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平成は「語学」のため、令和は「稼ぐ」ため…ワーホリが爆発的に増加した背景にある「目的の変化」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月5日 8時15分

平成は「語学」のため、令和は「稼ぐ」ため…ワーホリが爆発的に増加した背景にある「目的の変化」

(※写真はイメージです/PIXTA)

日本では40年ほどの歴史がある「ワーホリ制度」。以前と比べてワーホリに参加する若者が大きく増加していますが、その背景にはどのような事情があるのでしょうか。本記事では『安いニッポンからワーホリ!最低時給2000円の国で夢を見つけた若者たち』(上阪徹著:東洋経済新報社)より一部抜粋・再編集し、留学エージェント「ワールドアベニュー社」の社長である松久保氏へのインタビューから、令和のワーホリの姿に迫ります。

なぜ、ワーホリが爆発的に増えているのか

ワーホリ制度は、日本ですでに40年ほどの歴史がある。今からは隔世の感があるが、日本人にとって、かつては海外旅行はまだまだ高嶺の花の存在だったのだ。円もまだ安く、日本人はそこまで豊かではなかった。

海外旅行が大きく拡大していくのは、1980年代の日本のバブル期である。ちょうどそのタイミングで私は大学時代を過ごしていた。海外旅行がまだ贅沢な時代だっただけに、私たちの世代のワーホリのイメージは、まだある種、特別感があったわけだ。

その後、1990年あたりから日本人の海外旅行がどんどん一般化していき、為替市場で円も高くなっていく中、ワーホリは大きく拡大していく。

それがピークを迎え、ワーホリブームになったのが、2000年ではないか、と「ワールドアベニュー」社長の松久保さんは語っていた。

以来、オーストラリアなら年間1万人弱、日本人がワーホリで入国している。しかし、このあたりで伸びは鈍化して頭打ちになった。2010年くらいまで、ほぼ横ばいで推移していく。

松久保さんは語る。

「海外に行ってもいいかな、という人の数が、おそらくそのくらいだったのではないかと思います。ワーホリ協定が拡大して行ける国も増え、まわりも行っているので行こう、ともともと行きたかったけれど行けていなかった人が行くようになり、成長していったんです。ただ、そのプールがもうなくなってしまった」

毎年、新規で行きたい人くらいしかマーケットに出てこなくなり、そこからはずっと横ばいが続くようになった。

一方で、ワーホリの目的も変化していった。先にも書いているが、私の知っている「昭和のワーホリ」は、まだ贅沢だった海外をモラトリアム的に楽しむ、というものだった。円高がどんどん進み、海外で働く魅力はそれほど大きくなかった。

そうした遊びのワーホリは、やがて英語を学ぶための場になっていく。

オーストラリアのワーホリでは最長4か月、語学学校で学ぶことができることもあり、語学をマスターするためにワーホリに行く若者たちが増えたのだ。言ってみれば、「平成のワーホリ」とでも言えようか。

「令和のワーホリ」の姿とは

2010年以降も、オーストラリアのワーホリは同じレベルの規模で推移していく。しかし、じわじわと状況が変わり始めるのは、オーストラリアが順調に経済成長を遂げ、賃金をどんどん上げ始めたことだ。

また、かつては強さを誇った円が、どんどんその価値を下げるようになっていった。対ドルだけではない。対ユーロ、対オーストラリアドルに対してもだ。

すでに新型コロナの前から、そのことに気づいていた若者たちがいた。松久保さんは語る。

「日本ではアルバイトといえば、時給1,000円くらいが普通ですよね。ところが、オーストラリアでは2,000円近くもらえたわけです。物価は今ほど高くなかったですから、現地でかなり稼いで貯めていた人はすでにたくさんいました。ワーホリからそのまま学生ビザに切り替えて、ずっと働いている人もいましたね」

これこそ「令和のワーホリ」である。

そして新型コロナがやってきて、入国が一気に制限された。そのため「海外に行ってもいいかな」という人が、数年にわたってプールされていった。

これが爆発しているのが、今である。テレビでの「稼げる」報道も、それを大きく後押しした。また、現地から直接、SNSで情報が得られるのも「令和のワーホリ」の大きな特徴だ。だが、松久保さんは心配もしている。

「仕事が見つけにくくなっていますが、行動力のある若者たちはそんなに困っていないんです。問題なのは、行ったはいいものの、無計画過ぎて困っている人が今、出てきていることです」

蓄えも持たず、家も用意せず、ツテも仕事のあてもない、英語力もない。留学エージェントも使わず、語学学校にも行かないので、相談するところも情報源もない。

「それで現地でうまくいかない、とネガティブに発信されることは、ワーホリにとって、とてももったいないことです。行くのであれば、やはりそれなりの準備をしてほしい、ということなんです」

上阪 徹

ブックライター  

※本記事は『安いニッポンからワーホリ!最低自給2000円の国で夢を見つけた若者たち』(東洋経済新報社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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