「オルカン一択でOK」は本当?…NISAで人気の全世界株式「オルカン」への投資で必ず把握しておきたい、株価暴落時に「とるべき対処法」【CFPが助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月6日 11時15分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
今、投資をする人たちの間で、全世界株式インデックスファンド「オール・カントリー」(通称:オルカン)が人気です。なぜ、オルカンが今、多くの人に選ばれているのでしょうか? また、オルカンへの投資を検討する際のポイントについて、CFPであり、「グローバル・ファイナンシャル・スクール」の校長を務める市川雄一郎氏が、解説します。
いま人気の株式“オルカン”の落とし穴とは
積立投資で人気が高いものとして「オルカン」と呼ばれる全世界株型の投資信託があります。
なぜ、オルカンに人気が集まるのか。また、オルカンへの投資が、皆さんにとって正しい選択なのかを知るためには、まずはしっかりと、オルカンについて理解することが重要です。
オルカンとは、全世界株式に投資が行えるファンドのことを指します。これがいわゆるオールカントリー、通称「オルカン」と呼ばれているものです。世界中に投資をすることで、世界経済の恩恵を受けられるため、人気が高く、なかには「オルカン一択でオッケー」と言う人もいるほどです。
しかし、果たして本当にオルカンだけでよいのでしょうか。
オルカンのファンドはさまざまですが、たとえば三菱UFJが出している「eMAXIS Slim」シリーズのなかにも、オルカンのファンドがあります。このオルカンファンドは右肩上がりに成長しており、このまま投資していけば、安心感は確かにあると思いますが、「中身」をしっかりと知ることが大事です。検索エンジンや証券口座から構成比率を見ることができます。
投資の状況を見てみると、国際株式が90%になっていることがわかります。世界的な株式に90%ほど投資しているその構成比率は、アメリカが60.79%、ヨーロッパに17%強という割合です。そして中南米は1%弱、アジア・オセアニアに19%程度投資しています。
さらに、上位10銘柄の構成比率は、すべてがアメリカです。1位がApple、2位がMicrosoftの4.2%、そしてNVIDIA、Amazon、Alphabetと続きます。
このように、皆さんが知っているようなアメリカの有名企業が並んでいます。こういった点まで調べたうえで、本当にオールカントリーが適しているのかどうかを判断していただきたいのです。
オルカンに投資するメリット
アメリカが60%を占めているとはいえ、世界株式に対してバランスよく投資ができていることを考えると、オルカンは、皆さんが投資をするうえで安心感があるといえます。たとえば、アメリカが少し不調でも、他の国がよかった場合、投資信託の基準価格が上がる可能性もゼロではありません。
そして、とにかく手数料が安いことが特徴です。そのため、長期運用の際には、余分な手数料を最小限に抑えることができます。
しかし、メリットばかりではありません。これはオルカンに限った話ではなく、どんなファンドも「メリット」と「デメリット」を総合的に考えることが大切です。
オルカンに投資するデメリット
思い出してほしいのが、リーマンショックです。アメリカのリーマン・ブラザーズが破綻したことで、世界中の株が同時に安くなりました。
このような下落を受けた場合、色々なところに分散していたとしても、安心とはいえないでしょう。すなわち、オルカンに投資をしていたら絶対に安心、というわけではないのです。
しかし、どこかの地域が悪ければ、その構成比率を変えられるため、オルカンに投資していたら安心なのでは、と思われるかもしれません。とはいえ、アメリカに60%以上投資していたところから、いきなり20%に減らして、ヨーロッパやオセアニアを増やすということは、あまり現実的ではありません。結局は、アメリカ経済が経済の中心であり、ここを大きく外すことは難しいのです。アメリカの経済状況が悪くなったリーマンショックの際、世界経済も引きずられたケースを考えると、安心とは言い切れないのではないでしょうか。
ですから、投資はバランスよく行うことをおすすめします。
ただ、自分で分散するのは面倒な人は、オルカンでもよいと考えています。一方、バランスよく投資を考えており、投資信託も複数考えているのであれば、オルカン一択でなくてもよいと思います。
オルカンとの併用で効果のある分散投資
オルカン以外にも、分散投資として「S&P500」や「全米株式型」に投資をするという人もいます。しかし、先述したように、オルカンのほとんどが、アメリカの株式に投資しているため、あまり分散効果はない、と言えます。アメリカの比率を高めることが悪いわけではなく、その点をしっかりと把握しているかどうかがとても重要です。
