夫婦合わせて収入「月48万円」だが…「日本人の暮らしぶり」厳しい現実
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月26日 17時30分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
本記事では、「日本人の生活のリアル」について、国税庁『民間給与実態統計調査』(令和4年分)などをもとに解説していきます。
1世帯平均収入「約56万円」…豊かに生きることは可能か
超少子高齢社会となった日本。昭和22~24年の「第1次ベビーブーム期」、46~49年の「第2次ベビーブーム期」以降の出生数は減少傾向にあり、平成28年以降は100万人を下回って推移しています。
2024年の厚労省の発表によると、直近の出生数は過去最少の72.7万人。8年連続で減少していますが、2024年の出生数はさらに減少し、70万人を割り込むと予想されています。
もちろん、生き方は人それぞれ。「子どもを持つ予定はない」ことは当然選択肢の一つであるものの、そうではなく、「お金がないから産めない」事態に陥っている世帯が少なくありません。
6月6日発表の総務省『家計調査(二人以上の世帯)2024年(令和6年)4月分』によると、勤労者世帯の実収入は1世帯あたり平均「56万6,457円」。前年同月比で実質0.6%減少しています。一方の消費支出の平均は「31万3,300円」。こちらは前年同月比で実質0.5%の増加となりました。
さらに勤労者世帯の消費支出の内訳を見てみると、食費が8万3,816円ともっとも大きなウエイトを占めており、教育費の平均は2万4,487円となっています。
約56万円の収入に、31万円の支出。この数字だけで言えば、月25万円程度は自由に使えるお金があり、豊かに暮らせそうに見えますが、現実はそう簡単な話ではありません。
31歳男性の悲鳴「余っているお金なんてないんです」
田中カズオミさん(31歳・男性/仮名)。月の収入は35万円、手取りは28万円です。奥様の月収は25万円、手取りは20万円ほど。自由に使えるお金は合わせて月48万円。資産は現金のみ、計200万円程度を銀行に預けています。
2人が暮らすのは、都内1LDK、月10万円の3階建てマンションの一室です。月の食費は7万円と、こちらも平均的な数値。一定額は貯蓄にまわせそうな収支ですが、「家計は厳しい」と語ります。なぜでしょうか。
「毎月、ざっと25万円~30万円程度は支出として消えています。残るのは10〜20万円ですが、教育資金を貯めたいんです。ネットで調べてみたら『1,000万円は貯めるべき』と書かれていました」
「子どもが生まれ、妻の収入は実質的になくなりますが…」
田中家には、実は来年子どもが生まれる予定です。奥様は現在妊娠3ヵ月で、今のところは在宅で勤務していますが、数ヵ月もすれば産休・育休に入ります。幼稚園に入るまでは仕事をせず、子育てに専念したい、というのは夫婦の総意でした。
「実質的に妻の収入はなくなるので、僕の『28万円』のなかでやり繰りしなければならない。今のうちに貯められるだけ貯めなきゃ、と焦っています。我が子には、大学までは通わせてあげたい。習い事だって塾だって行かせてあげたい。余っているお金なんてないんです」
給料がこの先今のまま変わらない……とは考えたくないものですが、たとえば学習塾だけを見ても、恐ろしい負担額であることがわかります。
“学習塾費用は年々増加傾向にあります。中学校の学習塾費用はバブル崩壊後の1994年、14万5540円でしたが、2000年には16万2357円と、約2万円ほどアップ。そして2018年には20万2965円と、四半世紀あまりで3割増しといった状況です。
高校での学習塾費用は中学校のときほどではありませんが、1994年では7万4202円だったのが、2018年には10万6884円と、3万円ほど増加しています。”(関連記事『会社員、年収減も「学習塾費用3割増」天井知らずの教育費にため息』)
「平均収入・平均支出の暮らしぶり」の悲痛
『民間給与実態統計調査』(国税庁・令和4年)を見ると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均額は458万円(男性563万円、女性314万円)です。内訳としては、平均給料・手当が386万円(男性472万円、女性270万円)で、平均賞与は72万円(男性92万円、女性44万円)となっています。
1人当たりの平均給与を年齢階層別にみると、男性では60歳未満までは年齢が高くなるにしたがい平均給与も高くなり、55~59歳の階層が最も高い給与を受け取る傾向にあります。
収入格差が深刻化する日本社会。「平均収入・平均支出」はそれぞれ約56万円、30万円ですが、実はボリュームゾーンにあたるのは年収「300万円超400万円以下」(840万人)の方々。さらに厳しい収入で日々を過ごす方が少なくないのです。
「お給料が上がれば…」という仮定のもとの人生設計・資産形成はキケンそのもの。自身の収支を冷静に直視し、「よりよく生きる」ことが求められていますが、日本人の給与額には、あまりにも厳しい現状が表れています。
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