「老人ホーム」入所直後から逃走を試みる〈年金16万円〉75歳母「親を捨てるのか!」と号泣する姿に、45歳長女も号泣
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月23日 5時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
昨今、高齢者の住まいとして有効な選択肢になりつつある「老人ホーム」。入居の理由はさまざまですが、入居が決まれば安心、というわけではありません。入所早々にトラブルが発生することも。みていきましょう。
もし介護が必要になったら…6割「老人ホーム入所を希望」4割「自宅で介護を希望」
年を重ねていくにつれ、身体能力は衰えていき、日常生活に支障をきたす場合も。介護が必要になることも珍しいことではありません。
年齢別に要支援・要介護者の割合をみていくと、60代後半で2.0%、70代前半で5.8%だったのが、70代後半では11.8%で、10人に1人は要支援・要介護者という水準に。そして80代前半で26.0%と4人に1人、85歳以上では59.5%と、2人に1人の水準に達します。
そのような介護に対してどのように意識しているのか、朝日生命『自分の老後・介護についての意識調査』からみていきましょう。
まず、「将来介護が必要な状態になると思うか」の問いに対して、「思う*」と回答した人は約7割。
*「思う」24.3%、「少し思う」44.4%
そして「介護が必要になったときに不安に思うことは」の問いに対して、最多は「介護費用をまかなうための資金が不足すること 」で62.2%。「家族・親族に肉体的・精神的な負担をかけること」55.1%、「公的介護保険の内容だけでは支援として不十分なこと」49.1%、「家族・親族に経済的な負担をかけること」 45.8%、「介護してくれる人が身近にいないこと」45.2%、「介護がいつまで続くかわからないこと」44.9%と続きます。
自身の介護に関しては「お金のこと」と「介護者への負担をかけること」が、大きな心配のようです。
続いて「介護されるなら、誰にしてもらいたいか」の問いに対して、最多は「その他の第3者」で37.4%。「夫または妻」22.1%、「子」10.7%と続きます。年齢が高い層のほうが「第3者」を選ぶケースが多く、60代前半では40.8%です。
さらに「介護生活に望ましいカタチ」を聞いたところ、「介護施設に入居する」がトップで56.7%。「在宅で家族に介護してもらう」21.9%、「在宅で家族以外に介護してもらう」が19.0%でした。「介護施設希望」が6割、「自宅希望」が4割といったところでしょうか。
45歳長女、「仕事」「子育て」「介護」に限界…75歳母「老人ホーム入所」で解決するはずが
介護の負担の大きさは、誰もが知るところ。厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』によると、主な介護者が「ほとんど終日介護にあたったいる」という割合は、「要介護1」で11.8%だったのが、「要介護2」で17.0%、「要介護3」で31.9%、「要介護4」で41.2%、「要介護5」で63.1%。介護度が重くなるほど、当然、介護負担は重くなっていきます。
45歳女性の場合、母の介護負担に疲れ切っていたひとり。仕事に育児に、さらに75歳になる母の介護も加わり、肉体的にも精神的にも限界だったといいます。
3人きょうだいの長女だという女性。2つ上の兄も、3つ下の妹も、母が暮らす実家からは自宅が遠く、必然的に女性が母の介護にあたることに。可能な限り介護サービスを使うものの、元来、人付き合いが極端に苦手な母は、できるだけ家族に介護してもらいたいと希望。その気持ちに応えたカタチでした。
しかし女性が体調を崩し、母の介護にあたれない日が1週間ほど続いたことから、きょうだいやケアマネージャと話し合い、母の老人ホーム入居に向けて検討をしていったといいます。
まずは費用。母の年齢は75歳。施設の入居期間は5年以下といわれていますが、母は75歳。入居が長期になることも想定し、月額費用は母の年金・月16万円で収まる程度が望ましいと判断。また入居金もゼロ、あっても抑えたい意向。また頻繁に面会にいけるよう、特に長女の自宅から近距離であることが優先条件でした。
条件にあう老人ホームがみつかり、無事、母親は入所。ホッとする女性。しかし、その安心もすぐに消えてしまったといいます。
ホーム入所初日の夜。施設から「母が施設を抜け出した」と連絡。すぐに見つかりましたが、母は「家に帰る!」と大暴れだったといいます。そして数日後、母親は再び脱走。向かう場所といえば自宅以外ないので、女性はすぐに自宅に駆けつけます。案の定、そこには母の姿が。体は不自由なはずなのに、なんという執念……。
ホームに戻るよう説得すると、
――お前は親を捨てるのか!
と怒りながら号泣。もちろん、女性にそんなつもりはありません。しかし、このまま介護を続けていけば、自分も危うい……泣き続ける母の姿を見て、さらに追い込まれる女性。
――もう、仕方がないじゃない!
と怒りながら号泣するしかなかったといいます。
介護や老人ホームへの想いはそれぞれ。家族のなかにも相違があり、意識の差を埋めていく必要があります。切羽詰まった状況だったとはいえ、母の意向を無視し、ホームの入所を急ぎ過ぎたと反省する女性。入所したホームは退所し、もう一度母の希望をしっかり聞いたうえで、改めて施設への入所を検討しているといいます。
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