「深刻なペナルティ」

Aさんのように、家賃収入があるにも関わらず、確定申告を行わなかった場合、どのようなペナルティがあるのでしょうか?

この場合、まず無申告だった不動産所得について、所得税や住民税等が発生します。ここに、きちんと確定申告をしていればかからなかったはずの「無申告加算税」が発生します。

この無申告加算税は15%~20%ですが、悪質であると判断された場合には40%の「重加算税」が課されることもあります。さらに、本来払う時期から遅れて支払うことにより、年2.4%~8.7%の「延滞税」がかかります。

「いやいや、家賃収入があるとはいえ大金ではないし、目立たないようにやっていれば税務署にバレることはないのでは?」と考える人もいるかもしれません。

しかし、税務署にとって、無申告者の摘発は重点項目です。自主的に適正納税している他の納税者に対して不公平となるため、厳格に対応しています。

無申告の場合、賃借人が法人であれば年に1度提出する「法定調書」で明らかになるほか、不動産業者に管理などを依頼している場合、その不動産業者に調査が入ることもあります。

また、羽振りのよさを不審に思った人物からの“タレコミ”などから発覚する場合もあります。

このように、さまざまなルートから無申告は明らかになってしまいます。無申告のままでいるよりも、バレた場合の重いペナルティを考えると、適正な確定申告を行ったほうがよいでしょう。

税務署の「お尋ね」には正直に回答を

不動産購入など、大きな金額が動く場合などは、税務署からの「お尋ね」が届く場合があります。今回見てきたように、これをスルーしていると税務調査の対象となり、所得税や贈与税などの申告漏れを指摘されかねません。

また、賃貸物件の経営という場合、適正な帳簿記帳をし、青色申告で確定申告を行えば、税務署のためだけというだけでなく、自身の経営に役立ちます。

建物の大規模修繕などで銀行からの借入が必要になった場合にも、所得税の確定申告などの税務書類は必須書類となるため、「黙っていればバレないだろう」といった安易な考えはもたず、正直に申告することをおすすめします。

宮路 幸人

多賀谷会計事務所

税理士/CFP

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