離婚後の我が子との面会交流、取り決めは「月1回」だが…運動会や参観日もカウントされる?【弁護士の回答】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月8日 10時0分
離婚後の面会交流(親子交流)。子どもの行事への参加をめぐってトラブルになるケースが多々あります。本記事では、Authense法律事務所で女性向け法律相談を担う弁護士白谷英恵氏が、学校行事と面会交流の関係について解説します。
学校行事は面会交流とは別
離婚後の子どもと別居親との面会交流を定めるとき、通常は「月に1回」などの約束をします。すると相手が運動会などの行事に参加する月には、その1回を消費したことになって定期的な面会はしないのでしょうか?
この点について、通常は「学校行事は定期的な面会とは別」と考えられています。面会交流は子どもと親が話をしたり食事をしたりして交流をするための機会です。しかし、運動会などに参加しても通常は子どもの姿を遠くから見守るだけで、親子の実質的な交流はできないからです。
そこで、相手が子どもの運動会に参加するとしても、別に面会の日時を設定していつもどおりの面会をさせるのが基本の対応です。
話し合いによって定期的な面会に含めることも可能
ただ子どもが忙しかったり相手にも都合があったりして、運動会とは別の日に面会することが難しいケースもあるでしょう。
そのようなときには、相手と話し合いをして「運動会への参加を定期的な面会に代える」ことも可能です。相手が納得しているなら、別途面会の日にちを設定する必要はありません。
子どもの習い事の発表や部活の試合など
同じように、子どもの習い事(ピアノやバレエなど)の発表会や、部活、参加しているスポーツチームの試合などに相手が観覧、観戦に来るケースがあります。
このような場合にも、単に見て帰るだけであれば子どもとの実質的な交流はできないので、定期的な面会交流に含めずに考えるべきです。ただし親同士の話し合いによってこちらも定期的な面会に代えることが可能です。
学校行事に参加する権利
ときどき問題になるのは、親権者となった親が別居親に「運動会に来ないでほしい」「離婚した親が来ると子どもの立場が悪くなるから迷惑」などと、学校行事への参加を断るケースです。このような言われ方をすると、別居親も納得できない思いを抱えますし、頑なに「出席したい」と言い出してトラブルになりやすいです。
別居親であっても親であることに変わりはなく、行事を観戦することは可能です。同居親が「絶対に来てはいけない」と言っていたとしても、別居親が当日学校に来たなら強制的に追い出すわけにはいきません。
その場でトラブルになって困るのは子どもなので、「静かに観戦する」「終わったらすぐに帰る」と約束するなど、事前に冷静に話し合いましょう。
ただし、相手が学校で非常識な行動をとる可能性があるならば、事前に学校側に伝えて対処方法を相談しておきましょう。連れ去りなどの危険があるなら特に慎重な対応が必要です。
そもそも学校行事を伝えるべきか
別居している親は、学校行事が行われる日にちを把握していないケースも多いものです。その場合、相手にわざわざ運動会などの日時を伝える必要があるのでしょうか?
一般的には、親権者が別居親に子どもの運動会などの日時を伝える「義務」まではありません。ただし、面会交流の取り決めで「学校行事に参加することを認める」「事前に日程を伝える」などと約束していれば、伝えるべきです。
また、伝える約束をしていなくても、相手が聞いてきたら通常は教えるものです。普段の面会がスムーズにできていたら、行事前の面会交流が行われた際に子どもから相手に伝わるケースもあります。
運動会を「定期的な面会」の代わりにしたい場合の対処方法
運動会への参加を月1回の定期的な面会の代わりにしたい場合、相手が「運動会などへの行事に参加したい」と言い出してきたときに「それなら、今月の面会交流はその運動会への参加ってことにしてもいい?」とさりげなく提案してみましょう。相手も日々の生活で忙しければ「それでいいよ」と答えるケースが多いものです。
こちらから「今回は運動会に参加するから定期的な面会はなしね」などと押しつける態度をとると、相手が頑なになってトラブルになりやすいです。
面会を拒絶できるケース
ここまでは一般的に面会交流を行うべき事案について説明してきましたが、なかには面会を拒絶できるケースがあります。それは以下のような場合です。
相手が子どもを虐待していた
過去に相手が子どもを虐待していた場合には、離婚後の面会交流が制限されます。たとえば、身体的な暴力を振るっていた場合などに面会を認めると再度子どもが暴力を振るわれるおそれもあるため、運動会などへの学校行事への参加も断ることが可能です。学校側にも相談して協力してもらいましょう。
子どもが相手に恐怖心を抱いている
子どもが相手に強い恐怖心や拒否感を抱いていてとても交流できない場合にも、面会交流を見合わせるケースがあります。ただし、子どもが単に「会いたくない」と言っているだけではなく、本心から拒絶している事情が必要です。本当に拒否しているのかどうかについて争いが発生したら、最終的に家庭裁判所で面会交流の調停や審判を行い、調査官調査によって確認してもらいます。
相手が子どもに違法行為をさせるおそれがある
面会交流をすると、相手が子どもに違法行為をさせるケースがあります。このような場合は面会を拒絶する理由となります。
子どもを連れ去るおそれがある
離婚後間もないケースなどでは、相手が子どもに未練を残しており、面会すると子どもを連れ去って返さなくなるケースや子どもを連れて行方不明になるケースがあります。そのようなことになると子どもにとって悪影響が大きいので、面会を拒絶する理由になります。
ただし、「離婚前に激しい親権争いが起こっていた」事情だけではなく、具体的に相手が子どもを連れ去る危険性があるといえる根拠が必要です。
離婚後の面会交流で悩んだら
子どもと別居親の面会を拒絶できるケースは、そう多くはありません。一般的には定期的な面会を実施すべきですし、相手が希望するならばなるべく学校行事への参加も認めてあげるのがよいでしょう。
離婚と面会の問題で悩んだときには、弁護士に相談してみてください。
白谷 英恵
Authense法律事務所
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