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これが欠けていたら一生“使われる側”から抜け出せない…幹部クラスの求人で問われる「経営的視点」とは【エグゼクティブ転職のプロが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月2日 7時15分

これが欠けていたら一生“使われる側”から抜け出せない…幹部クラスの求人で問われる「経営的視点」とは【エグゼクティブ転職のプロが解説】

(写真はイメージです/PIXTA)

エグゼクティブの転職において「経営的視点を持っているか」を問われることは決してめずらしいことではありません。では、この「経営的視点」とは具体的に何を指しているのでしょうか。本記事では、株式会社経営者JPの代表取締役・CEOの井上和幸氏が3つの例を挙げ、詳しく解説していきます。

「経営的視点」とは具体的に何を指す?

幹部求人の募集要件で「経営的視点をお持ちの方」という記載を目にしたことがあると思います。エグゼクティブの皆さんの中には、面接結果のフィードバックで「あいにく経営的視点を感じることができませんでした」という不採用理由を受領したことのある人もいるのではないでしょうか。

エグゼクティブの転職で言われる「経営的視点」とは、具体的には何を指しているのでしょう? 今回はこの点について私が日々の現場で直面してきた数々の事例から、代表的な3つの例を紹介します。

「経営側」から見ることができるか。経営の立場に合意できるか

転職相談の際、管理職や経営陣を務めている求職者の方々からかなり頻繁に聞かされる「なぜ転職したいか」の理由に、「経営陣の方針、考えに違和感がある」というものがあります。 某ベンチャー企業のシステム系執行役員を務めるAさん(43歳)は、大手IT(情報技術)企業出身。その後2社を経て、現在の会社が新規株式公開(IPO)する直前にIT基盤強化のためのシステム責任者として入社しました。 上場企業として強固盤石なIT基盤を持つべきだと考え、Aさんは同社の売り上げに比してかなり大きな割合となるシステム投資を起案しました。ところがこれを同社経営陣は「そこまでお金をかけることはできない」と却下。Aさんの提案予算の10分の1ほどでやってくれないかとの話になったそうです。 「うちの経営陣は、社長を含め、皆、営業や経理財務出身者ばかりで、システムに関して素人でまったく理解がないんです」と、転職相談の面談で憤懣(ふんまん)やるかたないという感じで私に語りました。 私は「なるほど。それで、そのIT投資計画ですが、具体的にどのような投資効果をもたらし得るもので、どのくらいで償却できるものなのですか?」とお聞きしたところ、Aさんから返ってきた説明はあやふやなものでした。「上場会社なら、これぐらいのシステムインフラはないとダメですし、IT投資をすべきです」という答え方でした。 Aさんを全面否定するつもりはありませんが、これでは経営陣も投資判断はできないし、それを根に持たれてはたまったものではないなと感じました。私はストレートに、同社の経営陣がAさんの投資提案を聞き、「おそらくこのようにお感じになられたと思いますよ」ということをお伝えしました。 「経営的視点をお持ちの方」のその1は、「経営側から見る」「経営の立場に合意する」ことのできる人か否かです。 AさんのIT投資計画は、無尽蔵な投資資金があるならば素晴らしい計画だったのかもしれません。しかし企業にはそれぞれの事業収支状況があります。実際にどれぐらいの投資余力があるか、またどのような開発ステップと投資であれば可能となるか。そもそもそのIT投資により、事業や経営に具体的にどのような投資効果をもたらすのか、それは経年で見てどのようなものになるのか。こうしたことを、自らの役割としてしっかり織り込んだ企画や提案ができることを「経営的視点を持っている」というのです。