そして、全米株式型とS&P500は、似通ったパフォーマンスとなっています。1年、3年、5年と、短期で見ても、10年以上見ても似通ったパフォーマンスをしていることから、あまり分散効果があるとはいえません。そのため、オルカンならオルカン一択、アメリカ株であれば、全米株式型とS&P500のどちらかを選ぶとよいかでしょう。
バランスを考えて、いくつかに投資をしたいのであれば、全世界には投資をしたうえで、それ以外の指数(NYダウ、NASDAQ総合指数、NASDAQ100など)に着目するのがおすすめです。毛色の違う、パフォーマンスも異なるものに投資を検討してもよいかもしれません。
オルカン投資で重要なポイント ①為替の状況にも注意する
一般的には、日本の投資信託を買っているため、円で出てきます。そのパフォーマンスが現在よい状態が続いているため、「オルカンがよい」と考える人も多くいるかと思います。もちろん、その考え方は間違っていません。しかし、指数は日本円に直したものと、米ドルベースのものとを比べることができるのです。
オルカンの指数だけを抽出し、パフォーマンスを調べてみると、少し異なるパフォーマンスであることがわかります。
たとえば、インデックスファンドのなかに、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」というものがあります。この指数を、円ベース、米ドルベースのものと比べると、パフォーマンスが大きく違っていることがわかります。
今、皆さんは円で投資をしているため、円ベースだけで見ると、海外に投資をしているときには、円安のメリットを受けている可能性が高いです。パフォーマンスを調べてみると、1年間で30%ほど回っています。1月末の時点で30%ほど、10年をみると13%程度運用できています。
ところが、これをドルベースで見た場合、15%強であることがわかります。半分程度になってしまうということです。そして、10年ものを平均で見ると9%ほどであるため、円べースと比べて、約4%平均値が変わっているのです。
米国に投資をしている=パフォーマンスがよければ一生安泰、と思わないほうがよいと、私は考えます。為替の状況も頭に入れたうえで、投資を行っていただきたいと思います。
もちろん、オルカンへの投資に日本株が入ってくるといったときには、円で投資、ヨーロッパならユーロ、イギリスならポンドといったように、現在投資しているものに関しては、為替の状況があるということを頭に入れておくとよいです。
オルカン投資で重要なポイント ②暴落の回復スピードを理解する
投資をするとなったとき、世界中のいろいろな有事の影響を受けることになります。戦争や災害によって株価が下落することもあり得るのです。
東日本大震災のとき、日本では株価が下落し、不動産の価格が下がってREITの価格も落ちました。リーマンショックの際には、アメリカ発祥であるにもかかわらず、株価は世界中でどんどん下がりました。しかし、株価指数だけみると、一番早く回復したのはアメリカだったのです。回復の速いアメリカや他の国に比べて、日本はかなりの遅れをとっていました。
ただし、この回復の速さは、NYダウやS&P500が強かったのもありますが、ハイテク系の戻りが遅かったという印象です。そのため、投資の際にどこか一点に集中してしまうと、やはりリスクがあるといえます。投資をするときは、指数もバランスよく行うことが大切です。あまり似通ったものだけに集中しないことも重要といえます。
まずは、「アメリカは回復が速い」ということは頭の中に入れておいてください。
オルカン投資で重要なポイント ③経済状況が悪くなっても継続する
投資をしていると、周りの声に一喜一憂してしまう人も多くいます。有名なYoutuberの「これ買っておくといいですよ」という言葉を信じて買ったものの、下がってしまった。しかし、自分で買ったわけなので、誰も恨むことはできません。重要なのは、「ここでやめない」ということです。
投資で失敗するのは、損を出した際、「二度と投資をしない」という人なのです。オルカンで積立投資をしている人も多いかと思います。どんなに経済状況が悪くなったとしても、継続するという強い意志をぜひ持っておいてください。
経済状況の悪いときは、投資信託の基準価格も下がるため、「ドル・コスト平均法」でたくさんの口数を買うことができます。そして、経済状況がよくなっていけば、資産価値も上がっていくはずです。経済は、基本的には、成長していくものなので、投資をする際は、「途中でやめない」ということを考えてほしいです。
そして、目的を持って何年後まで運用するかを決めていたら、ぜひそこまで突っ走ってください。基準価格が下がったからそこで売る、ということではなく、そのまま継続をして投資を行っていくことを意識してほしいです。
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