35年ローンで「購入」か、家賃を払い続けて「賃貸」か…1億円貯めて〈FIRE〉した元会社員の「最終結論」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月6日 11時45分
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永遠のテーマともいわれるのが、家の選び方。「購入」か「賃貸」か、どちらがいいのかという議論に明確な答えはありませんが、1億円を貯めてFIREした寺澤伸洋氏はどのような結論を出したのでしょうか? 寺澤氏による著書『ぶっちゃけFIRE 手取り25万円で子育てしながら1億円ためる方法教えます』(主婦と生活社)より一部を抜粋し、ご紹介していきましょう。
持ち家派か、賃貸派か…私たちの出した結論
家は人生で最も高い買い物のひとつだと言われています。そのため、よく雑誌やネットで「持ち家派か、賃貸派か?」という論争がなされているのを見かけますが、僕たちの結論は賃貸でした。
これは、いい物件に出合わなかったからとか、タイミングが合わなかったからという理由ではありません。夫婦で議論し、「資産形成や人生設計において、家を買うことはあまりいい影響を及ぼさない」と考えたうえで、賃貸を選んでいます。そう考える理由は次のとおりです。
・必要な家の広さや部屋数はその時々で変化する
・家を買うと、その場所から動
・35年後のことは誰にもわからない
必要な家の広さや部屋数はその時々で変化する
今、あなたが家を購入するなら、どれくらいの広さや部屋数の家を検討しますか。「小さい子どもがふたりいるから、将来の子ども部屋のことも考えると4LDKくらい必要だよね」といったことを考えるのではないでしょうか。
しかし実際のところ、子どもが小さいうちは部屋を与える必要がありません。小学校の高学年でようやく部屋を与えるかどうかなのです。
ちなみに寺澤家では、上の子が中学生になったときに部屋を与えました。FIREして2年経ち、現在は大学3年生ですから、あと1年ほどしたら就職して家を出ていってしまうことでしょう。
そう考えると、子どもに部屋が必要な期間というのは、せいぜい10年くらいです。そしてその10年が過ぎ、子どもたちが全員出ていったあと、はたして夫婦ふたりで3LDKや4LDKの広さの家は必要なのでしょうか。
このように家を購入しようとすると、現在のライフステージにかかわらず、「将来部屋数が最も多く必要になる時期」にあわせた大きさの家を検討してしまいがちです。しかし、ずっと4LDKの部屋に住むのではなく、2DKでいいときは2DKに住んでおき、3LDK、4LDKが必要になったらそのときに住居を変える。
また子どもたちが巣立って2DKで十分になったら引っ越す、という選択をすることで、人生においてトータルの家賃を大幅に引き下げることができるのです。
家を買うと、その場所から動けない
当たり前の話ですが、家を買うとその場所から動きにくくなります。人生の岐路において、最も選びたい選択肢が住居の移動を伴うものだったとしましょう。しかし、持ち家があるからという理由でその一番魅力的な選択肢を選ばない、もしかしたら選べないということだって十分に考えられるのです。
僕が社内の語学留学プログラムに手を挙げてイギリスにいくという選択をしたとき、そして外資系企業に転職したときが、まさにその人生の岐路だったといえるでしょう。この語学留学プログラムに参加するためには選考面接があったのですが、その際、人事部から「留学して帰ってくる際は大阪の本社に異動することになりますが、よろしいですか?」と聞かれたのです。
僕たちは当時、東京に住んでいました。もし東京に家を買ってしまっていたら、大阪に転勤することを嫌って留学という選択肢を諦めていたかもしれません。また2017年には外資系企業に転職して、今度は大阪から東京に引っ越すことになりました。こちらも、もし大阪で家を買ってしまっていたら、東京での転職活動という選択肢をはじめから選んでいなかった可能性があります。そうすると今の僕はないわけです。
人生の転機みたいな大きな話でなくとも、地震リスクや不完全施工リスク、市町村の破綻リスクだってあります。ほかにも、隣人がものすごく迷惑をかけてくるリスクなども、まとめて背負い込むことになります。こうして自分の人生の変化や周囲の状況、経済状況などに応じて気軽に住環境を変えることが著しく制限されることを考えると、僕は家を持つということは「自由に生きること」という目的から外れていると感じるのです。
今はインターネットにつながりさえすれば、どこででも仕事のできる時代になってきたわけですから、我々はひとところの土地に縛られることなく人生の自由度を高めていく必要があるのです。
35年後のことは誰にもわからない
退職後もきちんと支払いはできるのか?
現在、多くの人が35年ローンを組んで家を買います。しかし、この35年の間にどのようなことが起こるでしょうか。家を持つと修繕積立金や固定資産税など、今まで不要だったお金が追加で発生します。特に修繕積立金は、家が新しい間はそう高くないかもしれませんが、年数が経つにつれてどんどん上がっていく可能性もあります。
また、「35年後まで支払いが続く」ということは、3代で家を購入した場合、多くの人にとって退職後の年金暮らしになってもまだローンを支払うことになります。さらに、35年間にそれだけの金額を払い続けられる保証もありません。
20年後、30年後、その返済額を払ってもなお余裕のある生活ができているのでしょうか、それともその額を払うことすらできないくらい厳しい生活をしているのでしょうか。そんなことは誰にもわかりません。退職金が思っていたよりも少なかったり、どこかのタイミングで年金制度が改悪されたりして、見込んでいた収入が激減するかもしれないのです。
もちろん収入が激減するリスクなどは、家を買っていても買っていなくても同じです。しかし、賃貸の場合はもっと家賃が安い家に引っ越すことができます。一方家を買ってしまっている場合、収入が激減しても、そのローンの支払いから逃れることはできないのです。
35年先に借りられる家は、今より近代的な家
もうひとつ、35年という歳月に関連して指摘したいことがあります。それは、地震リスクや収入減リスクなどさまざまなリスクを乗り越えて35年後にローンを完済したときにようやく手に入るのは、35年前に建てられた古い家なのだということです。
35年後にはきっとものすごく技術が発達しているでしょうから、そのとき賃貸派でいれば、最新式の設備が整った家を賃貸できるでしょう。しかし家を購入してしまっていると、35年前の機能しか備えていない家を保有していることになるわけです。もちろんその家に最新の機能を備えようとすると、追加で費用がかかることになります。
「今から35年後の最新機能って、何がどれだけ変わるんだ?」と思われるかもしれません。ですが、スマホが世に出てからですら、まだ十数年しか経っていないのです。
僕も35年前はまだ小学生でしたが、そのころの淡い記憶と比べても、パソコンがひとり一台の時代になり、テレビは薄型化/大型化し、車は自動運転できるようになり、VHSはなくなり、家にいながらネットで欲しいものを買えるようになり、ドラム式洗濯機で乾燥ができるようになり、不在の間にお掃除ロボットが勝手に部屋中を掃除してくれる……ほかにも挙げればキリがないくらい技術が向上していることに気づきます。
そう考えると、今から35年後にどれほど技術が発達した世の中になっているかなんて、想像がつきません。ですから、僕は仮に賃貸と持ち家にかかるコストがまったく同じだったとしても、賃貸で最新の技術が搭載された家に住みたいなと思うのです。
寺澤伸洋
作家/講演家
※本記事は『ぶっちゃけFIRE 手取り25万円で子育てしながら1億円ためる方法教えます』(主婦と生活社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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