自ら考えることができ、仮説と策を立案できるか

現場の論理や自分だけの論理で経営陣を突き上げてしまう人、それが理由で転職を希望しているエグゼクティブが実際にいらっしゃいます。あいにくこういう人を経営者が自社の経営幹部や中核人材として採用することは、まずありません。あなたのいう「経営の考えがおかしく、違和感がある」「経営者の判断や方針変更に合意できず」は、客観的に見て、応募先経営者からしても「なるほど確かに」と腑に落ちるものでしょうか。 「このプロジェクトはどのようなことがテーマだったのですか?」「はい、当時の担当役員がやりたいという話でして」「なるほど、ではこちらの案件は、どのようなことを解決するためのものだったのでしょうか?」「それはクライアントが納品後に何か計測していたかもしれません」「そうでしたか、なるほど。では、直近の業務では、どのような成果がゴールでしたか?」「いま進めているところでまだ結果が出るのは少し先なので、なんとも」 私と転職ご相談者との会話では、このようなキャッチボールになることがあります。別に面接の場ではないのですが、エグゼクティブの方との会話としては、ちょっといただけませんね。 「経営的視点をお持ちの方」のその2は、「自ら考えることができる」「仮説と策を立案できる」人か否かです。 この観点で不採用となる人は、「言われたこと(だけ)をやる」「指示されたことしかやってきていない」タイプです。特にエグゼクティブの皆さんにはぜひ、課題設定&解決型人材、問題発見型人材であってほしいと思います。 この世代の皆さんからの転職相談の理由、実現したいことの一つに「もう一つ、二つ上の役割、職責を担いたい」というものがあります。でも、そもそも課題設定&解決型人材、問題発見型人材でない限り、経営や事業の一翼を担うポジションにアサインされることは難しいでしょう。

やり遂げた実績があるか、成果を出したことがあるか

「経営的視点をお持ちの方」のその3は、「やり遂げた実績がある」「成果を出したことがある」人か否かです。 エグゼクティブということであえて補足するならば、それなりの社会人歴(おそらく十数年以上)のなかで、オールパーフェクトとは言いませんが、「おおむねすべてにおいて」やり遂げた実績がある、成果を出したことがあることが大事です。 失敗経験も大事で、そこからの学びがある方についてはそれも非常に高い評価ポイントとなります。当然のことながら失敗経験や中途半端経験が主で、そのなかで一つ、二つ限りのやり遂げ実績や成果ではあまりに心もとなく、社長や経営陣はその方の採用には二の足を踏みます。 採用されない人は「任務完了実績がない」「具体的成果をあげた形跡がない」タイプです。厳しい言い方にはなってしまいますが、これまで任されてきた業務をそれぞれしっかりやり遂げてきたという事実の見えない人、中途半端な人。タスクはこなしたとしても、具体的な成果をしっかりあげてきたという事実の見えない人が、経営幹部や中核人材に登用されることは、残念ながらないのです。 今回の転職が、ミッションを途中で投げ出そうとしていたり、成果をあげられなかったからというものだったりしないでしょうか。「逃げの転職」はそもそもうまくいきません。転職したとしても、行った先で必ず早晩また行き詰まります。そのような経歴もまた、私はエグゼクティブサーチの現場で数えきれないほど見てきました。 昨今の転職ブームのなかで、もしかしたら根本的な勘違いが増えているのではないかと感じているのが、本来、転職とは「成功を引っさげて」行うものだということです。特にエグゼクティブ層の方々においては。しかし「環境不満や現場逃避」の転職が、世代を超えて一般的になっているように感じることに残念さと寂しさを感じざるを得ません。 転職の前に、まず今の仕事をしっかりやり切り、成果をあげるまでなんとしても踏ん張ること。「よい転職」をできる権利は、それを果たしたあとで初めて得られるのです。          *         *         * 20代の若手・中堅ならいざ知らず、ミドルやシニア世代であるエグゼクティブの方々が「vs経営陣」の構えでキャリアや転職を考えているようでは、これからのキャリア二極化拡大時代に「やりがい組」「リーダー組」側に入ることはままなりません(「使われる組」でよいなら、それも人生ですが)。「経営的視点をお持ちの方」への意識改革、セットアップを図っていただければと願っております。  

井上 和幸

株式会社 経営者JP

代表取締役社長・CEO

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